山本家

山本家：藤原北家から続く華族の歴史

山本家は、悠久の歴史を誇る公家・華族の家系です。その起源は、藤原北家閑院流阿野家庶流にまで遡ります。代々、朝廷において重要な役割を担い、華族としての地位を確立しました。

江戸時代前期、権大納言阿野実顕の末息子である山本勝忠は、後水尾天皇の勅命により、山本家を興します。当初は150石の知行高でしたが、後に175石に増加しました。家格は羽林家、新家に分類され、菩提寺は松林寺でした。

明治維新後、公家と大名家が統合されて華族制度が成立すると、山本家も華族に列せられました。1884年（明治17年）、華族令の施行により五爵制が導入されると、旧堂上家として山本実庸が子爵の爵位を授与されました。これは、大納言を歴任した例がない旧堂上家としては特筆すべき出来事です。実庸は、貴族院の子爵議員を二期務めるなど、政治面でも活躍しました。

山本家と深く関わる家系として、玉松家があります。山本公弘の次男である玉松真弘（玉松操）は、幕末から明治維新にかけて活躍した国学者でした。岩倉具視の腹心として国事に奔走し、王政復古後に堂上格に列せられました。その養子である玉松真幸（山本実政の次男）の代には、華族の男爵家に列せられています。

昭和前期には、4代当主の山本公慶が家督を継ぎました。公慶は室町伯爵家の邸宅に同居していたという興味深いエピソードがあります。室町家は、東山天皇の男系七世子孫である室町公藤の次男を祖とする家系であり、この関係は山本家の歴史をさらに複雑かつ興味深いものとしています。公慶の長男である実裕、その息子である公隆と公宣と、近現代における山本家の系譜は、現在へと続いています。

山本家の歴史は、単なる家系の系譜を超え、日本の歴史、特に公家・華族制度の変遷を理解する上で貴重な資料となります。藤原北家という由緒ある家系から始まり、江戸時代、明治維新、そして昭和へと続くその歩みは、日本の歴史そのものを反映していると言えるでしょう。彼らの政治的活動や社会的地位、そして家系間の複雑な繋がりは、更なる研究を促し、日本の歴史を多角的に理解する上で重要な知見を与えてくれます。 今後、山本家の歴史に関する新たな発見や研究成果が期待されます。

系譜:

詳細な系譜は、参考文献に挙げた『平成新修旧[[華族家系大成]]』などの文献を参照ください。 本記述では、簡潔に記述するため、詳細な系図は省略しています。

参考文献:

浅見雅男『華族誕生 名誉と体面の明治』
太田亮『姓氏家系大辞典』
小田部雄次『華族 近代日本貴族の虚像と実像』
華族大鑑刊行会『華族大鑑』
松田敬之『〈華族爵位〉請願人名辞典』
橋本政宣編『公家事典』
霞会館華族家系大成編輯委員会『平成新修旧[[華族家系大成]]』
近藤敏喬編『宮廷公家系図集覧』

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