北剣淵駅

北剣淵駅：秘境の駅、そしてその終焉

北海道上川郡剣淵町に位置していた北剣淵駅は、JR北海道宗谷本線に属する駅でした。駅番号はW41、電報略号はキチ。宗谷本線、剣淵駅と士別駅の中間地点に位置し、多くの普通列車は通過していました。2020年3月時点では、1日あたりわずか数本の列車しか停車しない、まさに秘境駅と言える存在でした。

歴史：期待と現実の狭間

北剣淵駅は、地域住民からの強い要望を受け、1959年11月1日に北剣淵仮乗降場として開業しました。ワラビ採りや釣りなどの季節的な利用者を見込んでいたものの、利用状況は低迷を続けます。その後、1987年4月1日の国鉄分割民営化に伴い、JR北海道の駅に昇格し、北剣淵駅となりました。

1990年には営業キロが設定され、2013年にはロックバンド「amazarashi」のミュージックビデオ撮影が行われるなど、一時的に注目を集めることもありました。しかし、利用客の減少は止まらず、2019年にはJR北海道から駅の存廃に関する協議が持ちかけられました。

2020年3月には剣淵町議会が駅の廃止を容認、同年3月27日には宗谷本線活性化推進協議会も廃止を決定。そして、2021年3月13日、北剣淵駅はついにその歴史に幕を閉じました。

駅構造：簡素な無人駅

北剣淵駅は、単式ホーム1面1線の地上駅でした。分岐器を持たない棒線駅で、開業当初から無人駅でした。ホームは線路の東側に位置し、木製デッキ式で、稚内方にスロープがありました。待合所はホーム北側にありましたが、簡素な造りで、一部は劣化していました。トイレは設置されていませんでした。

駅周辺には鉄道防風林が広がり、広大な田園風景が広がっていました。まさに秘境駅らしい、静かでひっそりとした雰囲気を持つ駅でした。

利用状況：減少の一途

北剣淵駅の利用状況は、開業以来低迷していました。1992年度の1日平均乗降客数はわずか2人。その後も減少を続け、2015～2019年の乗車人員は特定の平日の平均で0.4人、11月の調査日の平均でも1名以下という状況でした。極端に少ない利用客数は、駅の廃止を決定づける大きな要因となりました。

駅周辺環境：田園風景の中に佇む駅

北剣淵駅は、周囲を農耕地と僅か数軒の人家、そして広大な田んぼに囲まれた場所に位置していました。国道40号や道央自動車道士別剣淵インターチェンジ、北海道道536号剣淵原野士別線などが比較的近くを通っていましたが、駅へのアクセスは決して良いとは言えず、利用客の減少に拍車をかけた可能性があります。また、駅の北には犬牛別川が流れていました。

駅名の由来

駅名は、「剣淵」の北側に位置することから「北剣淵」と名付けられました。所在地の「藤本町」は、1908年に当地で農場を開設した藤本本蔵の姓に由来しています。

まとめ：消えた秘境駅

北剣淵駅は、地域住民の期待を背負って開業したものの、利用客の減少という厳しい現実の前に廃駅という運命を辿りました。その歴史は、過疎化が進む地方の鉄道の現状を象徴する事例と言えるでしょう。秘境駅として一部で知られていた北剣淵駅は、人々の記憶の中に静かにその姿を留めることとなります。

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