呂範

呂範（りょ はん、? - 228年）

呂範は、中国後漢末期から三国時代にかけて、その武将としての能力や政治手腕を発揮した歴史的人物です。彼は呉に仕官し、様々な戦役で活躍しました。出身は豫州汝南郡細陽県（現在の安徽省阜陽市太和県）で、主に孫策や孫権のもとでその名を馳せました。

経歴の概要

呂範は若い頃に地元の役人として働き、優れた風貌と能力が評判となっていました。彼は郷里の有力な豪族である劉氏の娘を妻に迎え、彼女の父は呂範の潜在的な才能を見抜いて、貧しい背景にも関わらず彼を認めることを決めました。戦乱を避けるために寿春に逃れ、そこで初めて孫策と出会います。孫策に高く評価された呂範は、彼に仕えることを決意し、自らの食客100人を引き連れて彼のもとに身を寄せました。

しかし、呂範が袁術の手先と疑われ、捕えられるという事件が発生します。彼の部下たちは、彼を救出するために役所を襲撃し、無事に脱出を果たします。この事件は彼が孫策との強い絆を築くきっかけとなりました。呂範は、孫策と共に数多くの戦に参加し、その忠誠心と勇敢さから信頼を勝ち取りました。特にその名が知られるのが、江東の平定に貢献したことです。彼は湖熟の相に任命され、宛陵の県令としても活躍しました。

戦功と困難

呂範は、孫策と共に軍を指揮し、数々の戦いで重要な役割を果たしました。例えば、孫策の廬江侵攻や江東進出の際には常に彼の傍にあり、その指導力を支えました。孫策が死去した後も、呂範は孫権に仕官を続け、二人三脚で呉の安定に寄与しました。彼は赤壁の戦いにも参加し、曹操の軍を撃退する成果を上げます。この戦いの後、彼は裨将軍として任命され、さらなる上昇を遂げることとなります。

しかし、228年には魏の侵攻に直面し、特に曹丕の指揮する軍勢に対抗するため、多くの兵を率いて戦いました。この際、軍艦の遭難という困難な状況にもかかわらず、彼は戦線を維持し、最終的には魏軍を破ることに成功します。彼の戦略的な思考とリーダーシップは、呉の軍にとって欠かせないものでした。

人物像と性格

呂範は、威厳に満ちた外見で知られ、その容姿については「押し出しが立派で、風采が上がった」と言われています。彼は戦場だけでなく、政治の場でもその知恵を活かしました。豪華で派手好みの面がありながらも、法律を尊重し、職務に対する誠実さも併せ持っていたため、周囲からの評価も高かったといいます。

孫権の側近としての役割を果たす中で、呂範は彼の忠実な支持者でした。若い孫権が経済的に困窮していた時期には、彼の節度を保ち、無駄遣いを抑えるように導く役割を果たしました。これにより、最初は警戒されていた彼ですが、次第に信任されていくことになります。孫権は呂範の働きを高く評価し、彼を数多くの高官に任命しました。

三国志演義における描写

後の小説『三国志演義』では、呂範は知性と冷酷さを漂わせる美男子として描かれています。もちろん、ここでの描写は創作的な要素が強いものの、彼の戦略的な才能や軍師としての役割が強調されています。

最後の時

228年、呂範はついに大司馬の位に昇進しますが、印綬の授与を待つことなく亡くなってしまいます。彼の死は孫権にとって大きな喪失であり、感謝の意を込めて彼の名誉を称えるため、葬儀や追悼も行われました。彼の次男である呂拠が跡を継ぎ、家族はその名声を受け継いでいくことになります。呂範は、ただの武将ではなく、戦乱の世において重要な役割を果たした偉大な政治家でもあったのです。

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