藤原宗成

藤原宗成の生涯と経歴

藤原宗成（ふじわら の むねなり）は、平安時代初期の貴族であり、著名な藤原北家に属していました。彼は、左大臣・藤原永手の曾孫であり、藤原家依の孫、さらに従五位下の藤原三起の長男でもありました。宗成はその出自から、その権力や地位を享受することが期待されていましたが、実際の人生は波乱に満ちたものでした。

初期の事件と謀反の疑惑

大同2年（807年）、宗成は平城天皇の弟である伊予親王に対して密かに謀反を勧めたとして逮捕され、左近衛府に収監されてしまいます。尋問を受けた宗成は、謀反の実行者として伊予親王を名指ししました。この事実を知った平城天皇は激怒し、伊予親王と彼の母である藤原吉子を捕らえ、川原寺に幽閉しました。最終的に母子は飲食を絶たれ、毒を取って自ら命を絶つという悲劇を迎え、その件は「伊予親王の変」として知られています。宗成自身もその後流刑に処されました。この事件には、藤原式家の右兵衛督である藤原仲成が宗成を唆したとの噂もあります。

流刑からの赦免

その後、いつ流刑が解かれたのかは定かではありませんが、大同4年（809年）に平城上皇の不予による非常赦があったことから、この時に許された可能性があります。しかし、伊予親王の変以降、宗成は世間から見放され、彼の名声は地に落ちてしまいました。当時の人々は、彼の不幸を悪事の報いだと考えました。

再起と官位の昇進

しかし、宗成は幼少期から親しかった清原夏野が淳和朝で高官に昇進するのに伴い、再び用いられるようになります。天長6年（829年）には従五位下に叙爵され、その後も天長9年（832年）に従五位上に昇進しました。この時期にわずかではありますが、彼は官位の上昇を果たし、さらに承和7年（840年）には淳和上皇の崩御に際して御前次第司次官に任ぜられました。

晩年と死

文徳朝末の天安2年（858年）、宗成は74歳で息を引き取りました。享年74で、最終的な官位は散位従五位上となっていました。彼の死後、家族は困窮し、衣食にも事欠く生活を強いられたという背景もあり、彼の最期は非常に悲惨なものでした。

人物像

宗成はその生涯を通じて、多くの困難に直面しました。才学に恵まれず、不正や媚びへつらうような一面があったともされます。このような特性が彼の運命をかえって複雑にしたのかもしれません。彼の人生からは、平安時代の貴族社会の厳しさや、権力の影に隠された人間ドラマを垣間見ることができます。

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