バラード

バラードの概要

バラードとは、古代ヨーロッパの詩と音楽の様式から発展した、多様な楽曲形式を指す言葉です。初めにフランスの詩形から生まれたバラードは、特に中世（14-15世紀）に人気を博し、その後ブリテン諸島や北アメリカ、オーストラリア、北アフリカに広がりました。バラードには、詩としてのバラード、声楽としてのバラード/バラッド、器楽曲としてのバラードがあります。

詩としてのバラード

バラードは、一般的に3連または5連から成り、各連の最終行に脚韻が用いられます。また、短めの最終連では貴公子への呼びかけが含まれます。この形式の代表的な詩人には、ジョフリー・チョーサーやフランソワ・ヴィヨンがいます。特に19世紀には、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティやアルジャーノン・チャールズ・スウィンバーンによって再評価されました。

声楽としてのバラード/バラッド

声楽曲としてのバラッドは、12世紀に北フランスのトルヴェールによる世俗抒情歌から始まりました。14世紀には、ギヨーム・ド・マショーらがこの形式を引き継ぎ、多声歌曲を書いています。一般的にA-a-Bの形式をとり、一般には3声で構成され、最高声部が2声部の器楽伴奏に支えられます。1830年代になると、ドイツの詩人たちは物語性を持つ文学的バラードを作り出し、カール・ツェルターやヨハン・ツムシュテークによる作品が生まれました。バラードは19世紀のロマン派音楽の時代にかけて更に発展し、シューベルトやシューマンの名作もこの流れに位置付けられます。特にロマンティック・オペラにおいては、アリアに相当する部分にも使用されました。

器楽曲としてのバラード

バラードの器楽作品はかつて「譚詩曲」や「譚歌」と呼ばれましたが、現在ではほとんど使われていません。19世紀には、フレデリック・ショパンによって新たな形式のバラードが作曲され、古い歴史物語を基にした詩にインスパイアされています。このバラードは主に幻想曲や即興曲に関連し、自由な楽想が特色です。ショパンの4曲のバラードは特に評価されており、そのうち第3番を除いては、多くが劇的な結末を迎えます。

他作曲家によるバラード

ショパン以外にも多くの作曲家がバラード形式を用いています。フランツ・リストやブラームスの作品、エドヴァルド・グリーグの《ノルウェー民謡による変奏曲形式のバラード》、チャイコフスキーの《地方長官》などがその一例です。ガブリエル・フォーレはピアノ独奏用の《バラード 嬰ヘ長調》を作曲しましたが、その難しさから管弦楽版も存在します。

ポピュラー[[音楽]]におけるバラード

ポピュラー[[音楽]]におけるバラードは、ゆったりとしたテンポと感情豊かなメロディで知られ、感傷的な歌詞が特徴です。このスタイルはロックやジャズといった音楽ジャンルにおける曲調とは異なり、同じアーティストでも曲によってバラードの該当が分かれます。1980年代以降、特に静かで美しいメロディラインを持つ楽曲がバラードとして呼ばれることが増えました。

主な作品例

• - ピアノ曲

- ショパン: バラード第1番ト短調op.23
- リスト: バラード第1番、バラード第2番
- ブラームス: 4つのバラードop.10

• - 管弦楽曲

- チャイコフスキー: 交響的バラード《地方長官》

• - ポピュラー[[音楽]]

- エンゲルベルト・フンパーディンク: ラスト・ワルツ
- アンディ・ウィリアムズ: ゴッドファーザー 愛のテーマ

このように、バラードは様々な音楽形式において重要な役割を果たし、世代を超えて多くの人々に愛され続けています。

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