四方田氏

四方田氏：武蔵七党児玉党の一族

四方田氏は、平安時代から鎌倉時代にかけて武蔵国で勢力を誇った武蔵七党の一つ、児玉党に属する氏族です。その歴史は古く、武蔵国児玉郡四方田邑を起源とし、庄氏から分かれた一族であると考えられています。

四方田氏の起源と隆盛

四方田氏の始まりは、児玉党本宗家である庄氏の二郎弘高が四方田に移り住み、四方田二郎弘高と名乗ったことに遡ります。当初は有道氏を名乗っていたと考えられていますが、14世紀中頃以降は藤原北家藤原伊周を祖とする藤原姓を称するようになりました。

弘高は源頼朝に仕え、奥州合戦にも参加。その功績により備後国御調本北条の地頭となりました。『吾妻鏡』にも、四方田一族の名が記されています。ただし、『吾妻鏡』では「四方田三郎弘長」と記されていますが、最近の研究では、これは二郎弘高の誤記である可能性が高いとされています。

元弘の乱においては、新田義貞に従い、武蔵国における戦いに参加しました。比企郡、入間郡と転戦し、小手指原、分倍河原の戦いなどで活躍したと伝えられています。また、正平7年/文和元年（1352年）の武蔵野合戦では、新田義興・義宗、そして宗良親王の軍勢に加わったとされています。

戦国時代の四方田氏

戦国時代には、後北条氏に仕え、北条氏康と共に数々の戦場で武功を挙げました。この時代、四方田氏は児玉党の本宗家である本庄氏と敵対関係にあったとされています。

四方田氏の一族と広がり

四方田氏には、大別して弘長系、弘綱系、高綱系の三系統があるとされています。また、四方田氏からは牧西氏が派生しています（児玉氏→庄氏→四方田氏→牧西氏）。一族は、武蔵国にとどまらず、出羽国、能登国、伊勢国などにも所領を得ていました。

延元2年/建武4年（1337年）の薊山合戦では、北畠顕家が現在の本庄市四方田の産泰神社（金鑚神社と合祀）に参拝し、戦勝祈願を行っています。この神社は、四方田資綱が砦を築いた際に建立されたと伝えられています。

四方田氏の氏名表記

「四方田」の読み方については、「しほうでん」（地名）と「よもだ」（人名）が一般的です。一部で「しもだ」と読む場合もありますが、これは誤読と考えられます。

四方田氏と関連氏族

四方田氏と関連する氏族として、阿佐美氏、蛭川氏などが挙げられます。また、江戸時代には東富田村の代官を務めた四方田氏が真之真石川流を習得したという記録も残っています。 四方田氏と同様、四王天氏も存在し、明智氏家臣や川越藩に関係しています。

まとめ

四方田氏は、武蔵七党児玉党の一族として、中世から戦国時代にかけて日本の歴史において重要な役割を果たした氏族でした。その歴史は複雑で、様々な文献からの情報に基づき、今後も更なる研究が期待されます。本稿では、現在までに判明している情報を元に、四方田氏の系譜と歴史を概観しました。 今後の研究によって、より詳細な歴史が明らかになる可能性があります。

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