TOI-500

TOI-500星系

TOI-500は、地球からおよそ47.4パーセク（約154光年）の距離に存在する恒星です。この星の周囲には、少なくとも4つの太陽系外惑星が存在することが確認されており、これらの惑星は2022年に発見された多惑星系として知られています。この星系に含まれる惑星は、内側から順に、超短周期の地球型惑星、スーパーアースまたは地球型惑星、そして2つの海王星型惑星であると考えられています。

恒星TOI-500の性質

TOI-500という名称は、トランジット系外惑星探索衛星（TESS）による観測で惑星候補が見つかった天体に与えられる符号である「TESS object of interest」の頭文字に由来します。この恒星は、太陽と比べてやや小型で低温のK型主系列星に分類され、そのスペクトル型はK6です。質量は太陽の約0.74倍、半径は約0.68倍と見積もられています。HARPSやスーパーWASPを用いた観測からは、TOI-500は約40日から45日という自転周期を持っていることが示唆されています。「TIC 134200185」という名称も持ち、こちらに含まれる「TIC」はTESSの観測対象天体リストである「TESS Input Catalog」を意味します。

惑星系の構成と発見

TOI-500星系に属する4つの惑星、TOI-500 b、c、d、eは、主にTESS衛星によるトランジット観測や高精度視線速度系外惑星探査装置（HARPS）によるドップラー分光法を用いた観測データから、2022年にその存在が確認されました。最初の惑星候補であるTOI-500 bは、2019年のTESS観測で検出され、その後のフォローアップ観測を経て2022年の論文で他の高温・短周期惑星と共に確認が報告されました。残る3つの惑星、c、d、eは、主にHARPSによる視線速度測定から検出され、同じく2022年に発表された別の論文でその存在が示されました。

惑星個別の特徴

TOI-500 b:
最も内側を公転する惑星で、TESS衛星によるトランジット法で発見されました。その半径は約1.16地球半径と測定されており、地球型惑星に分類されます。公転周期は約0.55日という非常に短いもので、超短周期惑星（USP）として特徴づけられます。地球から見て恒星の手前を通過するトランジット現象が観測されています。

TOI-500 c, d, e:
これらの惑星は、主にHARPSによるドップラー分光法で検出されました。公転周期はそれぞれ約6.6日（c）、約26.2日（d）、約61.3日（e）です。TOI-500 bとは異なり、これらの惑星のトランジットは観測されていません。そのため、その軌道傾斜角は不明であり、質量も最小質量（m sin i）としてのみ測定されています。測定された最小質量に基づいて、TOI-500 cは質量が約3.3地球質量でスーパーアースまたは地球型惑星である可能性が高く、TOI-500 dは約12.4地球質量、TOI-500 eは約15.3地球質量で海王星型惑星であると考えられています。

星系全体の特性

TOI-500星系の4つの惑星は、いずれも軌道離心率が小さく、恒星の周囲をほぼ円軌道で公転しています。この星系は、最も内側に小型の超短周期惑星を持ち、その外側に木星型惑星ではない複数の惑星が配置されているという特徴的な構成を持っています。各惑星の質量が比較的正確に測定されている点は、惑星系の形成や進化モデルを検証する上で重要な情報を提供します。類似の構成を持つ多惑星系として、TOI-561系などが研究されています。

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