島津義弘について
島津 義弘(しまづ よしひろ)は、戦国から
安土桃山時代に活躍した薩摩国の著名な
武将、
大名である。彼は
島津氏第17代当主として知られ、戦国
大名の島津義久の弟でもある。生涯を通して、彼は数々の戦に参加し、名将としての地位を確立した。
生涯の始まり
義弘は天文4年7月23日(1535年
8月21日)、薩摩国の伊作城に生まれる。彼は島津家15代当主・島津貴久の次男で、幼少期には「忠平」と名乗った。しかし、後に
足利義昭から偏諱を受け、「義珍」と改名し、その後再度「義弘」の名を与えられる。彼の初陣は天文23年(
1554年)の岩剣城の戦いであり、これは家族との戦闘に関わる重要な出来事となった。
戦の功績
義弘は、彼の兄・義久と共に多くの戦に参加し、その中でも特に木崎原の戦い(
元亀3年
1572年)や耳川の戦い(
天正6年
1578年)での活躍が顕著である。木崎原の戦いでは数千の伊東軍を相手にわずか300の兵で戦い、見事に勝利を収めて島津家の名声を高めた。さらに、豊後国に侵攻した大友氏との接触においても、彼の指揮は光り、特に耳川の戦いでは大きな戦果を上げた。
豊臣政権との関わり
天正15年(
1587年)、義弘は
豊臣秀吉の九州征伐に際し、豊臣軍との対抗に向けて頑強な抵抗を示した。根白坂の戦いでは、義弘自ら前線に立ち、剣を振るい敵に突っ込む姿を見せたものの、島津軍は豊臣軍の圧倒的な兵力に敗北する。しかしこの時の奮戦は、彼の武士としての名声をさらに高めることとなった。
同年の降伏後、義弘は豊臣政権に協力的な姿勢を保ち、彼に対する信任は厚かった。
天正20年からは朝鮮へ渡海し文禄の役や
慶長の役に参加し、その際の活躍が評価された。特に、
慶長3年の泗川の戦いでは、
明・朝鮮連合軍に対して見事な勝利を収め、彼の軍事的能力は際立った。
慶長5年(
1600年)、義弘は
関ヶ原の戦いにも参加するが、家康寄りの軍勢の中で孤立した立場となる。彼は一度は切腹を考えたものの、甥の豊久の説得を受け生き延びることを決意し、島津軍の撤退戦を指揮することになる。この戦いは「島津の退き口」と呼ばれ、彼の名将としての評価をさらに高める結果となった。この後、義弘は薩摩へと帰還し、家族や家臣を大切にする一方、徳川家との和平交渉にも努力を重ねた。
晩年と評価
晩年の義弘は、隠居後に教育や文化の振興に力を注ぎ、
1619年に生涯を閉じた。彼の辞世の歌にはその深い思想と人柄が表れており、今も多くの人々に語り継がれている。
義弘はまた、戦術や医術に秀で、文化人としても知られた。彼は家族愛に溢れ、家臣を尊重し、時には共に喜びを分かち合った逸話も多く残っている。義弘は、島津家や薩摩の歴史において欠かせない人物であり、彼の人生は多くの人々に影響を与えた。
記念碑
義弘の偉業を称える銅像や記念碑は、日本各地に建立され、彼の名声を今に伝えている。特に、関ヶ原での敵中突破を遂げた際の姿を描いた銅像は、彼の勇敢さを象徴するものとして広く認識されている。