旧白滝駅

旧白滝駅：北海道の秘境駅、その歴史と終焉

旧白滝駅は、かつて北海道紋別郡遠軽町旧白滝地区にあった、JR北海道石北本線の駅です。駅番号はA46。1947年2月11日、石北線の仮乗降場として開業しました。地元住民の強い要望と寄付によって建設され、開業当初から木造の待合所が設置されていたことが大きな特徴です。住民たちは建設資金の提供だけでなく、ホームの建設にも自ら参加したと言われています。

1987年4月1日の国鉄分割民営化に伴い、JR北海道に継承され、同時に旅客駅に昇格しました。しかし、営業キロが設定されたのはそれから3年後の1990年3月10日のことで、開業から長い間、キロ程が設定されていなかったという、珍しい歴史を持っています。

その後、長きに渡り地域住民の足として利用されてきましたが、利用客の減少が著しくなり、JR北海道は2015年7月、2016年3月のダイヤ改正で旧白滝駅を廃止する方針を遠軽町に通知しました。そして、2016年3月26日、ついにその歴史に幕を閉じました。廃止時点では、上下合わせて4本の普通列車しか停車せず、そのうちの一本は、唯一の定期利用客であった北海道遠軽高等学校に通う高校生の登校時間に合わせて運行されていたと言われています。この高校生は、まさに駅廃止と同時に高校を卒業した、というエピソードも残されています。

駅の構造は、単式ホーム1面1線を有する地上駅で、遠軽駅の管理下にある無人駅でした。象徴的な存在であった木造の待合所は、廃止後、地元自治会による保存計画が持ち上がりましたが、JR北海道が提示した移設費用が高額だったため断念。2016年10月17日、解体されました。この待合所は約10平方メートルの広さであり、その簡素ながらも温かみのある佇まいは、多くの利用客の記憶に刻まれていたことでしょう。また、ホームは板張りではなく砂利敷きであったことも特徴です。駅には、国道333号へ続く踏切があり、隣の下白滝駅と共に廃止された後、踏切も撤去されています。

駅名の由来は、所在地の地名から来ています。「旧」という文字が付いているのは、この地域が最初の入植地であったものの、土地の悪さから住民が移転したため、「白滝」に対し「旧白滝」と呼ばれるようになったためです。もう一つの説としては、この地で縄文時代の旧石器時代の遺跡が発見されたことに由来する、という説もあります。「旧」の文字が駅名に付いている駅は非常に珍しく、JR各社では旧白滝駅が唯一であり、JR以外の路線を含めても非常に少ない例でした。

駅周辺は畑が広がり、民家は少ない、まさに秘境駅と言えるような静かな環境でした。国道333号線や旭川紋別自動車道も近接しており、交通の便は決して悪くなかったものの、利用客の減少は避けられませんでした。旧白滝駅の廃止は、過疎化が進む地方における、鉄道の厳しい現状を象徴する出来事と言えるでしょう。 その歴史と、そして廃止された後の静寂は、訪れる者に多くの想いを馳せる機会を与えてくれます。

隣の駅
白滝駅
下白滝駅 (廃止後、下白滝信号場となる)

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