陣馬山

陣馬山（じんばさん）

陣馬山は、東京都八王子市と神奈川県相模原市緑区の境に位置する、標高854.8メートルの山です。かつては「陣場山」と表記されることもありました。

概要と特徴

この山は関東山地の東縁にあり、山頂部は広くなだらかな地形が特徴で、陣馬高原と呼ばれることもあります。その豊かな自然環境は東京都立高尾陣場自然公園および神奈川県立陣馬相模湖自然公園に指定されており、景観の良さから関東の富士見百景や、かながわの景勝50選にも名を連ねています。また、多摩百山や八王子八十八景にも選定されています。

陣馬山は、高尾山へと続く奥高尾縦走路の一部を構成しており、縦走登山の起点または終点として多くの登山者に利用されています。春には桜の名所としても知られ、多くの花見客が訪れます。

近年の登山ブームの中でも特に人気が高く、日本経済新聞が登山アプリYAMAPのデータをもとに集計した「2023年に登頂回数が多かった山」ランキングでは、全国で10位にランクインするなど、その人気ぶりがうかがえます。

山名の由来

陣馬という山名の起源については諸説伝わっています。北条氏の滝山城を攻めた武田氏がこの地に陣を張ったことに由来するという「陣場」説、山頂周辺が茅（チガヤ）の刈り場であったことから「茅場（ちがやば）」が転訛したという説、あるいは武士が馬の陣を構えたことから「陣馬」の文字が当てられたという説などが語り継がれています。

白馬の像

陣馬山のシンボルとして有名な山頂の白馬の像は、1960年代後半に京王帝都電鉄（現在の京王電鉄）が、観光地としての魅力を高める目的で建立したものです。この像は、山の風景に彩りを添え、多くの登山者が記念撮影をする人気のスポットとなっています。

山頂の施設

山頂には、登山者が利用できるトイレが設置されていますが、残念ながら水場はありません。飲み物などは事前に準備が必要です。また、山頂広場には、信玄茶屋、富士見茶屋、清水茶屋といった複数の茶屋（売店）が営業しており、軽食や飲み物、土産物などを購入できます。営業時間は概ね午前9時頃から夕方までですが、平日には営業時間が短縮されたり、定休日があったり、冬季には休業することもあるため、利用を検討する際は事前の確認をおすすめします。

アクセス

陣馬山への登山ルートは複数あり、アクセス方法も様々です。

主な登山口からのアクセス

JR中央本線・京王電鉄高尾駅より
北口から西東京バス「[霊園32] 陣馬高原下」行きのバスに乗車し、終点の「陣馬高原下」バス停で下車します（約37分）。ここから山頂までは登り約1時間20分、下り約1時間です。休日などの混雑時には、「夕焼小焼」バス停まで停車しない急行バスが増発されることがあります。陣馬高原下からのルートはバスの本数が多いことから人気があります。

JR中央本線藤野駅より
津久井神奈交バス「[野08] 和田」行きに乗車します。
「陣馬登山口」バス停下車（約5分）。ここから一ノ尾根を経由するルートは、登り約1時間40分、下り約1時間20分です。一ノ尾根ルートは比較的勾配が緩やかで登りやすいとされています。
「陣馬登山口」バス停下車（約5分）。栃谷尾根を経由するルートは、登り約1時間40分、下り約1時間10分です。
終点「和田」バス停下車（約14分）。和田尾根を経由するルートは、登り約1時間30分、下り約55分です。

和田峠より
和田峠からは山頂まで比較的短時間でアクセスできます。登り約30分、下り約20分です。

高尾山からの縦走

京王高尾線高尾山口駅から、高尾山や景信山を経由して陣馬山まで縦走するルートもあります（6号路や稲荷山コースなどを経由した場合）。高尾山から陣馬山までは登りで約5時間40分、下りでは約5時間5分程度の時間を要します。奥高尾の稜線歩きを楽しむ人気のコースです。

かつては、2006年11月までの春・秋の日曜・祝日に、京王電鉄京王八王子駅やJR八王子駅北口から陣馬高原下行きの直通バス「夕やけ小やけ号」が運行されていました。

周辺の山・関連事項

陣馬山の周辺には、以下のような山々や縦走路、関連する場所があります。

隣接する山:
醍醐丸（867m） - 八王子市の最高地点。
景信山（727.1m）
周辺の山など:
笹尾根縦走路（三頭山方面へ）
熊倉山（966m）
三国山（960m）
生藤山（990.3m）
連行峰（1,016m）
茅丸（1019m） - 藤野町の最高峰。
和田峠
奥高尾縦走路（吊尾根）
市道山（795.1m）
今熊山（505.7m）
臼杵山（842.1m）
刈寄山（687m）
関連事項:
陣馬街道（裏甲州街道）
甲州街道
関東ふれあいの道（生藤山、三国山方面）
石楯尾神社
軍刀利神社 奥の院

陣馬山は、手軽なハイキングから本格的な縦走まで楽しめる懐の深い山として、四季を通じて多くの人々に親しまれています。

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