ポーラーエアカーゴ
ポーラーエアカーゴ（Polar Air Cargo Worldwide, Inc.）は、アメリカ合衆国ニューヨーク州に本社を構える貨物航空会社です。その事業は、北アメリカ、アジア、ヨーロッパ、中東といった世界各地を結ぶ定期貨物便と、特定のニーズに応じたチャーター貨物便の運航を柱としています。
1993年、サザン・エア・トランスポートとGEキャピタル・アビエーション・サービス（GECAS）の合弁会社として設立されました。同年6月にはチャーター貨物便の運航を開始し、その後、定期貨物便の運航もスタートしました。1994年には、連邦航空局（FAA）から不定期航空運送事業者として、またアメリカ合衆国運輸省からは貨物専門航空会社としての認可を受けています。その後、GECASが残りの株式を買い取り、合弁関係は解消されました。
2001年11月、アトラス航空の親会社であるアトラスエア・ワールドワイド・ホールディングス（AAWW）に買収され、アトラス航空にボーイング747貨物型機をウェットリースしていたポーラーエアカーゴは、AAWWの定期貨物便運航会社となりました。2006年10月には、ドイツのDHLがポーラー社の株式の49%を取得しましたが、過半数の51%は現在もAAWWが保有しています。
かつては「POLAR TIGER（ポーラタイガー）」というコールサインを使用していましたが、現在は「POLAR（ポーラ）」に変更されています。
定期便
ポーラーエアカーゴは、シンシナティやアンカレッジといったアメリカ国内の主要都市から、東京/成田、名古屋/中部、上海/浦東、ソウル/仁川などアジアの主要都市、さらにはヨーロッパや中東の各地を結ぶ広範な路線網を展開しています。
日本における定期便
2022年3月現在、日本では東京/成田と名古屋/中部に定期便が就航しています。
チャーター便
特殊な取り扱いが必要な貨物や、時間制約のある貨物の輸送に対応するため、チャーター便も運航しています。これまでに、馬や牛、レースカー、ヘリコプター、災害被災者向けの救援物資、ロックバンド「グリーン・デイ」のコンサート機材などの輸送実績があります。また、同社と親会社のアトラス航空は、アメリカ空軍の航空機動軍団（AMC）向けの大規模な輸送業務も担っています。
日本では、関西国際空港や福岡空港などでチャーター便の就航実績があり、中部国際空港にはF1日本グランプリ開催前に、F1マシンやセーフティカー輸送のためのチャーター便が飛来します。
2023年現在、運航している全ての機体がDHLの塗装をまとっています。基本的には機体前部にポーラーエアカーゴのロゴが入り、尾翼にはDHLの塗装が施されていますが、ボーイング777Fの一部には、前オペレーターであるサザン・エアのロゴが残っています。ボーイング747-400Fは2022年に退役し、親会社のアトラス航空に移管されたため、ポーラーエアカーゴのオリジナルカラー機は消滅しました。
現在の保有機材は以下の通りです。
上記の機材のほか、DHLやアトラス航空が所有する機材も使用して運航される便があります。
2005年には、エア・カーゴ・エクセレンス賞（ACE Award）をチャーター貨物航空カテゴリーで受賞しました。
歴史
1993年、サザン・エア・トランスポートとGEキャピタル・アビエーション・サービス（GECAS）の合弁会社として設立されました。同年6月にはチャーター貨物便の運航を開始し、その後、定期貨物便の運航もスタートしました。1994年には、連邦航空局（FAA）から不定期航空運送事業者として、またアメリカ合衆国運輸省からは貨物専門航空会社としての認可を受けています。その後、GECASが残りの株式を買い取り、合弁関係は解消されました。
2001年11月、アトラス航空の親会社であるアトラスエア・ワールドワイド・ホールディングス（AAWW）に買収され、アトラス航空にボーイング747貨物型機をウェットリースしていたポーラーエアカーゴは、AAWWの定期貨物便運航会社となりました。2006年10月には、ドイツのDHLがポーラー社の株式の49%を取得しましたが、過半数の51%は現在もAAWWが保有しています。
かつては「POLAR TIGER（ポーラタイガー）」というコールサインを使用していましたが、現在は「POLAR（ポーラ）」に変更されています。
就航地
定期便
ポーラーエアカーゴは、シンシナティやアンカレッジといったアメリカ国内の主要都市から、東京/成田、名古屋/中部、上海/浦東、ソウル/仁川などアジアの主要都市、さらにはヨーロッパや中東の各地を結ぶ広範な路線網を展開しています。
日本における定期便
2022年3月現在、日本では東京/成田と名古屋/中部に定期便が就航しています。
- - 東京/成田発着：名古屋/中部、上海/浦東、ソウル/仁川、シドニー、深圳（到着便のみ）、シンシナティ（到着便のみ）、ライプツィヒ（到着便のみ）
- - 名古屋/中部発着：上海/浦東、ソウル/仁川、シンシナティ、東京/成田（到着便のみ）、台北（到着便のみ）
チャーター便
特殊な取り扱いが必要な貨物や、時間制約のある貨物の輸送に対応するため、チャーター便も運航しています。これまでに、馬や牛、レースカー、ヘリコプター、災害被災者向けの救援物資、ロックバンド「グリーン・デイ」のコンサート機材などの輸送実績があります。また、同社と親会社のアトラス航空は、アメリカ空軍の航空機動軍団（AMC）向けの大規模な輸送業務も担っています。
日本では、関西国際空港や福岡空港などでチャーター便の就航実績があり、中部国際空港にはF1日本グランプリ開催前に、F1マシンやセーフティカー輸送のためのチャーター便が飛来します。
機材
2023年現在、運航している全ての機体がDHLの塗装をまとっています。基本的には機体前部にポーラーエアカーゴのロゴが入り、尾翼にはDHLの塗装が施されていますが、ボーイング777Fの一部には、前オペレーターであるサザン・エアのロゴが残っています。ボーイング747-400Fは2022年に退役し、親会社のアトラス航空に移管されたため、ポーラーエアカーゴのオリジナルカラー機は消滅しました。
現在の保有機材は以下の通りです。
上記の機材のほか、DHLやアトラス航空が所有する機材も使用して運航される便があります。
受賞歴
2005年には、エア・カーゴ・エクセレンス賞（ACE Award）をチャーター貨物航空カテゴリーで受賞しました。
インシデント
- - 2017年7月15日（日本時間）：成田発上海行きの213便（ボーイング747-8F、機体記号：N852GT）が、成田空港B滑走路16Lからの離陸時に、機器の設定ミスにより滑走路末端近くまで滑走し離陸する事案が発生しました。離陸時の風圧により不法侵入防止用のセンサーが断線するなどの影響が出ました。国土交通省は、本件を重大インシデントに指定しました。
- - 2024年6月4日（日本時間）：離陸直後の成田発ロサンゼルス行き752便（ボーイング777F、機体記号：N714SA、元サザンエア機）の右エンジンから出火しました。銚子沖で燃料を投棄し成田に引き返し、到着後に右エンジンの外装破損が確認されました。NHKの定点カメラには、右翼側から炎のような光が上がる様子が記録されています。国土交通省は、本件を「重大インシデント」と認定しました。
関連項目
- - フライング・タイガー・ライン：ポーラーエアカーゴの機材の垂直尾翼に描かれた「サークルP」のデザインは、かつてのフライングタイガーの「サークルT」デザインを踏襲したものです。
外部リンク
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