ロジスティクス

ロジスティクスとは

ロジスティクス（Logistics）は、原材料の調達から生産、販売に至るまでの物流プロセス全体、またはその管理プロセスを指します。元々は軍事用語で、兵站を意味し、人員や物資を効率的に配置し、作戦全体の効率を高めるための手法でした。

現在では、ビジネスの世界でも広く用いられ、サプライチェーン全体の最適化を目指す重要な概念となっています。顧客の要求を満たすために、生産地から消費地までの物の流れ、保管、サービス、そして関連情報の計画、実行、管理を包括的に行うプロセスと定義されます。

ロジスティクスの歴史

ロジスティクスの起源は軍事用語の「兵站」にあります。軍事作戦においては、兵器や兵員の確保、管理、補給が不可欠であり、これら後方支援活動全体を指していました。

産業構造の高度化とともに、ビジネスの世界でもロジスティクスの概念が導入され、「ビジネス・ロジスティクス」として発展しました。

マーケティング研究の一部として発展してきた歴史もあり、以下のようにその歩みを辿ることができます。

1901年: 農産物流通のコストに関する書籍が出版。
1916年: ロジスティクスの戦略的側面に関する書籍が出版。マーケティングと流通チャネルの概念を紹介する書籍も出版。
1922年: マーケティングが物流と所有権の移動に影響を与える要素として紹介される。
1927年: 現在使われているような意味でロジスティクスの定義付けが行われる。
1950年代: マーケティングの概念が発達。
1954年: マーケティングにおける物流の重要性を説く書籍が出版。
1956年: ロジスティクスのコスト分析の概念を紹介する書籍が出版。
1960年代初期: ロジスティクスマネジメントの実践例を紹介するレポートが出版。
1960年代初期: ミシガン州立大学とオハイオ州立大学でロジスティクスの教育が開始。
1961年: 物流の初期のテキストが出版。
1962年: ピーター・ドラッカーがロジスティクスを「経済の暗黒大陸」と論じる。
1963年: 業界団体「National Council of Physical Distribution」（現CSCMP）が発足。
1969年: ドナルド・J・バワ―ソックスがロジスティクスマネジメントを歴史的な視点から論じる。
1972年: ロジスティクスの成功における会計情報の重要性を論じる論文が出版。
1976年: ダグラス・M・ランバートがロジスティクス費用の構成要素と在庫コストの計算を論じる論文を出版。顧客サービスの評価方法に関する論文も出版。
1978年: A. T. カーニーが物流の効率性測定に関するレポートを発表。
1970年代～1980年代: MRP, MRPII, DRP, DRPII, Kanban, Just-in-time等の技術が発達。
1970年代末期～1980年代初期: 航空、陸上、鉄道、海上輸送業界の規制緩和。
1980年代: ロジスティクス管理におけるコンピュータの利用が増加。
1984年: ハーバード・ビジネス・レビューでロジスティクスの重要性が論じられる。
1985年: マイケル・ポーターがバリューチェーンにおけるロジスティクスの役割を論じる。
1987年: 米国議会がマルコム・ボルドリッジ国家品質賞を創設。

IT革命以降は、経路最適化アルゴリズムによる配送計画算出手法が実用化され、IoTや量子コンピュータなどの技術革新により、今後のさらなる進化が期待されています。

ロジスティクスと物流の違い

「ロジスティクス」と「物流（distribution）」はしばしば混同されますが、それぞれ異なる概念です。

物流は、生産物を生産者から消費者へ届ける、物の流れそのものを指します。一方、ロジスティクスは、物流を含めたサプライチェーン全体の最適化を目的とし、計画、実行、管理を含むより広範な概念です。

ロジスティクスのフレームワーク

ランバート（2000）は、ロジスティクス活動として以下の14項目を挙げています。

1. 顧客サービス
2. 需要予測
3. 流通コミュニケーション
4. 在庫[[管理]]
5. マテリアルハンドリング
6. 受注処理
7. 部品・サービス支援
8. 工場・在庫拠点選定
9. 調達
10. 包装
11. 回収
12. 廃棄
13. 貨物輸送
14. 倉庫・保管

物流は、これらの活動の一部、特に輸送、保管、荷役、包装などを指す下位概念と捉えることができます。

日本におけるロジスティクス

日本におけるロジスティクス研究は、米国に比べて10年以上の遅れがあると言われています。主な研究機関としては、流通経済大学、東京海洋大学、早稲田大学、神戸大学などが挙げられます。

また、日本ロジスティクスシステム協会が普及振興活動を行っており、ビジネス・キャリア検定試験のロジスティクス分野が資格試験として存在します。

ロジスティクスの学会

国際ロジスティクス学会（SOLE）が組織され、年1回アメリカで総会が開かれています。日本にも支部があります。

また、日本ロジスティクスシステム学会も存在します。

商業全体の学術団体としては、日本商業学会があります。

日本の物流REIT

日本の物流REIT（不動産投資信託）として、以下のような法人が存在します。

日本ロジスティクスファンド投資法人
GLP投資法人
日本プロロジスリート投資法人
三井不動産ロジスティクスパーク投資法人
三菱地所[[物流リート投資法人]]
伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人
CREロジスティクスファンド投資法人
SOSiLA[[物流リート投資法人]]