カラーユニバーサルデザイン(CUD)とは
カラーユニバーサルデザイン(CUD)は、
色の見え方が一般と異なる人(
色覚異常、
白内障、
緑内障など)にも、情報がきちんと伝わるように
色使いに配慮したユニバーサルデザインの一種です。この概念は、「
NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)」によって提唱され、一般的にはカラーバリアフリーやユニバーサルデザインカラーとも呼ばれます。
CUDの必要性
2007年の時点で、
色覚に差異がある人は日本国内で300万人以上、世界では2億人にも上ると推定されています。
1994年に
色覚に関する調査が廃止され、
色覚異常を持つ人も大学の理系学部への入学が可能になりました。しかし、コンピュータ
技術の進歩により、情報伝達に
色が多用されるようになり、
色覚異常を持つ人への配慮が不足している状況がありました。
CUDOの発足と活動
2001年、伊藤啓と岡部正隆が科学者を対象に「
色覚バリアフリー/カラーユニバーサルデザイン」の啓発活動を開始しました。伊藤自身が
色弱者であり、学会などで「緑と赤ではなく、緑とマゼンタを使って欲しい」と主張したことがきっかけとなり、
2004年10月8日に
NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)が設立されました。CUDOは「カラーユニバーサルデザイン認証」を付与し、適合した製品には認定マークが付与されます。
CUDの3つのポイント
CUDOは、2011年5月26日に「カラーユニバーサルデザインの3つのポイント」を提唱しました。
1.
できるだけ多くの人に見分けやすい配色を選ぶこと
2.
色を見分けにくい人にも情報が伝わるようにすること
3.
色の名前を用いたコミュニケーションを可能にすること
具体的な対応例
人間の目は明るさを対数的に感じるため、
色の
明度を
等比数列で指定することが推奨されています。また、
色だけでなく模様や形、実線や破線、括弧などを使って情報を区別することで、
色の識別が困難な人にも情報が伝わりやすくなります。
教科書メーカーなどでは、
色だけでなく記号や線種を併用することで、より多くの人に情報を伝えやすくする工夫がされています。
CUD認証を受けた製品の例
CUDの考え方に基づいて開発された製品やサービスは多岐にわたります。
星和電機「バリアフリーLED'S」: 色弱者にも区別しやすい3色のLEDを使用
日本理化学工業「ダストレスeyeチョーク」:
明度と
彩度に差をつけた4
色を使用し、
色の識別を容易にしたカラー
チョーク
コクヨ「グリーンレーザー」: 緑色レーザー光で視認性を高めたレーザーポインター
キョクトウ・アソシエイツ「キョクトウのかんがえる学習帳」: 全ての子どもたちが科目を判別できる配
色を採用
日立オムロンターミナルソリューションズ「現金自動預払機ATM AKe-S」: ユニバーサルデザインに配慮したATM
ケアコム「NICSS-R8」: 看護師や医師が患者の状態を把握しやすいナースコールシステム
富士フイルムビジネスイノベーション「複合機MFP」: 色覚特性に配慮した複合機
コニカミノルタ「bizhub C650/550」: 操作部の配
色に配慮したデジタルカラー複合機
千寿製薬ウェブサイト: マウスオーバー時のコントラスト強調、図表への解説追加
東京都文京区公式サイト: ハイ
コントラスト配
色への切り替え機能
鉄道会社などの公共機関: 時刻表や路線図へのCUD導入
これらの例は、様々な分野でCUDの考え方が取り入れられ、より多くの人にとって使いやすい製品やサービスが提供されていることを示しています。
その他のCUDの事例
JIS安全色: 2018年4月にCUDを取り入れた改正
災害に対する注意警戒情報: 各放送局や気象庁がCUDを取り入れた表示を統一
コンピュータゲーム:
色覚サポートモードや
色調整機能の搭載
CUD推奨配色セット
CUDOが推奨する配
色セットには、アクセントカラー、ベースカラー、代替
色、
無彩色が含まれており、様々な用途に合わせて利用できます。
まとめ
カラーユニバーサルデザインは、
色覚に差異がある人だけでなく、全ての人にとって情報を理解しやすくするための重要なデザイン概念です。社会全体でCUDの考え方が浸透し、よりインクルーシブな社会が実現することが期待されます。
参考資料
『カラーユニバーサルデザイン』カラーユニバーサルデザイン機構
『
色弱が世界を変える カラーユニバーサルデザイン最前線』 - 伊賀公一
『カラーユニバーサルデザイン ガイドライン』足立区
『考えよう学校のカラーユニバーサルデザイン』 - 彼方始
『色弱の子どもがわかる本』- 岡部正隆、福井若恵、カラーユニバーサルデザイン機構
関連情報
コントラスト
色覚異常
白内障
緑内障
コンピュータアクセシビリティ
津波警報
トリアージ#
色の問題
ユニバーサルサウンドデザイン
外部リンク
特定非営利活動法人 Color Universal Design Organization CUDO カラーユニバーサルデザイン機構
特定非営利活動法人 北海道カラーユニバーサルデザイン機構(北海道CUDO)
「カラーユニバーサルデザイン」って知ってますか? - ITmedia News
色盲の人にもわかるバリアフリープレゼンテーション法 - 国立遺伝学研究所
自治体のガイドライン
ソフトウェア・ツール関連
その他