T48小銃

T48：アメリカ軍の選定から漏れたバトルライフル

T48（正式名称：Rifle, Caliber .30, T48）は、1950年代半ばにアメリカ軍がM1小銃の後継を検討する過程で試験に提出されたバトルライフルです。ベルギーで開発されたFN FALをライセンス生産したものでしたが、最終的にアメリカ軍はM14小銃を採用したため、T48が実戦で使われることはありませんでした。

開発の背景

第二次世界大戦後、北大西洋条約機構（NATO）は小銃の標準化を推進するために「小銃運営委員会」を結成しました。この委員会とアメリカのFALへの関心が、FALの開発方針に大きな影響を与えました。FALは当初、中間弾薬を使用するように設計されていましたが、アメリカとNATOの関心を受けて、新たに開発された7.62×51mm NATO弾を使用するように設計変更されました。アメリカ政府は、もしFALが7.62×51mm弾を使用するように再設計されれば、アメリカで採用される可能性を示唆しました。また、FN社は第二次世界大戦の連合国に対し、ベルギー解放の礼としてFALの生産をライセンス料なしで許可するとも伝えられました。

アメリカでの試験

アメリカ軍は、いくつかの形式でFALをテストしました。初期にはFN社によって実験的な構成で製造され、その後、M1小銃に代わる新しい軽量自動小銃の公式な競争相手として、最終的なT48の構成で製造されました。アメリカ陸軍は、T48のアメリカ国内での製造可能性を評価するため、アメリカに拠点を置く2社を含む3社からT48を調達し、試験を行いました。試験用として、T48はベルギーのエルスタルにあるFN社、マサチューセッツ州ウースターのハリントン&リチャードソン社、コネチカット州ハートフォードのハイスタンダード社によって製造されました。

T48とT44の比較

T48/FALは、同じくM1小銃の後継候補であったT44と比較されました。T44は、着脱式弾倉とセレクティブファイア機能を備えたM1の改良型でした。初期の試験では、T48とT44はほぼ同等の性能であることが判明しました。しかし、1953年12月に行われた極寒環境での試験で、両者の運命が分かれることになりました。T44の選定を確実にしたかったスプリングフィールド造兵廠は、T44のガスレギュレーターの再設計や、極寒での摩擦や焼き付きを減らすための部品の改造など、念入りな準備を行っていました。一方、T48にはそのような特別な準備は行われず、試験中にガスシステムの問題が発生し始めました。FN社のエンジニアは、機能改善のためにガスポートを開放しましたが、圧力上昇により早期に激しい損傷と部品の破損が起こりました。その結果、寒冷地での運用においてT44の優位は明らかであると評価されました。

M14の採用

最終的に、T44がT48を下して選定されました。その理由としては、T44がT48より1ポンド軽量であったこと、部品点数が少なく構造が単純であったこと、セルフコンペンセイティング・ガスシステムを備えていたこと、そしてM1小銃用の生産設備を流用して製造できると説明されたこと（後に不可能と判明）が挙げられました。そして1957年、アメリカ軍はT44をM14として正式に採用することを決定しました。

派生モデル

T48E1

試験において、FALのヘビーバレルライフル（FAL 50.41など）がT48E1という名称で少量受領されましたが、アメリカ軍では採用されませんでした。

SALVO小銃

T48は、1956年にウィンチェスター社がスプリングフィールド造兵廠の認可を得て実施したSALVO計画で利用されました。この計画では、T48をベースに.22口径弾（T65弾）への適応と銃身の水平2連化の改造が行われました。この小銃は、2つの撃針とエキストラクターを備えた1本のボルトと、1つの重いハンマーを内蔵していました。弾倉は2つ挿入する仕様でしたが、片方だけを挿入して単一の銃身のみで射撃することも可能でした。射撃時の空薬莢は左右に排出されました。1957年には完成しましたが、反動などの問題から最終的に採用には至りませんでした。なお、この小銃以前にも.22口径のT48が試作されており、弾薬の実験に投入されています。

関連項目

小銃・自動小銃等一覧
L1A1
G1
StG58
* EM-2

脚注

外部リンク

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