V字型車体

V字型車体（V-hull）

V字型車体は、装甲兵員輸送車（APC）、歩兵機動車（IMV）、歩兵戦闘車（IFV）などで用いられる装甲車両の設計手法の一つです。地雷や即席爆発装置（IED）の爆風から乗員と車体を保護することを目的としています。

歴史

V字型車体の設計は、1970年代に登場したレオパルド装甲車にそのルーツが見られます。ローデシア紛争において対戦車地雷の脅威にさらされた南アフリカでは、V字型装甲車両の開発が盛んに行われました。ランド・システムズOMC社製のラーテル歩兵戦闘車、ブッフェル装甲兵員輸送車、マンバ装甲兵員輸送車などがその代表例です。

デザイン

V字型車体の最大の特徴は、その名の通りV字型に成形された傾斜装甲です。この傾斜が爆発の衝撃波や破片のエネルギーを分散させ、車体内部への貫通を防ぎます。装甲板に角度をつけることで、装甲材の使用量を抑えつつ、乗員の生存性を高めることができます。

V字型車体の設計には、いくつかの異なるアプローチがあります。

モノコック・シャシへの組み込み：BAEシステムズ社のRG-31やRG-33のように、V字型車体をモノコック構造のシャシに直接組み込む方式です。
ボディ・オン・フレーム構造への適用：ATFディンゴやマックスプロのように、V字型車体のコンポーネントをボディ・オン・フレーム構造に組み込む方式です。動力伝達系をV字型または半円形の部位で保護する例もあります。
乗員保護の優先：クーガー装甲車のように、V字型構造で乗員コンパートメントを保護し、動力伝達系やサスペンションが破損しても乗員の安全を確保する方式もあります。

ストライカー装甲車の大規模アップデートでは、「ダブルV車体」と呼ばれるさらに進化した防爆構造が導入されました。具体的な構造は詳細には公開されていませんが、車体底部に2条のV字構造（断面形状はW字型）を持ち、防護範囲を兵員の座席がある車内左右に限定する代わりに、車高の上昇や有効容積の減少を抑えることを目的としていると考えられます。

画像

(ギャラリーの画像は省略)

関連項目

MRAP（耐地雷・伏撃防護車両）

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