THE BEST / 南沙織 -1982年版-

『THE BEST / 南沙織』 (1982)

『THE BEST / 南沙織』は、日本の歌手、南沙織によって1982年11月1日にリリースされたベストアルバムです。CBSソニー（現：ソニー・ミュージックレーベルズ）から発売されました。

このアルバムは、南沙織の作品群において、極めて重要な意味合いを持つ一枚として位置づけられています。それは、音楽メディアが従来の主流であったアナログレコード（LP）から、コンパクトディスク（CD）へと本格的に移行していく過渡期にあたる時期に発売され、南沙織のキャリアにおける「LPでリリースされた最後のベストアルバム」となったためです。

翌年、1983年11月5日に発売された次作のベストアルバム『南沙織のすべて』は、CDとしてもリリースされ始め、以降、音楽ソフトの主流は急速にCDへとシフトしていきます。このようなメディアの変遷期に発売された本作は、一つの時代の終わりを象徴する作品とも言えるでしょう。

本作『THE BEST / 南沙織』は、アルバム単体としては現在まで公式なCD復刻は行われていません。しかしながら、収録曲として収められている楽曲そのものは、既に様々な形でCD化されており、現在でも入手可能です。例えば、ソニーミュージックが運営するオンラインストア「Sony Music Shop」等で販売されている6枚組のCD-BOXセット『Cynthia Memories』には、本作に収録された全ての楽曲が網羅されています。

ただし、一点注意すべきは、CD-BOX『Cynthia Memories』に収録されている「哀愁のページ」は、この1982年版『THE BEST』に収録されているオリジナルバージョンとは異なるバージョンが収められているという点です。

本作には、南沙織の代表的なヒット曲や人気曲が厳選して収録されています。

収録曲

Side A
1. 17才
作詞: 有馬三恵子、作曲・編曲: 筒美京平
（第22回NHK紅白歌合戦 歌唱曲）
2. 潮風のメロディ
作詞: 有馬三恵子、作曲・編曲: 筒美京平
3. 純潔
作詞: 有馬三恵子、作曲・編曲: 筒美京平
（第23回NHK紅白歌合戦 歌唱曲）
4. 哀愁のページ
作詞: 有馬三恵子、作曲・編曲: 筒美京平
5. 早春の港
作詞: 有馬三恵子、作曲・編曲: 筒美京平
6. 傷つく世代
作詞: 有馬三恵子、作曲・編曲: 筒美京平

Side B
1. 色づく街
作詞: 有馬三恵子、作曲・編曲: 筒美京平
（第24回NHK紅白歌合戦 歌唱曲）
2. ひとかけらの純情
作詞: 有馬三恵子、作曲・編曲: 筒美京平
3. 想い出通り
作詞: 有馬三恵子、作曲: 筒美京平、編曲: 萩田光雄
4. 人恋しくて
作詞: 中里綴、作曲: 田山雅充、編曲: 水谷公生
（第26回NHK紅白歌合戦 歌唱曲）
5. 春の予感‐I've been mellow‐
作詞・作曲・編曲: 尾崎亜美
6. Good-bye Girl　-English-
作詞・作曲: David Gates、編曲: 川村栄二

収録曲を見ると、「17才」から「色づく街」まで、南沙織の初期から中期にかけての多くのヒット曲で筒美京平が作曲・編曲を手掛けていることがわかります。また、中期以降の代表曲である尾崎亜美作の「春の予感‐I've been mellow‐」や、外国曲のカバーである「Good-bye Girl」なども含まれており、彼女の音楽性の幅広さも感じられる選曲となっています。

過去にも同名または類似タイトルのベストアルバムが複数発売されており、「THE BEST」という名称を冠したシリーズの系譜に連なる作品ですが、この1982年版は、LPレコードの時代を締めくくる記念碑的な作品として、南沙織のディスコグラフィにおいて特筆されるべき一枚と言えるでしょう。

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