ブルー・リッジ級揚陸指揮艦

ブルー・リッジ級揚陸指揮艦

ブルー・リッジ級揚陸指揮艦は、アメリカ海軍において艦隊の指揮を執るために設計された専用艦です。本級は、特に水陸両用作戦における指揮・統制・通信を円滑に行うための機能を備えています。武装は軽微ですが、その代わりに充実した指揮・通信設備を搭載しているのが大きな特徴です。

概要

軍事作戦において、指揮・統制・通信を確保することは非常に重要です。特に、水上艦艇だけでなく、陸上部隊や航空部隊が入り乱れる揚陸作戦においては、その重要性が際立ちます。アメリカ海軍では、戦艦、巡洋艦、航空母艦、輸送艦などの大型艦に司令部要員を乗艦させ、指揮にあたらせてきました。しかし、揚陸作戦では多くの司令部要員を必要とするため、戦闘艦艇の限られた区画では手狭でした。そのため、第二次世界大戦以降は輸送艦を改造した指揮艦が用いられてきました。

1960年代になると、アメリカ海軍が運用していた揚陸指揮艦は第二次世界大戦中に建造された旧式艦となり、その更新が急務となりました。そこで、新たな揚陸指揮艦として建造されたのが本級です。基本計画番号はSCB400で、1963年から検討計画が開始され、1967年に1番艦が起工、1970年から就役しました。

本級は、イオー・ジマ級強襲揚陸艦をベースとしており、艦の中央に船橋があること、前甲板と後甲板が原則としてフラットであることが特徴です。これは、電波障害の原因となる構造物を極力排除するための設計です。甲板上には、各種通信アンテナが多数設置されています。また、速力も20ノット以上が求められ、最大23ノットと、従来の揚陸指揮艦と比較して高速化されています。

特徴

本級は、方面艦隊の情報の配信・統御を主な任務としています。そのために、艦内には小規模な出版社と印刷所並みの設備があり、広報誌などを自力で発行する能力を備えています。2013年時点の情報では、これらの編集作業にはiMacが使用されていたとされています。これは、作戦中に迅速かつ柔軟に情報発信を行うための重要な機能です。

艦体の老朽化に伴い、統合指揮艦「JCC(X)」や揚陸指揮艦更新計画「LCC(R)」などの後継艦が検討されました。しかし、2011年に後継艦の開発は中止され、艦齢延長工事により、少なくとも2039年までは本級が運用されることとなりました。これは、本級が依然としてアメリカ海軍の作戦遂行に不可欠な存在であることを示しています。

同型艦

LCC-19 ブルー・リッジ (USS Blue Ridge)
LCC-20 マウント・ホイットニー (USS Mount Whitney)

関連項目

揚陸艦
揚陸指揮艦
イオー・ジマ級強襲揚陸艦

外部リンク

LCC 19 Blue Ridge class FAS.org
* 『ブルーリッジ級揚陸戦指揮艦』 - コトバンク

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