ヨークタウン級航空母艦

ヨークタウン級航空母艦

ヨークタウン級航空母艦は、1930年代のアメリカ海軍が、ワシントン海軍軍縮条約の制限下で建造した航空母艦の艦級です。大型空母であるレキシントン級の運用経験と、小型空母レンジャーの設計経験を基に、排水量制限を考慮して25,000トン級の新型空母として計画されました。当初は「ヨークタウン」と「エンタープライズ」の2隻が建造され、後に3番艦として「ホーネット」が追加されました。

設計と特徴

ヨークタウン級は、レンジャーと同様に一層の開放式格納庫を採用し、エレベーターは前部、中部、後部の3箇所に配置されました。初期には格納庫から直接横方向に射出するカタパルトが装備されていましたが、実用性に欠けるため後に撤去されました。機関配置はシフト配置ではなく、前側に3列のボイラー室、後部に4基のタービン室が2列に配置されました。試験航海では、「ヨークタウン」が後進速力17.5ノットを記録しています。

当時、レキシントン級、レンジャーと合わせてアメリカ海軍は合計134,000トンの空母を保有していましたが、これに加えてワスプが就役したことで、条約による排水量制限一杯となりました。1937年に条約制限が破棄されると、アメリカ海軍は空母の建造を再開し、ヨークタウン級の経験を基に改良型の「エセックス級」を設計・建造することになります。しかしエセックス級の完成まで時間がかかるため、その繋ぎとして同級3番艦である「ホーネット」が建造されました。

戦歴

「ホーネット」の就役が開戦直前であったことと、「ヨークタウン」の戦没が早かったため、ヨークタウン級3隻が同じ海域にいたのは、1942年の5月27日～28日（真珠湾）と6月2日～3日（ミッドウェー近海）の僅か4日間でした。

同級の2隻は1942年末までに失われました。「ヨークタウン」はミッドウェー海戦で日本海軍の潜水艦に雷撃され沈没。「ホーネット」は南太平洋海戦で大破し、航行不能となり漂流中に日本艦隊の攻撃で撃沈されました。

一方、「エンタープライズ」は、第二次ソロモン海戦で爆撃を受けて中破、その2ヶ月後の南太平洋海戦でも再び中破しましたが、応急修理を受けて第三次ソロモン海戦に参加しました。1942年12月に修理を終えて哨戒活動を開始し、翌1943年1月のレンネル島沖海戦にも参加。同年5月に真珠湾に帰港、7月には本国に回航して本格的な修理と改装を受け、同年11月に戦線に復帰しました。

その後、「エンタープライズ」は様々な作戦に参加しましたが、1945年5月14日に日本軍機の特攻により損傷を受け戦線を離脱。本国で修理とオーバーホール中に終戦を迎えます。終戦後、修理を完了した「エンタープライズ」はマジック・カーペット作戦に従事し、ヨーロッパから10,000名以上の復員兵を輸送しました。

「エンタープライズ」は、大戦中に最も多く改修が行われた空母となり、その活躍は後世に語り継がれています。

同型艦

ヨークタウン (USS Yorktown, CV-5)
エンタープライズ (USS Enterprise, CV-6)
ホーネット (USS Hornet, CV-8)

登場作品

小説

『連合艦隊西進す』: エセックス級の建造された頃には艦載機搭乗員の訓練が任務となっていたが、空母戦力強化のため亡命イギリス政府に売却され、「ヨークタウン」は「グローリー」、「エンタープライズ」は「トライアンフ」、「ホーネット」は「ウォーリア」として運用される。



ヨークタウン級は、その後のアメリカ海軍の空母開発に大きな影響を与えた艦級であり、太平洋戦争初期においては、アメリカ海軍の空母戦力の中核を担いました。

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