色部勝長

色部勝長

色部 勝長（いろべ かつなが）は、戦国時代における日本の武将。越後国を拠点とした上杉氏（長尾氏）の有力な家臣団、揚北衆の一員であり、岩船郡小泉庄平林村（現在の新潟県村上市平林周辺）を領する平林城主を務めた。色部憲長の子として生まれる。

生涯

勝長は、上杉氏の実権を握っていた長尾家の当主、長尾為景、その子の晴景、そして後に上杉謙信となる景虎という、三代にわたる歴代当主に仕えた重臣である。その生涯は、長尾氏や揚北衆内部の複雑な動向と深く結びついている。

天文2年（1533年）、越後守護・上杉定実と長尾為景の間で発生した上条の乱においては、本庄房長、黒川清実、中条藤資ら他の揚北衆の国人領主たちと共に、一時為景の下を離れて上条定憲方に加わった。この動きは、為景が子の晴景に家督を譲り隠退する一因ともなった。その後、最後まで抵抗を続けたが、最終的に長尾晴景への帰属を選び、乱の終息に向かわせた。

しかし、天文8年（1539年）に上杉定実の後継者問題を巡って発生した天文の乱では、再び房長や清実らと連携し、伊達晴宗方を支持。伊達稙宗方についた中条藤資の居城・鳥坂城を攻撃した。この乱の最中、本庄家中で小川長資と鮎川清長による謀反が起こり、房長が命を落とすと、勝長は両者の間に立って調停に努めた。さらに12年後の天文20年（1551年）、房長の子である本庄繁長が長資を自害させて父の仇を討ち、清長も討とうとした際には、再び両者の関係修復のために仲介役を果たしている。

上杉景虎（謙信）の代になると、勝長は謙信からの信頼を厚く得るようになった。関東地方における北条氏康との戦いではめざましい働きを見せ、特に永禄4年（1561年）の第四次川中島の戦いでは、危機に陥った柿崎景家を救援するなど奮戦した。その武勇は謙信に称賛され、安田長秀らと共に血染めの感状という殊勲の証を拝領している。永禄7年（1564年）の下野国佐野城攻めでも功績を挙げ、再び謙信から感状を受けた。その後、2年間にわたり佐野城の城将を務めるなど、謙信の主要な戦力として活躍した。

永禄12年1月10日（1569年2月7日）、本庄繁長が上杉氏に反旗を翻した本庄繁長の乱において、勝長は繁長の居城である村上城を包囲中に、繁長による夜襲に遭い戦死した。ただし、病没であったという説も存在する。勝長の跡は子の色部顕長が継いだ。

人物・逸話

勝長の生年については諸説あり、明確には判明していない。一説には明応2年（1493年）生まれとも言われるが、天文4年（1535年）に本庄房長や新発田綱貞らと連名で出された書状に花押が見られないことから、この時点ではまだ元服前であった可能性も指摘されている。

弘治3年（1557年）の第三次川中島の戦いにおいて、謙信からの出陣要請を受けた際、初めはこれを断ったが、最終的には戦場に赴いたという逸話が伝わる。

戦場における勝長は、白地に日の丸を描いた小旗を旗印として用いていた。永禄6年（1563年）、平賀重資という武将が全く同じ旗印を使用していることに対し、勝長は謙信から特別に授けられた紋であるとして、奉行の河田長親に抗議した。一方、平賀は斎藤朝信の家臣もこの紋を使っているため自身も用いたと釈明したが、河田は平賀の態度を叱責し、勝長の主張を認めて平賀にこの旗印の使用を禁じたという経緯がある。

謙信がまだ景虎と名乗っていた頃、揚北衆が割拠する下越地方では、本庄氏、中条氏、黒川氏といった有力国人たちの間で家督争いや領地問題が頻繁に発生していた。勝長はこうした揚北衆内部の複雑な対立において、度々謙信から仲介役を依頼されており、その政治的な手腕も信頼されていたことがうかがえる。

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