御陵駅

京都市営地下鉄・京阪電鉄 御陵駅：東西線と京津線の交差する歴史と構造

御陵駅は、京都府京都市山科区御陵原西町に位置する、京都市営地下鉄東西線と京阪電気鉄道京津線の共同使用駅です。京阪京津線は御陵駅を起点としており、深夜帯の一部を除く京津線電車は東西線に直通運転を行い、太秦天神川駅、または朝時間帯の一部列車では京都市役所前駅まで運行されています。ただし、京阪の車両は東西線に乗り入れますが、京都市営地下鉄の車両は京津線には乗り入れません。

駅の歴史：地上駅からの変遷

御陵駅の歴史は、1912年、京津電気軌道の停留場として開業したことに始まります。その後、幾度の会社合併を経て京阪電気鉄道の停留場となり、1997年の地下鉄東西線開業まで、京津線単独の駅として機能していました。かつては、地上に「御陵駅」と「日ノ岡駅」の2つの停留場がありましたが、東西線建設に伴い、両駅を統合し、現在の地下駅が建設されました。この際に採用された「4線シールド工法」は、京阪京津線との接続をスムーズに行うための複雑な工法であり、駅周辺の地下構造は、4本の単線シールドトンネルが複雑に立体交差する、独特の構造となっています。現在の駅舎は、第三セクターである京都高速鉄道株式会社によって建設されました。

地下鉄東西線開業後は、京津線の御陵～京津三条間が廃止され、その区間は東西線に事実上継承されました。京津線は御陵駅から地下鉄東西線に乗り入れを開始、地上にあった旧御陵駅は廃止となりました。東西線開通直後は、行先案内のため、各ホーム階に駅員が配置されるなど、利用者への対応に配慮がなされていました。

駅の構造：複雑な地下構造と水害対策

御陵駅は、地下2層に西行き（蹴上駅方面）、地下3層に東行き（山科駅方面）のホームを有する島式ホーム2面4線構造です。ホームドアも設置され、東西線の他の駅と同様の設備が整えられています。しかしながら、京阪京津線との接続部分の構造は複雑で、特に水害対策が重要な課題となっています。

2013年の台風18号の豪雨では、安祥寺川からの溢水により、京阪京津線側のトンネルから大量の泥水が流入、駅構内が冠水し、東西線と京阪京津線の運転が一時見合わせられました。この経験を踏まえ、土嚢の配備、仮設ポンプの増設、ポンプ制御盤の地上移設などの対策が講じられました。さらに、京阪電気鉄道と京都市交通局は、安祥寺川に近い地点への止水扉設置、安祥寺川の堆積土砂除去など、抜本的な水害対策を進めています。

駅の利用状況と周辺環境

御陵駅の2022年度の1日平均乗降人員は、地下鉄東西線が7,538人、京阪電気鉄道が6,759人です。（京阪の値には、地下鉄からの連絡人員は含まれていません）

駅周辺は住宅地が広がり、東側には天智天皇山科陵（御廟野古墳）があり、駅名もこれに由来します。また、琵琶湖疏水が山麓を通り、歴史と自然が調和した環境にあります。周辺には、元慶寺、鏡山地蔵尊、栗原邸（国の登録有形文化財）、京都薬科大学、京都市立陵ヶ岡小学校、本圀寺などの施設があります。駅周辺には京阪バスの停留所が複数あり、山科駅や四条河原町方面へのアクセスも良好です。

駅ナンバリングと今後の展望

御陵駅は、京阪電気鉄道で唯一、2014年4月1日から導入された駅ナンバリングの対象外となっています。京津線を含む大津線の案内では、地下鉄東西線の駅番号（T08）のみが使用されています。

御陵駅は、地下鉄東西線と京阪京津線の接続という重要な役割を担い、歴史と複雑な構造を併せ持つ、特徴的な駅です。今後も、利用者の利便性向上と安全対策の両面から、さらなる改善が期待されます。

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