多度大社

多度大社：歴史と伝統、そして未来へ

三重県桑名市多度町に鎮座する多度大社は、長い歴史と深い信仰に支えられた神社です。式内社であり、かつては国幣大社に列せられ、現在も多くの参拝者を集め、伊勢神宮、二見興玉神社、椿大神社に次ぐ人気を誇ります。

ご祭神と由緒

多度大社の主祭神は天津彦根命です。天照大神の第三子とされるこの神は、当地の豪族・桑名氏の祖神とも伝えられています。境内には、本宮である多度神社の他に、一目連神社など複数の社が点在し、合わせて「多度両宮」と呼ばれています。

社伝によれば、雄略天皇の時代に創建されたとされ、古くから多度山を神体山として崇敬されてきました。平安時代には伊勢平氏らの信仰を集め、軍神としても祀られました。また、神宮寺が建立され、伊勢国二宮として栄えました。延喜式神名帳にも名神大社として記載されています。

しかし、織田信長の命を受けた氏家卜全による長島一向一揆の平定の際に、社殿や寺社、貴重な記録などが焼失するという大きな災厄に見舞われました。その後、桑名藩主・本多忠勝によって再建され、明治時代には県社、大正時代には国幣大社に昇格しました。

境内と摂末社

広大な境内には、本宮・多度神社、別宮・一目連神社の他に、多くの摂末社が鎮座しています。美御前社、新宮社、一挙社といった摂社や、神明社、皇子社、雨宮八幡社など、様々な神々が祀られています。これらの社は、多度大社の歴史と信仰の深さを象徴しています。

多度祭と上げ馬神事

多度大社の年間行事の中心となるのは、5月に行われる御例祭（多度祭）です。この祭礼では、上げ馬神事や流鏑馬神事といった、古くから伝わる神事が行われます。

上げ馬神事は、特に注目を集める神事です。しかし、近年は馬の安全面が大きな課題となっています。過去には動物愛護法違反の疑いがかけられた事件もあり、神事のあり方が社会的に問われることとなりました。多度大社は、関係者と協力して安全対策を講じ、伝統と安全性を両立させる努力を続けています。2023年には、坂の構造を見直すなどの対策が行われ、2024年の神事に向けて準備が進められています。

文化財

多度大社には、国宝や重要文化財に指定されている貴重な文化財が数多く残されています。金銅五鈷鈴や神宮寺伽藍縁起並資財帳、銅鏡など、歴史的価値の高い品々が、神社の歴史と文化を物語っています。これらの文化財は、多度大社の文化的資産として大切に保存・管理されています。

アクセス

多度大社へは、養老鉄道養老線多度駅より徒歩15分、または三重交通バスで5分です。また、多度峡も近隣にあり、自然豊かな環境の中で、歴史と文化に触れることができます。

多度大社の未来

多度大社は、長い歴史の中で幾多の困難を乗り越えてきました。現在も、伝統を守りながら、現代社会の課題に対応していく努力が続けられています。上げ馬神事の問題からもわかるように、伝統行事の見直しは重要な課題です。しかし、多度大社は、関係者や地域住民と協力し、歴史と伝統を受け継ぎながら、未来に向けて歩みを進めていくことでしょう。

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