STS-59

STS-59：地球観測ミッションの詳細

STS-59は、1994年4月に行われたアメリカ航空宇宙局（NASA）のスペースシャトル計画です。スペースシャトル・エンデバー6度目のミッションとして打ち上げられ、ディスカバリーチャンネルのスペシャルでも特集されました。

ミッション概要

このミッションの主な目的は、地球観測です。ペイロードベイに搭載されたSpace Radar Laboratory-1（SRL-1）実験装置を使い、地球の生態系に関する研究が行われました。特に、宇宙搭載イメージングレーダー（SIR-C）とXバンド合成開口レーダー（X-SAR）は、地球表面の様々なデータを収集するために活用されました。また、Measurement of Air Pollution from Satellite (MAPS)実験では、大気中の一酸化炭素濃度と分布のデータ収集が行われました。

乗組員

STS-59には、以下の6名の宇宙飛行士が搭乗しました。

船長：シドニー・グティエレス
操縦手：ケヴィン・チルトン
ミッションスペシャリスト1：ジェローム・アプト
ミッションスペシャリスト2：マイケル・クリフォード
ミッションスペシャリスト3：リンダ・ゴドウィン
ミッションスペシャリスト4：トーマス・デイヴィッド・ジョーンズ

ミッションのハイライト

4月9日: エンデバーは7:05(EDT)に打ち上げられました。打ち上げ後、ペイロードベイのレーダーが起動され、地球の生態系に関する研究が開始されました。X-SARの初期起動時に増幅器の出力が上がらないトラブルが発生しましたが、保護回路の迂回により解決し、観測は100%実施できました。
4月10日: radar laboratoryは、メイン州ハウランド、マッコーリー島、黒海などを含む40以上のターゲットからのデータを受信しました。ノースカロライナ州デューク大学演習林での炭素循環やオーストリアのエッツタールでの水循環などの観測が行われました。
4月11日: アルジェリアのサハラ砂漠の写真がダウンリンクされ、地表及び地下の構造のマッピングに用いられました。また、イタリアのマテーラ、ドイツのオーバープファッフェンホーフェン上空で校正が行われました。ジョーンズは、MAPS実験で集めたデータを拡張して、台湾、フィリピン、ニューギニア上空での雷のリアルタイム観測データを提供しました。ゴッドウィンは南アメリカ上空で巨大な雷、ガラパゴス諸島周辺で海洋風パターンの良い写真が撮れたと報告しました。
4月12日: ボリビアのアンデス山脈を写したX-SARのリアルタイム画像がダウンリンクされました。青チームのシフトの間、X-SARとC-SARは、南太平洋、東オーストラリア海流、北大西洋の海洋学の画像を集めました。また地上では、日本の地形図の作成と3つのレーダーアンテナを用いた田のマッピングの最適な方法の探求が行われました。
4月13日: 南アフリカのナミブ砂漠の地表及び地下構造のX-SAR中継動画がダウンリンクされました。エンデバーがオーストラリア上空を通過した際にエンデバーとミールは約2200km以内の距離ですれ違い、アプトはミール搭乗のロシア人宇宙飛行士と挨拶を交わしました。
4月14日: 青チームは、中国で1987年の山火事で焼失したエリアの良い写真が取れたと報告しました。X-SARのquick-lookプロセッサは、チカシャの動画像データを生成しました。
4月15日: ジョーンズは、フィリピンのマニラ湾上に浮かぶ汚染された雲は、この日はほぼ見えなかったと語りました。ゴッドウィンは、世界中のCNN視聴者からの質問に回答しました。
4月16日: アプトは、モスクワ近郊スターシティの訓練センターに滞在する同僚宇宙飛行士と会話しました。青チームは、アフリカでの火事、ブラジル北東部での雷等が見えたと報告しました。
4月17日: エンデバーの動翼とスラスタジェットが点検され、問題ないことが確認されました。グティエレス、チルトン、ジョーンズの3人は、カトリック教会の正餐に参加しました。
4月18日: 最後の地球のレーダー観測が行われました。
4月19日: ケネディ宇宙センター近くの雲と高所の風から、もう一日宇宙に留まることが決定されました。カーゴベイ内のSIR-Cが再起動されました。
4月20日: エンデバーは、カリフォルニア州のエドワーズ空軍基地に着陸し、11日間に及ぶミッションを終えました。

成果

STS-59ミッションでは、地球表面の約12%にあたる7000万平方km以上がマッピングされました。Space Radar Laboratoryでは、地表面の約25%のレーダー画像を取得しました。これらのデータは、地球の生態系、地質、海洋、大気に関する理解を深める上で重要な役割を果たしました。

ミッションの徽章

左側の5つの星と右側の9つの星は、このミッションの番号がSTS-59であることを示しています。

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