呂拠

呂拠（りょ きょ）

呂拠（生年不詳 - 256年）は、三国時代の呉に仕えた武将・政治家です。字は世議（せいぎ）。父は呉の重臣であった呂範であり、その才能を受け継ぎ、呉のために数々の功績を挙げました。

生涯

若くして孫権に才能を見出され、郎に取り立てられました。父の呂範が病に倒れると、その軍務を補佐する副軍校尉に任じられ、父の死後には安軍中郎将に昇進しました。

呂拠は、山越討伐において目覚ましい活躍を見せました。彼の軍勢は、山越族をたちまちのうちに打ち破り、その武勇は広く知れ渡りました。また、潘濬（はんしゅん）に従い武陵蛮（ぶりょうばん）の討伐にも参加し、ここでも手柄を立てています。

魏との戦いでも、呂拠は重要な役割を果たしました。赤烏4年（241年）には、朱然（しゅぜん）の樊城（はんじょう）攻略に従軍し、朱異（しゅい）と共に城の外郭を破壊する功績を挙げ、偏将軍に任命されました。その後も、宮廷で馬閑右部督・越騎校尉を歴任しました。

二宮事件においては、魯王孫覇（ろおうそんは）を支持したとされています。

赤烏13年（250年）には、魏の文欽（ぶんきん）が偽りの投降を企てた際、朱異の進言により、孫権は呂拠に2万の兵を与え国境へ赴かせましたが、文欽は現れませんでした。翌年の長江の氾濫の際には、自ら率先して民衆を指揮し、大型の船を繋ぎ止めることで被害を最小限に食い止めました。この働きぶりを見た孫権は喜び、呂拠を盪寇将軍（とうこうしょうぐん）に任命しました。孫権が重篤な状態に陥ると、呂拠は太子右部督に任じられ、臨終の際には、諸葛恪（しょかつかく）や孫弘（そんこう）、孫峻（そんしゅん）、滕胤（とういん）らと共に後事を託されました。

孫権の死後、孫亮（そんりょう）が即位すると、呂拠は右将軍に昇進しました。建興元年（252年）の東興（とうこう）の戦いでは、諸葛恪の指揮下、丁奉（ていほう）や留賛（りゅうさん）、朱異らと共に魏軍を打ち破るという大戦果を挙げました。

しかし、孫峻が諸葛恪を暗殺し権力を掌握すると、呂拠に取り入るため驃騎将軍（ひょうきしょうぐん）に昇進させ、西宮の事を任せました。五鳳2年（255年）に魏で毌丘倹（かんきゅうけん）らが反乱を起こすと、孫峻は呂拠に仮節を与え寿春（じゅしゅん）を攻撃させ、文欽を降伏させました。帰還の途中、魏の部将である曹珍（そうちん）と遭遇すると、丁奉と共にこれを打ち破りました。

太平元年（256年）、孫峻が再び魏を攻撃しようとした際、呂拠の陣屋を訪れましたが、呂拠の軍の統率ぶりに警戒心を抱き、すぐに引き上げました。その後、孫峻は急死し、従弟の孫綝（そんしん）が権力を継承します。呂拠はこれに反発し、滕胤を丞相に推挙するよう上奏しましたが、孫綝によって滕胤は武昌（ぶしょう）へ左遷させられます。さらに、孫綝は呂拠の部下であった文欽や唐咨（とうし）らに呂拠討伐の密詔を送り、孫憲（そんけん）、丁奉、施寛（しこう）らを江都（こうと）へ派遣し呂拠を討たせました。追い詰められた呂拠は、魏への降伏を勧められますが、謀反人となることを潔しとせず自殺しました。彼の家族もろとも処刑されたとされています。

永安2年（259年）、孫休（そんきゅう）は孫綝を誅殺し、権力を奪還しました。そして、孫峻・孫綝によって不遇な死を遂げた諸葛恪、滕胤、呂拠らの名誉を回復し、手厚く改葬しました。

評価

陳寿（ちんじゅ）は、呂拠を朱異や朱績（しゅせき）と共に、軍の指揮官として優れた才能を持ち、父祖の功業をよく受け継いだと評価しています。しかし同時に、朱異と同様に、彼らの親に見られた欠点はないものの、時代の変化によって命を落としたと評しています。

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