ペンシルベニア級戦艦

ペンシルベニア級戦艦

ペンシルベニア級戦艦は、アメリカ海軍が建造した超弩級[[戦艦]]の艦級であり、2隻が就役しました。この艦級は、アメリカ海軍における「標準型戦艦」コンセプトの重要な一部であり、その設計はネバダ級戦艦の改良型として、1912年に設計がまとまり、1913年度計画で2隻の建造が決定しました。しかし、建造予算が前級よりも高かったため、2番艦の建造は1914年度計画で議会の承認を得てからとなりました。

概要

ペンシルベニア級は、船体長と排水量が約1割増加し、その結果、主砲として45口径14インチ砲を2門追加して計12門搭載することが可能となりました。また、艦幅が広がったことで、推進軸が2軸から4軸に増え、わずかながら高速化が図られました。副砲として51口径5インチ砲が搭載されましたが、波の影響を受けることが判明し、後に撤去されました。アメリカ海軍の評価としては、対抗性と居住性に優れており、高い評価を得ました。

艦隊側からの評価も非常に高く、前級のネバダ級の砲撃力と復原性をさらに高めたものとして認識されていました。ユトランド沖海戦の戦訓から水平防御がやや脆弱であるという指摘もありましたが、同時期の他国の戦艦と比較して、攻撃力は同等であり、防御力では三連装砲塔の採用による集中防御が功を奏し、全体として優れた戦艦であると評価されることが多かったのです。ペンシルベニア級は、アメリカ海軍における「標準型戦艦」コンセプトの中核を担い、低速部隊と高速部隊の包括的な運用を可能にする上で重要な役割を果たしました。この「標準型」の概念には、長距離射撃能力、21ノットの速力、700ヤードの回転半径、そしてダメージコントロールの改善が含まれていました。

艦形

就役時から第一次世界大戦時まで、ペンシルベニア級は長船首楼型船体を採用しており、艦首水面下には浮力確保用の膨らみがありました。艦首甲板には、三連装砲塔に収められた「1914年型 35.6cm（45口径）砲」が1番、2番主砲塔として背負い式に配置されていました。2番主砲塔の基部から一段高い艦上構造物が始まり、その上に司令塔と操舵艦橋が設けられました。艦橋の後ろには、籠状の前部マストが立ち、その下部には航海艦橋、頂上部には露天の見張り所がありました。

船体中央部には1本の煙突が立ち、その周囲には艦載艇置き場があり、クレーン2基で運用されていました。船尾には籠状の後部マストが立ち、頂上部に見張り台がありました。3番、4番主砲塔も背負い式に配置されていました。副砲の12.7cm（51口径）速射砲は、舷側にケースメイト配置で片舷10基、甲板上に片舷1基ずつ計22基が配置されましたが、波浪の影響で使い物にならなくなった一部は撤去されました。他に近接火器として7.62cm（50口径）速射砲が4基搭載されました。

1919年には航空爆撃の危険性が示唆されたため、7.6cm（50口径）高角砲4基が追加されました。1920年代には、さらに高角砲が6基追加され、計10基となりました。1925年からは弾着観測用の水上機を運用するため、3番主砲塔上にカタパルトが設置されました。

海軍休日時代

1929年から1931年にかけて、ペンシルベニア級はワシントン軍縮条約の範囲内で近代化改装を受けました。籠状の前後のマストは強固な三脚式へと更新され、頂上部の露天の見張り所は射撃方位盤室を載せた密閉型見張り所に変更されました。艦橋も箱型の大型なものへと増築されました。武装面では、主砲の仰角が30度まで引き上げられ、副砲以下の備砲にも改良が加えられました。波浪が吹き込む舷側ケースメイトは閉塞され、副砲は上部構造物の側面部に移設されました。弾着観測用の水上機運用のためにクレーンが大型化し、船首楼後部と艦尾甲板上に設置されました。これらの改装によるトップヘビーを防ぐため、水線下にバルジが装着され、艦幅が32.4mとなりました。

第二次世界大戦時

真珠湾攻撃後、ペンシルベニアの艦橋構造はさらに大型化され、前部マストは軽量な三脚式となり、測距儀や射撃方位盤が艦橋上部に移設されました。煙突の位置は、煤煙が前部マストに逆流するのを防ぐために調整されました。後部マストにはレーダーアンテナが設置され、射撃照準装置は大型化した後部艦橋に移設されました。射撃レーダーも最新のMark8に更新され、対空警戒レーダーも設置されました。これらの改装により、煙突は2本から艦橋に接続した1本に変更されました。

武装面では、対空火器として12.7cm（38口径）高角砲、ボフォース4cm（56口径）機関砲、エリコン2cm（76口径）機関砲が搭載され、満載排水量は35,400トンに達しました。

兵装

ペンシルベニア級の主砲は、Mark 5 1914年型 35.6cm（45口径）砲を採用しました。この砲は、重量635kgの砲弾を最大仰角15度で射距離21,030mまで届かせることができました。1930年代の近代改装では、主砲がMark 10 1933年型 35.6cm（45口径）砲に更新され、射程が大幅に向上しました。副砲はMark 7 1911年型 12.7cm（51口径）速射砲、対空火器はMark 10 1914年型 7.6cm（50口径）高角砲が搭載されました。

近代改装では、高角砲がMark 17 12.7cm（25口径）高角砲に更新され、近接対空用にブローニング12.7mm機関銃とMark 1 2.8cm機関砲が追加されました。最終的には、副武装が全て撤去され、Mark 12 1934年型 12.7cm（38口径）両用砲、ボフォース4cm機関砲、エリコン2cm機関砲が搭載されました。

機関

機関配置はニューヨーク級を踏襲し、ボイラー室は3室に分かれており、1室あたりボイラー4基が並列に並べられていました。姉妹艦でタービン機関の形式が異なり、「ペンシルベニア」はカーチス式直結タービン、「アリゾナ」はパーソンズ式直結タービンを採用していました。1930年代の近代化改装では、ボイラーとタービン機関が更新され、姉妹艦で別々の機関形式となりました。最大出力は32,000馬力で速力は21ノットを維持しましたが、ギヤードタービンの採用により燃費が向上しました。

防御

舷側装甲帯は、水線部で343mm厚、上部で343mm、下部で203mmの厚さでした。水平甲板の装甲は、最厚部で63～76mm、下甲板が38mmの複層構造でした。煙突基部には343mmの垂直装甲が施されていました。主砲塔の装甲は、前盾が457mmと重装甲でした。近代改装で、甲板防御が120mmに強化され、水雷防御も強化されました。

艦歴

ペンシルベニア級は、第一次世界大戦中に西部大西洋で活動し、1918年11月の休戦直後にはヨーロッパを訪問しました。1929年から1931年にかけて改修が行われ、主砲仰角の改善や射撃管制装置の装備、艦載機用カタパルトの装着などが行われました。

1941年12月8日の真珠湾攻撃では、「アリゾナ」が爆沈し、「ペンシルベニア」は軽微な被害で済みました。ペンシルベニアは、第二次世界大戦の初期をアメリカ西海岸の海域で活動し、その後太平洋戦線で艦砲射撃による支援を行いました。1944年10月25日にはスリガオ海峡海戦に参加し、1945年8月に魚雷の被害を受けました。戦後、原爆実験に供用され、海没処分となりました。

同型艦

ペンシルベニア（USS Pennsylvania, BB-38）
アリゾナ（USS Arizona, BB-39）

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