ウィリアム・キッド

ウィリアム・キッド（キャプテン・キッド）

ウィリアム・キッド（William Kidd、1635年頃 - 1701年 5月23日没）は、スコットランドに生まれた船長です。私掠船および海賊船の指揮官として歴史に名を残し、「キャプテン・キッド」の通称で広く知られています。

生涯の始まりと船乗りとしての活動

キッドの活動が歴史記録に現れるのは、彼が50歳を過ぎた頃からです。スコットランドのグリーノックで長老派牧師の子として生まれた彼は、少年時代を故郷で過ごした後、北米大陸へと渡りました。アメリカでの詳しい足跡は不明ですが、船乗りとして生計を立てていたか、あるいは西インド諸島で非合法な活動に関わっていたと考えられています。

その後、ブリガンティン船ブレスト・ウィリアム号を率いて西インド諸島で私掠行為を行い、ある程度の名声を確立しました。しかし、1691年には部下の反乱に遭い、アンティグア島に取り残されるという経験もしています。この出来事の後、再び海へと出たキッドは、アメリカ植民地を襲撃していたフランス船を拿捕し、その功績によりニューヨーク植民地議会から表彰され、特別報奨金150ポンドを受け取りました。これにより、彼の名はニューヨークのみならず、他の植民地にも知られるようになりました。その後、ニューヨーク市で未亡人のサラ・オグデン（資料によってはセアラ・オート）と結婚し、一時的に商人として活動しました。

私掠船長への転身

1695年、キッドは私掠免許の取得を目指し、ロンドンへ向かいました。当時のアメリカ植民地はイギリスの法律により経済的に困窮しており、インド洋などで略奪を行う海賊たちを支援していました。植民地は海賊が略奪品を売却する拠点となり、北米には多くの海賊が集結していましたが、世界各地で戦争を抱えていたイギリス政府は、これらの海賊行為に十分な対処ができていませんでした。そのため、海賊退治を私掠船に委ねるという方針が取られました。

海賊退治の任務を託されたニューヨーク総督ベロモント伯リチャード・クートは、ジョン・サマーズ卿やオーフォード伯エドマンド・ラッセルら有力者たちと共に準備を進めました。ロンドンにいたベロモント伯は、適任の船と船長を探している最中に、キッドの知人であるロバート・リヴィングストン大佐と出会います。大佐はキッドをベロモント伯に紹介しました。

キッドは海賊に関する詳細な知識を持っていたため、ベロモント伯から政府船の指揮官となるよう推薦を受けましたが、理由は不明ながら実現しませんでした。これを受けて、ベロモント伯は自らの資金で新たな船を建造し、キッドをその船長とするための委任状を個人的に入手しました。こうして建造されたアドヴェンチャー・ギャレー号は、排水量287トン、大砲34門、乗員150名を擁する船でした。キッド自身も建造費用6000ポンドのうち600ポンドを出資しています。キッドは海賊を捕獲する権限と、航海中に遭遇したフランス船を拿捕する権限を与えられました。

1696年 3月1日、アドヴェンチャー・ギャレー号はテムズ川近辺でイギリス海軍による強制徴募を受け、19日間の足止めを余儀なくされました。同年5月にプリマスを出港した後、大西洋で小規模な船をいくつか襲撃し、ニューヨークへ向かいました。ニューヨークでは略奪品を売却し、強制徴募で減少した乗組員を補充しました。9月7日にニューヨークを出港し、マデイラ島、ボナヴィスタ島、セントヤーゴ島で補給を行った後、海賊の根拠地として知られるマダガスカルを目指しました。

喜望峰を通過する直前、キッドはイギリス海軍のウォーレン船長と遭遇し、衝突してしまいます。ケープタウンへの寄港を取りやめ、ウォーレンを避けるためコモロ諸島のヨハンナ島へ針路を変更しました。この島は火山島であり、海賊の拠点としても利用されていました。ヨハンナ島では、キッドの悪評を聞きつけていたセヴァーン号とスカーバラ号に遭遇し、両船がキッドによる東インド会社船襲撃の情報を得たことから関係は極度に悪化しました。文字通り一触即発の状態となり、キッドは4月27日に島を離れました。

キッドは周囲にはマダガスカルのセント・マリー島へ向かうと告げましたが、実際にはコモロ諸島のモヒラ島へ赴き、そこで海賊を待ち伏せしようとしましたが、狙いは外れ海賊は現れませんでした。ヨハンナ島に戻った後、同年7月に紅海のバブ・エル・マンデブ海峡にあるペリム島へ移動しました。

この時点で一味は目立った獲物を得ておらず、乗組員の中には海賊行為への転換を支持する声が上がり始めていました。

海賊行為へ

ペリム島から偵察隊を送ったキッドは、ムーア人の財宝船団が接近しているとの情報を得ました。彼は乗組員に海賊行為を決行することを伝えましたが、反対する者はいませんでした。キッドらはイギリスとオランダの護衛艦に守られたムーア人の財宝船団を発見し、襲撃を試みましたが、護衛艦に阻まれ撤退を余儀なくされました。

その後も海賊稼業を続けたキッドは、インドのマラバール海岸で小型船を襲撃しましたが、財宝は積んでおらず、コーヒーと胡椒を略奪した後に船を解放しました。インド沖ではポルトガル軍艦2隻と遭遇し、そのうち1隻を撃破しています。

運命的な出来事が起こったのは10月30日です。オランダの財宝船ロイヤル・キャプテン号を襲撃しなかったことを乗組員のウィリアム・ムーアに咎められたキッドは口論となり、鉄で補強されたバケツでムーアを殴打し、死に至らしめてしまいました。この事件をきっかけに、キッドは本格的に海賊行為を行うことになります。

11月27日には、インドのカルワール沖で大型船「処女号」を拿捕しました。処女号はオランダ人船長が率いるムーア船でしたが、フランス東インド会社の通航書を所持していました。キッドは私掠免許を盾に合法的な略奪であると主張し、処女号からかなりの財宝を得ました。処女号はノーヴェンバー号と改名され、アドヴェンチャー・ギャレー号と共に航海を続けることになりました。

一味はインド洋のラカダイヴ諸島で船体の修理を行いました。この島で、乗組員の一人が現地住民との争いの末に殺害される事件が発生します。怒ったキッドは容疑者を木に縛り付けて処刑し、村を焼き払いました。

1698年 2月、キッドはインドのコーチン沖で、アルメニア人商人コギ・ババ所有の船「ケダー・マーチャント号」を発見し略奪しました。この船は当時総額で71万ポンド（うち財宝5万ポンド）の財宝を積んでいました。キッドはフランス国旗を掲げて接近しました。この略奪で一味が手にした財宝は、現代の価値で2300万ドルから1100万ドルとも試算されています。

マダガスカルでの展開

アドヴェンチャー・ギャレー号、ノーヴェンバー号、ケダー・マーチャント号を率いたキッドはサント・マリー島に到着します。この地で彼は、かつて自身の副船長を務めていたものの、後に船を盗んで海賊となったロバート・カリフォードと、彼の船モカ号に出会いました。カリフォードはイギリス東インド会社に雇用された重装備船レゾリューション号の船長でしたが、船を持ち逃げしてモカ号と改名し、インド洋の海賊に転じていました。

キッドとカリフォードは酒を酌み交わし、互いに物品を贈るなど親交を深めました。本来、海賊退治のために派遣されたキッドが海賊を助けるという、任務に反する行動でした。

しかし、キッド自身はこの出来事について異なる証言を残しています。彼は、セント・マリー島到着時にカリフォード一味を発見し、彼らを拘束しようとしたが、乗組員が命令に従わなかったと主張しています。その後、ケダー・マーチャント号から得た略奪品を乗組員に分け与えたところ、ほとんどの者が反乱を起こし、カリフォードに合流してしまったため、キッドの元にはわずか18人の船員しか残らなかったと述べています。

損壊が激しかったノーヴェンバー号とアドヴェンチャー・ギャレー号はサント・マリー島近海に沈められました。1698年11月15日、残った一味はケダー・マーチャント号に乗り込み、島を出航しました。

追跡と逮捕

モザンビークのセント・オーガスティン島では、置き去りの刑に処されていたマルーナー（船から追放された者）を乗組員に加えました。その後、喜望峰を回るための風を5ヶ月間待ちました。西インド諸島のアングイラ島で自身が「東インドの疫病神」として手配されていることを知ったキッドは、パトロンであるベロモント伯の助力を得ようとしました。連絡を取れるまでセント・トマス島の宿屋に宿泊しようとしましたが、お尋ね者であることを理由に拒否されました。

カリブ海で商人ボールトンと出会ったキッドは、お互いの船を交換する交渉を行い、ボールトンのスループ船（サン・アントニオ号）を譲り受けました。契約では、ケダー・マーチャント号と積荷の財宝（3万ポンド以上）は、キッドが3ヶ月以内に戻らなければボールトンの所有物となることになっていました。船を交換した理由は、ケダー・マーチャント号が大きすぎて目立つためでした。キッドはアントニオ号に一部の財宝（1万ポンド）を積み込みアメリカへ出発し、ケダー・マーチャント号は残りの財宝と共にイスパニオラ島近海に留め置かれました。

1699年 4月末、国王は喜望峰東部からコーモリン岬までの海域での海賊行為に対し、期日までの自首を条件に罪の免除を布告しましたが、キッドとエイヴリーは例外とされました。自身が恩赦の対象外であることを知ったキッドは、ロング・アイランドに到着後、ベロモント伯に会うためボストンへ向かいました（ベロモント伯はキッドを誘き寄せるために偽の歓迎の手紙を送っていたとされます）。

歓迎の手紙を受け取ったキッドは、サン・アントニオ号の積荷を運ぶため3隻のスループ船をブロック島に派遣しました。また、財宝が後に発見されることになるガーディナー島とブロック島を何度か往復しています。ボストンに到着したキッドはベロモント伯に裏切られ、逮捕されてボストンの刑務所に投獄されました。逮捕前、キッドはアメリカ各地の人々に略奪品の一部を分け与えていたとされ、ベロモント伯はそれらの回収を試み、いくつかの財宝が発見されました。ベロモント伯によって発見された財宝（1万4000ポンド）とキッド自身は、アドバイス号に乗せられてイギリス本国へ送還されました。

裁判と最期

キッドがイギリスに送還されてから約一年後、ホイッグ党と敵対する政治家たちが彼を下院に召喚し、ホイッグ党にとって不利な証言を引き出そうとしましたが、これは成功しませんでした。

1700年5月、キッドに対する裁判がムーア殺害と海賊行為の罪で始まりました。キッドは、ムーア殺害は偶発的であり、ムーアの反乱的な態度に対する正当防衛であったと主張しました。また、ケダー・マーチャント号はフランス船であったため、その拿捕は私掠行為として合法であり、海賊行為には当たらないとして無罪を主張しました。しかし、これらの主張は認められず、両方の罪で有罪判決が下されました。

ケダー・マーチャント号がフランス船であることを示す通行書が存在したとされますが、裁判時には紛失していました。ただし、キッドはケダー・マーチャント号以外にも略奪行為を行っていたため、通行書の有無が裁判結果に大きな影響を与えた可能性は低いと考えられています。最終的に、キッドは5件の海賊行為と殺人の罪で死刑を宣告されました。

処刑後、キッドの遺体にはタールが塗られ、散り散りにならないよう鉄輪を嵌められた鉄の檻に入れられ、海賊を志す者への警告としてテムズ川沿いの絞首台に数年間吊るされました。彼の死後、キッドを称えるバラッドが多数作られ、一部は現在でも聴くことができます。

イスパニオラ島近海に留め置かれたケダー・マーチャント号とその財宝の行方は長らく不明でした。ベロモント伯が派遣した探索船の船長エバーツは、ボールトンがケダー・マーチャント号に火を放って破棄し、財宝はキュラソー島で売却されたと報告しました。しかし、「船はボールトンによってニューイングランドに運ばれてから破棄された」説や、「船も財宝も手付かずのまま今もどこかに眠っている」説など、様々な推測が語られています。2007年には、ドミニカ共和国のカタリナ島沖で、ケダー・マーチャント号と思われる船が発見されました。

政争に巻き込まれたという見方

一般的には、キッドは貴族などの出資者を騙し、その資金を元手に海賊行為を行ったとされています。しかし、ロンドンのミュージアム・オブ・ロンドン・ドックランズで開催された展示「海賊キャプテン・キッド物語」では、異なる見方を示しています。それによると、キッドの疑わしい事業はスポンサー側の意図によるものであり、それによって利益を脅かされると考えた東インド会社が裏で工作を行い、キッドを犯罪者に仕立て上げたという説です。実際、キッドの裁判においては、彼の無実を示す証拠が紛失したり、彼に有利な証拠の提出が禁じられたりしたとされています。

フィクションと財宝伝説

キッドは逮捕される前にガーディナー島に財宝を埋蔵したとされています。この財宝は後にベロモント伯の部下によって発掘されましたが、それとは別に、キッドの未発見の財宝が世界のどこかに隠されているという「財宝伝説」が人々の間で語り継がれるようになりました。現代の試算では、キッドが手にした略奪品の総額は40万ポンドに上るとも考えられています。

投獄中のキッドは、看守を通じてベロモント伯に財宝に関する取引を持ちかけました。厳重な監視の下で、ケダー・マーチャント号が破棄された場所、さらにカリブ海のセント・トーマス島やキュラソー島へ案内すれば、5万から6万ポンドの財宝を手にできるという内容でした。ベロモント伯はキッドとの関係を断ち切りたかったためこの提案を断りましたが、看守に財宝の話を聞き出すよう依頼しました。しかし、看守はキッドから具体的な情報を得ることはできませんでした。

また、キッドは処刑される数日前に、英国下院議長ロバート・ハーレー宛てに手紙を書いています。「私は10万ポンドの財宝をどこかに隠した。もし絞首刑を免除してくれるなら、その隠し場所まで案内しよう」という内容でした。10万ポンドは現代の価値で800万から900万ポンド、ドル換算で2000万ドルに相当するとされます。この手紙に関する噂はすぐに広まり、キッドの隠し財宝を探し求める人々が現れました。

隠し財宝の内訳や金額は時代と共に誇張され、その隠し場所もニューイングランド沿岸、アメリカ東海岸、西インド諸島の島々といった従来の候補地に加え、時代が下るにつれてキッド自身が訪れていない日本の南西諸島、アメリカ太平洋岸、フィリピンなども候補地に挙げられるようになりました。

キッドの財宝伝説はフィクションの世界にも大きな影響を与えています。エドガー・アラン・ポーの小説『黄金虫』にはキッドの財宝そのものが登場し、ロバート・ルイス・スティーヴンソンの『宝島』に登場するフリント船長の財宝も、キッドの財宝をモデルにしたものと考えられています。

キッドの隠し財宝の行方については、現代でも様々な議論がされています。「キッドが語った財宝話は罪を逃れるための嘘である」「財宝は実在し、ベロモント伯か他の誰かによって密かに発見されたが公表されていない」「財宝は誰にも発見されず今もどこかに隠されている」などが主な説として語られています。

パルマーの海図と探検

1929年、海賊関連の遺物を収集していたヒューバート・パルマーという元弁護士が、「Captain William Kidd」「Adventure Galley 1669」といった銘が刻まれた17世紀の家具を購入しました。この家具を調べていると秘密の隠し場所が見つかり、そこから名称不明の謎の島を描いた海図が発見されました。海図には「1669」という年号や、島が位置する海域の名前「シナ海」、キッドのイニシャル「W.K.」などが記されていました。パルマーはさらに調査を進め、同様の海図を3つ発見したとされています（発見の経緯には諸説あります）。

海図に描かれた島はブーメランのような形状をしており、左右の突端がラグーンを囲み、その反対側にはサンゴ礁がある特徴的なものでした。パルマーはこれらの海図を本物と信じ、キッドの財宝が隠されているとされるシナ海の島を特定しようと試みました。

やがて、著名なトレジャーハンターであるマルコム・キャンベル卿と共に探検隊を組織し、シナ海の財宝島を目指す計画が立てられました。パルマーとキャンベルたちは作戦会議で海図を囲み、まるで少年のように目を輝かせていたといいます。しかし、第二次世界大戦の勃発により、この探検計画は中止されました。

パルマーは結局、探検を実現することなく1949年に亡くなりました。彼の死後、海図は家政婦のエリザベス・ディックに相続されましたが、現在は行方不明となっています。ディックは、いつか他の人々が探検隊を結成し、冒険に乗り出すことを願っていたと伝えられています。

ただし、歴史的な記録によれば、キッドが東洋へ渡ったという事実は存在せず、彼の航海範囲は東経75度を超えることはありませんでした。このため、パルマーの海図やそれに基づく探検計画の信憑性には疑問が呈されています。

日本における財宝伝説

日本の鹿児島県にあるトカラ列島の宝島にも、キャプテン・キッドが財宝を隠したという伝説が残っています。

この伝説が広まるきっかけの一つとして、1936年11月にアメリカの雑誌『Modern Mechanix』に掲載されたキッドの財宝伝説に関する記事があります。著者はキッドの生まれ変わりを自称する作家のハロルド・T・ウィルキンスでした。この記事には、パルマーが家具から海図を発見した話と共に、「MAR DEL」と書かれた古い地図が掲載されており、ウィルキンスはこれをパルマーが発見した海図であると紹介しました。

1937年 2月4日、日本の外務省宛てに匿名の手紙が届き、『Modern Mechanix』誌に掲載された「MAR DEL」の地図に描かれている島は、日本の南西諸島の島ではないかとの指摘がなされました。手紙には具体的な島名はありませんでしたが、この情報から派生し、やがてトカラ列島の宝島にキッドの財宝があるという話へと発展していきました。

日本のトレジャーハンターである八重野充弘氏によると、1973年に作家の畠山清行氏が『日本の埋蔵金』を出版したことで、宝島には多くの探索者が押し寄せるようになったといいます。また、トカラ列島の横当島がパルマーの海図に描かれた島に同定されたとも言われています。1952年6月23日付のシドニー・モーニング・ヘラルド紙は、「毎日新聞の22日の報道によると、Masahiro Nagashima氏に資金提供された日本のトレジャーハンターが横当島の洞窟で鉄製の箱に入ったキッドの財宝を発見した。その財宝は1億ポンドの価値があり、日本政府に提供される予定である」と報じました。沖縄県のアトゥク島や大神島にも同様の財宝伝説が残っています。

しかし、前述の通り、キッドの実際の行動範囲に東洋は含まれていません。また、日本における財宝伝説の火付け役となったハロルド・T・ウィルキンスは、1935年にキッドの財宝伝説とパルマーの海図の話をまとめた著書『Captain Kidd and his Skeleton Island』の中でも同様の「MAR DEL」地図を掲載していましたが、後にその地図がパルマーの本物の海図の使用許可が下りなかったために自身が捏造したものであることを告白しています。地図に記された財宝に至るまでの詳細な情報（暗号）も、出版社の指示で作られたものだったとされています。

その他の財宝探索事例

キッドの財宝伝説は世界中で人々の探求心を刺激しました。1983年には、コーク・グラハムとリチャード・ナイトがキッドの埋蔵財宝を求めてベトナムのフーコック島へ向かいましたが、ベトナム領土への不法入国により逮捕され、罰金と収監を科されました。また、トレジャーハンターのロベール・シャルーは、キッドがアングイラ島で自身が海賊として手配されていることを知った際に、島の砂浜に財宝を埋めた可能性を推測しています。

キッドの生涯は、時代の波に翻弄された船長が、任務から逸脱し海賊へと転落し、非業の最期を遂げた物語であり、その死後、彼にまつわる財宝伝説が世界の海を舞台に語り継がれることで、多くの人々の想像力を掻き立て続けています。

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