TM-170装甲兵員輸送車

TM-170 装甲兵員輸送車の概要

TM-170は1979年に西ドイツのティッセン・ヘンシェル（現在のラインメタル・ランドシステムズ）社によって開発された四輪式装甲兵員輸送車です。この車両は、UR-416の後継モデルとして位置づけられており、その設計と機能は多国籍な軍事活動に適応するよう考慮されています。

車両の構造と特性

TM-170はウニモグのシャーシを基に、装甲化が施された車体を持つことが特徴です。この車両は優れた浮航能力を有しており、最大時速9kmで水上を航行することが可能です。これにより、河川や水域を越える強みを発揮します。

車体は防弾鋼板を使用して溶接製作されており、UR-416にはない新たな設計として、操縦席の前面および側面には広範囲にわたる防弾ガラスが採用されています。この設計により、操縦者には十分な視界が提供され、トラブルが発生した場合でも周囲の状況を適切に把握することができます。必要に応じて、装甲板で窓部位を覆うことができるため、安全性と視覚の確保のバランスが考慮されています。屋根には三基のペリスコープが取り付けられており、視界の維持に貢献しています。

運用と装備

TM-170は基本的には軍の後方警備や警察および治安部隊での利用を目的としていますが、さまざまなオプション装備の取り付けが可能です。たとえば、7.62mm機関銃や12.7mm重機関銃、40mmグレネードマシンガンを搭載するためのマウントや、さらには20mm機関砲を装備できる砲塔も装着できます。また、NBC防護装備、暗視装置、ドーザーブレードなど、さまざまな機能を持たせることができるため、幅広い任務に対応可能です。

採用国

TM-170は多くの国で採用されています。その中には、ドイツや連邦警察、クウェート、北マケドニアがあります。北マケドニア共和国軍は、2024年時点で84両のTM-170を保有しています。そのほか、ルクセンブルク、スペイン、オーストリア、韓国でも運用されています。特に韓国では、大宇グループの手により「バラクーダ」という名称でライセンス生産が行われています。また、インドネシアも韓国製のバラクーダを採用しています。

日本では、横浜市消防局および北九州市消防局が「耐熱装甲型救助車」として使用していましたが、現在は廃車となっています。その中でも横浜市消防局に配備されていた車両は、2000年の有珠山噴火時に緊急消防援助隊として成し遂げた救出作業で知られています。

まとめ

TM-170はその性能や設計から見ると、多国籍な警備活動や艱難な救出ミッションに適した装甲兵員輸送車であり、その活用は多岐にわたります。防護性能や操作性、運用の柔軟性が高く評価され、本車両は今後も多くの場面で目にすることが予想されます。

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