長万部町

北海道の交通要衝、長万部町の詳細解説

長万部町は、北海道渡島総合振興局の北部に位置する町です。南北に細長い地形を持ち、古くから交通の要衝として栄えてきました。豊かな自然と歴史が息づくこの町の詳細を解説します。

地勢と気候

長万部町の地形は、起伏に富んだ丘陵地が大部分を占め、長万部岳などの山々が連なります。内浦湾沿いには帯状の平地が広がり、長万部川、紋別川、国縫川沿いには肥沃な農耕地が形成されています。海岸線はほとんどが砂浜で、遠浅の海が特徴です。

気候は、ケッペンの気候区分によると亜寒帯湿潤気候または湿潤大陸性気候に属し、降雪量が多い特別豪雪地帯です。冬季は厳しい寒さに見舞われますが、四季折々の自然を楽しむことができます。

歴史

長万部という町名はアイヌ語に由来するとされますが、正確な語源は特定されていません。この地は、渡島半島の地峡部に位置し、日本海側と太平洋側を結ぶ交通の要衝として、歴史的に重要な役割を果たしてきました。

年表

1604年：松前藩の支配下に入る。
1669年：シャクシャインの戦いで、国縫においてシャクシャイン軍が松前藩に敗れる。
1773年：番屋が建てられ、飯生神社が創建される。
1799年：幕命により松前藩が長万部-虻田間の道路を開削。同年、長万部は天領となる。
1803年：津軽藩によって長万部-虻田間の道路が改修される。
1821年：松前藩領に復する。
1854年：再び天領となり、南部藩が陣屋を築き内浦湾の警備を行う。
1859年：箱館奉行が御手作場を設け、先住民を移住させるが失敗。
1856年：長万部から後志の歌棄や寿都に至る黒松内越が開削される。
1864年：和人地となり、長万部村と称される。
1866年：善導寺が開山される。
1869年：胆振国山越郡長万部村となり、開拓使の管轄となる。
1873年：函館支庁長万部出張所が置かれ、副戸長が任命される（長万部町の開基）。
1874年：長万部五等郵便局が設置、電信線が開通。
1878年：公立小学校が設置される。
1879年：山越郡が発足。
1880年：山越郡全域が茅部山越郡役所の管轄となる。
1882年：函館県の管轄となる。
1885年：長万部大火が発生。
1886年：北海道庁函館支庁の管轄となる。
1891年：長万部村への移住募集が行われる。
1892年：国縫郵便局が開設。
1895年：長万部市街で火災発生
1897年：長万部村国縫に警察署の分署が置かれる。
1903年：鉄道が開通し、国縫駅、長万部駅、二股駅が開業。
1906年：二級村制施行、山越郡長万部村となる。
1912年：長万部小学校に高等科が併置。
1923年：北海道一級村制施行、長輪線が開通し長万部駅が分岐駅となる。
1926年：飯生神社が現在地に遷座。
1928年：長輪線全通（現在の室蘭本線）。
1932年：瀬棚線が全線開通。
1934年：長万部大火。
1936年：冷害克服特別指導村に指定。
1943年：町制施行、山越郡長万部町となる。
1945年：長万部空襲。
1947年：地方自治法施行、北海道渡島支庁の管轄となる。
1948年：長万部町警察署が設置される。
1952年：長万部高等学校に全日制課程設置。
1955年：温泉が湧出。
1956年：長万部町営温泉浴場開湯。
1962年:静狩金山閉山
1966年：新役場庁舎が完成。
1968年：長万部町公共上水道が供用開始。
1973年：開基100年、町制施行30年祝賀パレードを開催。
1974年：南部藩屯所跡が文化財に指定される。
1979年：長万部町民センターが完成。
1982年：長万部中学校が統合。
1983年：長万部町立病院が開院。
1987年：東京理科大学長万部校舎が開校。
1988年：おしゃまんべフェスティバル（現在の毛がにまつり）が初開催。
1997年：道央自動車道長万部インターチェンジが開通。
1998年：役場庁舎・健康センターが完成。
2001年：道央自動車道国縫インターチェンジが開通。
2006年：JR室蘭本線・旭浜駅が廃止。
2010年：渡島支庁が廃止され、渡島総合振興局の管轄となる。
2017年：JR函館本線・蕨岱駅が廃止。
2023年：開礎150年・町制施行80年記念式典開催。

町名の由来

町名の由来はアイヌ語ですが、諸説あり特定が難しいとされています。地域に根付いた独特な響きを持つ名称です。

人口

長万部町は町制施行前に16,446人の人口を数えましたが、静狩金山や長万部鉱業所の閉山により人口は大きく減少しました。近年では、15歳から19歳の男性人口が、東京理科大学長万部キャンパスの設置により増加しています。

行政と政策

現在の町長は木幡正志氏です。長万部町は、地域住民との協働を重視したまちづくりを進めています。高齢者福祉や防災対策、過疎対策などが重要な政策課題となっています。

主な政策

高齢者福祉：給配食、外出支援、安否確認、緊急通報システムなどのサービスを提供。
防災計画：原子力発電所からの距離を踏まえ、地域防災計画を策定。
過疎対策：低開発地域工業開発促進法や過疎法に基づき、地域振興策を実施。
鉄道駅廃止対策：路線減便に対する通院・通学支援を検討。
一般ガス事業：町営ガス工場が都市ガスを供給。

財政

財政力指数は0.195であり、財政状況は厳しい状況です。自主財源比率は29.2%となっています。

市町村合併

平成の大合併期には黒松内町との合併協議会が設置されましたが、合併には至らず、単独町制を維持しています。合併協議が頓挫した背景には、役場庁舎の所在地問題や地域の中心街の移動に対する住民の反対があったようです。

経済

産業

長万部町の主な産業は、酪農、林業、漁業です。特にホタテやカニは特産品として知られています。

主な立地企業

有限会社かにめし本舗かなや
株式会社青華堂
株式会社長万部北勝水産

商業施設

道南ラルズ
ツルハドラッグ
イエローグローブ

交通

鉄道

JR函館本線：国縫駅 - 長万部駅 - 二股駅
JR室蘭本線：長万部駅 - 静狩駅
北海道新幹線：長万部駅（2030年度末開業予定）

バス

函館バス：せたな[[町]]、函館市方面
ニセコバス：寿都[[町]]方面

道路

道央自動車道：国縫IC - 長万部IC
国道5号、37号、230号

放送

長万部町はNHK函館放送局の管轄ですが、2007年までは単独中継局がなく、視聴が困難な地域でした。現在はデジタル中継局により視聴可能となっています。

教育機関

大学

東京理科大学北海道・長万部キャンパス

高等学校

北海道長万部高等学校

中学校

長万部町立長万部中学校

小学校

長万部町立長万部小学校

公共施設

警察

北海道警察函館方面八雲警察署長万部交番、国縫駐在所、静狩駐在所
函館機動警察隊高速道路交通警察隊

農協・漁協

新函館農業協同組合
長万部漁業協同組合

郵便局

長万部郵便局（集配局）
国縫郵便局
静狩郵便局

名所・旧跡・観光スポット

東蝦夷地南部藩陣屋跡
二股ラヂウム温泉
おしゃまんべ毛がにまつり
長万部海岸
静狩湿原
二股渓谷
長万部公園
飯生神社
あやめ公園

主な行事

7月：おしゃまんべ毛がにまつり
7月：静狩稲荷神社例大祭
8月：飯生神社例大祭

名物

かにめし
黒ホッキ
黄金毛ガニ
サンミート木村のホルモン
浜ちゃんぽん
あめせん
コーキーズ生クッキー

イメージキャラクター

公式キャラクターは「まんべくん」です。

出身有名人

西部邁（評論家）
* 和田芳恵（作家）

長万部町は、豊かな自然と歴史、そして交通の要衝としての役割を担ってきた町です。新幹線延伸も予定されており、今後さらなる発展が期待されます。

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