長崎大学病院

長崎大学病院は、長崎県長崎市坂本に位置する大学病院であり、長崎大学の医学部と歯学部の附属病院として、高度な医療を提供しています。長崎県内では唯一の大学病院として、地域医療の中核を担っています。

沿革

その歴史は江戸時代に遡り、1857年（安政4年）に長崎奉行所西役所（現在の長崎県庁所在地）に開設された医学伝習所が起源です。オランダ人医師ポンペ・ファン・メールデルフォールトが、海軍伝習の一環として西洋医学の講義を開始し、松本良順や司馬凌海を含む12名が伝習生となりました。長崎大学医学部は、この医学伝習所が開設された9月26日を開校記念日としています。

その後、伝習生が増加したため、大村町（現在の江戸町・万才町）に移転し、大村町医学伝習所と改称されました。ポンペはここで初めて公開の種痘を行い、舎密（せいみ）試験所を開設するなど、日本の近代医学の発展に大きく貢献しました。

1860年（万延元年）には、ポンペの要請により病院建設が決定し、下長崎村小島（現在の長崎市西小島）に養生所が建設されました。1861年（文久元年）に養生所が完成し、日本初の近代的西洋式病院として開所しました。様式8病室、124床、手術室・隔離室・浴室・調理室などを備え、別棟には講義室と寄宿舎も設けられました。

明治時代に入ると、長崎府医学校、長崎県病院医学校、長崎医学校と名称を変えながら、日本の医学教育の中心としての役割を果たしました。1888年（明治21年）には、第五高等中学校医学部となり、1901年（明治34年）には官立長崎医学専門学校として独立しました。

大正時代には、県立長崎病院の敷地・建物が国に移管され、長崎医学専門学校附属医院、長崎医科大学附属医院と改称されました。

1945年（昭和20年）8月9日、長崎市への原爆投下により、医科大学・附属病院は甚大な被害を受けました。しかし、職員や学生たちは、立山の長崎商工会議所や新興善国民学校などを仮拠点として、被災者の救護活動に尽力しました。その後、長崎経済専門学校（現長崎大学経済学部）や諫早市の元佐世保海軍病院諫早分院などに移転しながら、教育・診療を再開しました。

1949年（昭和24年）には、国立学校設置法の公布により長崎大学が誕生し、長崎医科大学は長崎大学医学部・長崎大学長崎医科大学となりました。1950年（昭和25年）には、長崎大学医学部附属病院と改称され、浦上の旧構内（現在地）に復帰しました。

2003年（平成15年）には、医学部附属病院と歯学部附属病院が統合され、長崎大学医学部・歯学部附属病院となり、2009年（平成21年）には現在の長崎大学病院に改称されました。

現在の長崎大学病院

現在、長崎大学病院は、高度な医療技術と最新の医療設備を備え、地域医療に貢献しています。救命救急センター、高度被ばく医療支援センター、原子力災害医療・総合支援センターなどを設置し、緊急医療や災害医療にも力を入れています。

診療科

呼吸器内科、血液内科、消化器内科、麻酔科、呼吸器外科、消化器外科、神経内科、膠原病・リウマチ科、内分泌・代謝内科、皮膚科、泌尿器科、腎臓内科、循環器内科、心臓血管外科、整形外科、形成外科、乳腺・内分泌外科、眼科、脳神経外科、耳鼻咽喉科、放射線科、小児科、小児外科、産科婦人科、精神神経科、救急科、矯正歯科、予防歯科、小児歯科、歯科放射線科、歯科麻酔科、口腔外科など、幅広い診療科を有しています。

医療機関の指定等

救命救急センター、特定機能病院、災害拠点病院、基幹型認知症疾患医療センターなどの指定を受けています。

交通アクセス

JR九州長崎本線浦上駅より徒歩約10分
長崎電気軌道大学病院電停または原爆資料館電停より徒歩約8分
* 長崎バス8番系統下大橋行き「大学病院前」バス停より徒歩約1分

病院玄関前まで直接乗り入れるバス「元気くん」も運行されています。

長崎大学病院は、長崎の地で160年以上にわたり、医療の発展に貢献してきました。これからも地域住民の健康を守り、高度な医療を提供し続けることが期待されます。

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