那須温泉郷

那須温泉郷：歴史と自然が織りなす癒やしの空間

栃木県那須町に広がる那須温泉郷は、那須岳の南麓に点在する8つの温泉地からなる、歴史と自然豊かな観光地です。古くから湯治場として栄え、数々の伝説や歴史的史実が息づいています。今回は、その魅力を深く掘り下げていきましょう。

悠久の歴史：飛鳥時代から続く温泉

那須温泉の起源は、飛鳥時代の630年（舒明2年）に遡ると伝えられています。狩野三郎行広が鹿が傷を癒しているのを発見したという伝説が残る鹿の湯（元湯）が、その始まりです。

那須町には、温泉を祀る神社が80社ほども存在するほど、温泉信仰が深く根付いています。平安時代には、すでに朝廷から重要な温泉地として認識されており、『日本三代実録』にもその記述が見られます。さらに奈良時代には、中央の官人が湯治に訪れていた記録も残っています。

鎌倉時代の『平家物語』には、那須与一が屋島の戦いで弓を射る際に那須の温泉の神に祈念したという逸話が記されており、文学作品にも登場するなど、古くから広く知られた存在であったことがわかります。江戸時代には、松尾芭蕉も訪れ、塩原[[温泉郷]]と並ぶ那須地域の代表的な温泉として発展しました。

多様な温泉：個性豊かな8つの湯

那須温泉郷には、それぞれ異なる泉質と効能を持つ8つの温泉地があります。江戸時代までに開湯した鹿の湯（那須湯本温泉）、板室[[温泉]]、三斗小屋温泉、大丸温泉、北温泉、弁天温泉、高雄温泉の7湯は、「那須七湯」と呼ばれ親しまれてきました。その後、明治以降に八幡温泉、旭温泉、飯盛温泉、郭公温泉が開湯し、一時「那須十二湯」とも呼ばれました。

現在では、宿や温泉施設が現存する7湯（那須湯本温泉、大丸温泉、弁天温泉、北温泉、八幡温泉、高雄温泉、三斗小屋温泉）に新那須温泉を加えた「那須八湯」として紹介されることも多く、それぞれの温泉が独自の個性を放っています。

那須湯本温泉：歴史と伝説の湯

那須温泉郷で最も古い温泉地である那須湯本温泉は、九尾の狐伝説で有名な殺生石の近くにあります。温泉神社を中心に温泉街が形成され、共同浴場「鹿の湯」は那須温泉郷のシンボルと言えるでしょう。松尾芭蕉も宿泊した歴史ある温泉です。

大丸温泉：奥那須の秘湯

車道からアクセスできる温泉地の中では最も奥深く、標高の高い場所に位置する大丸温泉は、「奥那須温泉」とも呼ばれます。露天風呂「川の湯」や、乃木希典夫妻も訪れた歴史ある宿があり、那須御用邸へ湯を供給する源泉も付近に湧いていると言われています。

弁天温泉、北温泉、八幡温泉、高雄温泉、三斗小屋温泉

弁天温泉は大丸温泉と湯本温泉の中間にある一軒宿で湯量豊富です。北温泉は「天狗温泉」の別名を持ち、独特の雰囲気があります。八幡温泉はツツジの名所として知られています。高雄温泉は野湯として親しまれていましたが、現在はホテルが営業しています。三斗小屋温泉は那須ロープウェイ山頂駅から徒歩でしかアクセスできない秘湯です。

北温泉：つげ義春と水木しげるゆかりの宿

昭和40年代には漫画家のつげ義春が好んで訪れ、水木しげるを案内したというエピソードも残っています。つげ義春の作品にも描かれている、巨大な温泉プールが印象的な宿です。

アクセスと周辺観光

那須温泉郷へのアクセスは、JR那須塩原駅または黒磯駅から路線バス、タクシー、レンタカーが利用可能です。那須高原観光周遊バスも運行しており、那須温泉郷や周辺の観光地への移動も便利です。

周辺には、那須温泉神社、殺生石、那須平成の森など、見どころも満載です。那須岳の登山や、ヤシオツツジの群落など、豊かな自然も堪能できます。

まとめ

那須温泉郷は、歴史と自然の両方が楽しめる貴重な温泉地です。それぞれの温泉の個性、そして周辺の観光スポットを巡ることで、充実した旅となるでしょう。ぜひ、那須温泉郷を訪れて、癒やしのひとときを過ごしてください。

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