アカメ

アカメ（赤目）

アカメ（学名: Lates japonicus）は、アカメ科に分類される大型の肉食魚で、日本の固有種です。主に西日本の太平洋沿岸に分布し、河口などの汽水域に生息しています。その希少性と独特な外見から、「日本三大怪魚」の一つとして知られています。

別名

アカメは地域によって様々な別名で呼ばれています。

メヒカリ（徳島県）
ミノウオ（高知県）
マルカ（宮崎県）
カワヌベ（志布志湾沿岸）
オキノフナ、オキノコイ（種子島・屋久島）

これらの別名からも、アカメが地域に根ざした魚であることがわかります。ただし、「アカメ」や「メヒカリ」は他の魚を指す場合もあるため、注意が必要です。

特徴

成魚は全長1メートルを超える大型魚で、体は一様に銀白色をしています。背中側はやや灰褐色がかっています。幼魚の頃は黒褐色で、額に黄白色の縦線、体側に横しまや斑点があり、成魚とは全く異なる外見をしています。顔つきはスズキに似ていますが、体高が高く、背中が大きく盛り上がっているのが特徴です。

アカメの最大の特徴は、暗い場所で光を反射すると目が赤く光ることです。この赤い光が「アカメ」という名前の由来となっています。近縁種のバラマンディも同様に目が光りますが、バラマンディの目は金色に光ります。

また、アカメとバラマンディは臀鰭の形状にも違いがあります。アカメは2番目の棘条が最も長い一方、バラマンディは3番目の棘条が最も長いです。かつては同一種とされていたこともありましたが、1984年に片山正夫と多紀保彦によって別種として記載されました。

ゲノム解析の結果、アカメの遺伝的多様性は低く、約3万年前から個体数が1000個体前後と少ないまま生存してきたことが明らかになっています。また、バラマンディとは異なり、温帯域で独自に進化・生存してきたことも判明しています。

生態

アカメは、黒潮に面した西日本の太平洋沿岸域にのみ分布する日本固有種です。主な分布域は宮崎県と高知県ですが、種子島・屋久島から静岡県にかけて記録があります。

成魚は沿岸の浅い海に生息し、河口や内湾の汽水域に頻繁に侵入します。汽水域への侵入は、餌を探すだけでなく、浸透圧の低い環境で体についた寄生虫を弱らせて落とす目的もあると考えられています。肉食性で、主に小魚を捕食します。夜行性で警戒心が強く、夜や雨の日に汽水域へ侵入することが多いです。

産卵についてはまだ不明な点が多いですが、夏に海域で産卵すると考えられています。稚魚は汽水域に集まり、アマモなどの藻場で生活します。稚魚や幼魚は、藻場で頭を下にしてとどまる習性があり、小魚や甲殻類を捕食して成長します。

人間との関わり

アカメは釣りや定置網などで漁獲され、食用とされています。身はスズキに似た白身で、刺身や塩焼きなどで食べられます。また、大型で強い引きをするため、釣りの対象としても人気があります。

2016年には、高知県で重さ39キロ、全長131センチのアカメが釣り上げられ、日本記録となりました。

保全状況

アカメは、分布域が狭く生息数も少ないため、環境省レッドリストで絶滅危惧IB類（EN）に指定されています。各地で保護活動が行われていますが、希少価値の高さから稚魚の密漁や、環境汚染、海辺の開発などによる藻場の消失が問題となっています。

宮崎県では、アカメを指定希少野生動植物の一種として指定し、捕獲などを禁止しています。

近縁種

バラマンディ (Lates calcarifer)
ナイルパーチ (Lates niloticus)
アカメモドキ (Psammoperca waigiensis)

これらの魚もアカメ科に属し、それぞれ異なる特徴を持っています。

まとめ

アカメは、日本固有の貴重な魚であり、その生態や保全状況についてより多くの人に知ってもらう必要があります。今後の保護活動の推進が期待されます。

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