なにわ野菜

なにわ野菜とは

なにわ野菜とは、主に現在の大阪府で伝統的に生産されてきた野菜の在来品種のことです。大阪は江戸時代から「天下の台所」と呼ばれ、食文化が発展しました。しかし、都市化の進行とともに、栽培されていた在来品種は衰退していきました。

こうした状況を憂慮した大阪府は、2005年に「なにわの伝統野菜」認証制度を設けました。この制度は、おおむね100年以上前から府内で栽培されていることや、品種の来歴が府内に由来することなどを基準に、21品目を認証しています。

2006年には、大阪府と府内の消費者団体が「大阪産（おおさかもん）」という統一ブランドマークを制定し、なにわ野菜を含む大阪産品の普及に努めています。また、JA全農大阪と共同で、東アジア・東南アジア市場への展開も視野に入れています。

関西大学では、なにわ野菜を文化遺産の一つと捉え、「なにわ・大阪文化遺産学研究センター」で栽培研究を行っています。

なにわ野菜の種類

以下は、なにわの伝統野菜として認証されている主な品種です。

キュウリ:
毛馬胡瓜（けまきゅうり）：大阪市都島区で栽培されていた黒イボ系のキュウリ。奈良漬けに用いられました。
シロウリ:
玉造黒門越瓜（たまつくりくろもんしろうり）：大阪市中央区玉造原産。かす漬けとして親しまれていました。
服部越瓜（はっとりしろうり）：高槻市で栽培されています。
カボチャ:
勝間南瓜（こつまなんきん）：大阪市で栽培されていたカボチャ。
カブ:
天王寺蕪（てんのうじかぶら）：大阪市天王寺区・阿倍野区原産。与謝蕪村の句にも詠まれた名産品。野沢菜のルーツとも言われています。
葉菜類:
大阪しろな：別名天満菜。
高山真菜：豊能町で栽培されています。
ダイコン:
田辺大根：大阪市東住吉区で栽培されています。
守口大根：守口市原産。細長い大根で、漬物などに用いられます。
ナス:
鳥飼茄子（とりかいなす）：摂津市鳥飼地区原産。水ナスと並ぶ大阪の伝統的なナス。
水なす：大阪市・貝塚市などで栽培される、水分が多くて柔らかいナス。
ニンジン:
金時人参：大阪市浪速区付近で栽培されていた「大阪人参」。
クワイ:
吹田慈姑（すいたくわい）：吹田市で栽培されています。
ウド:
三島独活（みしまうど）：茨木市千提寺地区原産。
ゴボウ:
高山牛蒡（たかやまごぼう）：豊能町で栽培されています。
八尾若ごぼう：八尾市で栽培されています。
レンコン:
河内蓮根（かわちれんこん）：門真市周辺で栽培されています。
タマネギ:
泉州黄玉葱（せんしゅうきたまねぎ）：岸和田市などで栽培されています。
シソ:
芽紫蘇（めじそ）：大阪市で栽培されています。
エンドウ:
碓井豌豆（うすいえんどう）：羽曳野市原産。
ネギ:
* 難波葱（なんばねぎ）：大阪市原産。九条ネギの原種と言われています。

ブランドとしての認定基準

なにわの伝統野菜として認証されるためには、以下の3つの基準を満たす必要があります。

1. おおむね100年前から大阪府内で栽培されてきた野菜であること。
2. 苗、種子等の来歴が明らかで大阪独自の品目、品種であり、栽培に供する苗、種子等の確保が可能なこと。
3. 府内で生産されていること。

これらの基準を満たすことで、「なにわの伝統野菜」としてのブランドが確立され、その価値が守られています。

まとめ

なにわ野菜は、大阪の食文化を支えてきた貴重な財産です。近年、その価値が見直され、生産者や研究者たちの努力によって、再び食卓に並ぶ機会が増えています。なにわ野菜を味わうことは、大阪の歴史や文化に触れることにも繋がります。ぜひ、その豊かな風味を堪能してみてください。

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