モヒート

モヒート：キューバが生んだ涼風カクテル

モヒートは、ラム[[酒]]をベースにした、爽やかな味わいのロングカクテルです。キューバの首都ハバナがその発祥の地とされ、世界中で愛飲されています。数々のレシピが存在するモヒートですが、その歴史と魅力を紐解いていきましょう。

歴史：海賊から愛された一杯

モヒートの語源はスペイン語の「mojar（濡らす）」から来ているとされています。有力な説として、16世紀後半、イギリスの海賊フランシス・ドレーク率いる海賊の一員、リチャード・ドレークがキューバに持ち込んだ「ドラケ（draque）」という飲み物がモヒートの起源ではないかと言われています。

このドラケは、アグアルディエンテ（サトウキビを原料とした蒸留[[酒]]、現在のラム[[酒]]の原型）に砂糖、ライム、ミントを混ぜ合わせたものでした。興味深いことに、ハバナでコレラが流行した際には、木製のスプーンと共に提供され、医療目的にも使用されていたという記録も残っています。

19世紀後半、バカルディ・ラムがキューバで流行すると、ドラケのアグアルディエンテはバカルディ・ラムに置き換えられ、現在のモヒートへと進化を遂げました。1931年にはハバナのバー「Sloppy Joe's Bar」のカクテルブックに掲載されるなど、その人気は確固たるものとなっていきました。キューバ革命後、バカルディ社がキューバから撤退したため、キューバ国内ではハバナ・クラブを使用したモヒートが主流となっています。

モヒートの起源には別の説もあり、キューバの砂糖黍畑の労働者たちが飲んでいたグアラポ（サトウキビジュース）が発展したという説も存在します。

レシピ：自分だけの味を見つけよう

モヒートのレシピは、ミントの葉、ライム（またはレモン）、砂糖をタンブラーに入れ、ペストル（すりこぎ棒）で軽く潰すことから始まります。その後、ラム、ソーダ水（またはトニックウォーター）、氷を加えます。

ポイントは、ミントを潰しすぎないこと。そして、ライムや砂糖の量を調整することで、自分好みの味を見つけることができます。氷が溶けても薄くならないよう、ライムと砂糖は多めに入れるのがおすすめです。

著名な文豪アーネスト・ヘミングウェイもモヒート愛飲家として知られており、彼の好んだレシピは、ドライラム、ライム、ミントの葉、そして砂糖ではなくシロップにビターズを数滴加えたものでした。ミントの葉は乳鉢ですり潰され、豪快に混ぜ合わされたといいます。

近年では、日本のバーでもベーシックなモヒートに加え、様々なフルーツや野菜を加えたアレンジモヒートを楽しむことができます。2013年には映画『ラム・ダイアリー』公開を機に、缶入りモヒートのタイアップキャンペーンが展開されるなど、その人気はますます高まっています。

モヒートの名店

ハバナの旧市街にあるバー「ラ・ボデギータ・デル・メディオ」は、モヒートの名店として知られています。ヘミングウェイも常連客の一人で、「わがダイキリはフロリディータにて、わがモヒートはボデギータにて」という言葉を残しています。フロリディータもまた、ハバナ旧市街にある有名なバーです。

日本では、「銀座300BAR」が年間約4万杯ものモヒートを販売しており、キューババーテンダー協会会長からの指導を受けたことを認められ、2017年にはキューバ大使館から日本初のモヒート認定証を授与されました。

まとめ

海賊から始まり、文豪に愛され、そして現代日本でも進化を続けるモヒート。その歴史と多様なレシピ、そして名店が織りなす魅力は、これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。一杯のモヒートには、キューバの歴史と文化、そして人々の情熱が凝縮されています。

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