津守

津守（つもり）

大阪市西成区の西部に位置する地名であり、かつては西成郡津守村として存在しました。

概要

現在の津守地域は、大阪市西成区の西端に南北に細長く広がっています。南北約4キロメートル、東西約800メートルの規模を持ち、北津守1丁目から4丁目、津守1丁目から3丁目、そして南津守1丁目から7丁目といった町名で構成されています。

この地域は、東側を阪神高速15号堺線が縦断し、西側には木津川が流れており、大正区との境をなしています。北部では浪速区、南部では住之江区と隣接しています。地域の様相は多様で、木津川沿岸には工場が多く集まる一方、住宅地も広がる下町的な雰囲気が特徴です。特に南部、南津守エリアには、大型の商業施設やロードサイド店舗が立ち並び、郊外型の商業地としての性格も持ち合わせています。

歴史

津守の地は、江戸時代の1698年に「津守新田」として開発されたことにその歴史の端を発します。明治時代に入ると、現在の大阪市大正区や港区にあたる新田地域と共に、西成郡川南村の一部となりました。

1897年、大阪市の第一次市域拡張が実施され、川南村の大部分が大阪市に編入されましたが、津守新田にあたる地域はこれを見送り、「津守村」として独立した行政単位を築きました。その後、1909年には尼崎紡績（後の大日本紡績）の工場が操業を開始し、地域産業の基礎が築かれます。

1925年の大阪市第二次市域拡張により、津守村も大阪市に編入され、当時の今宮町や玉出町などと共に新設された西成区の一部となりました。この時の地名は西成区津守町となりました。

1943年には大阪市の区の境界が見直され、住吉区の一部（北加賀屋町・桜井町の一部）が西成区津守町に編入される一方、津守町のうち都市計画道路（現在の南港通）よりも南側の地域が住吉区へ移管されるという変更がありました。

その後、津守町は東西に分割され、津守町東、津守町西となりますが、1973年に住居表示が実施されたことで、現在の「北津守」「津守」「南津守」という町名が正式に誕生し、現在に至っています。この間には、阪堺電鉄の開通（後の大阪市電）、津守下水処理場の稼働、大阪市電の廃止、千本松大橋の開通など、地域の発展や変化を示す様々な出来事がありました。

交通

地域内を南北に貫く主要な道路としては、大阪府道29号大阪臨海線（新なにわ筋）があります。この道路は、かつて大阪市電阪堺線（三宝線）が走っていた線路跡地を拡幅整備したもので、地域内には市電の駅も存在していましたが、1968年に廃止されました。

東側を通る阪神高速15号堺線には、津守出入口と玉出出入口が設けられており、地域の外部とのアクセスを担っています。また、東西方向の交通においては、木津川を越えて大正区方面を結ぶ千本松大橋や、大阪府道5号大阪港八尾線が重要な役割を果たしています。府道5号線は南津守交差点で新なにわ筋と合流し、その以南は新なにわ筋と重複する区間となります。

大阪シティバスの路線も複数運行されていますが、これらの路線の多くは運行頻度が限定されています。鉄道については、南海汐見橋線の津守駅と木津川駅が地域内に位置しています。また、場所によっては、Osaka Metro四つ橋線の玉出駅や北加賀屋駅、南海本線の天下茶屋駅、南海汐見橋線の西天下茶屋駅なども利用可能です。

主な施設

地域内には、住民生活や産業を支える様々な施設が存在します。

交通関連: 大阪市の公営渡船（落合上・落合下・千本松）、千本松大橋
教育施設: 南大阪看護専門学校、大阪府立西成高等学校、大阪市立北津守小学校、大阪市立南津守小学校、津守保育所、ひかり学園
医療・福祉: 津守病院、山本第三病院、橋村会南津守医院、総合就労支援福祉施設にしなりwing
社寺・公園: 津守神社、西成公園、南津守さくら公園、南津守中央公園
商業施設: ホームセンターHome's南津守店、しまむらホームズ南津守店、三杉屋ホームズ南津守店、南津守ショッピングプラザ、ホームセンターコーナン南津守店、ライフ南津守店、ジョーシン南津守店、コーナンPRO南津守店、ジャパン津守店、業務スーパー南津守店、津守商店街、西松屋津守店、やまや南津守店、くら寿司北津守店、かっぱ寿司南津守店
その他: 津守下水処理場・津守下水センター、ナニワ企業団地

この地域は、多様な歴史的変遷を経て、工業と住宅、そして商業が混在する大阪市西成区の特色ある一角を形成しています。

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