音威子府駅

音威子府駅：北海道北部の交通拠点と歴史を刻む駅

音威子府駅は、北海道中川郡音威子府村に位置する、JR北海道宗谷本線の駅です。特急列車「宗谷」と「サロベツ」を含む全列車が停車することで知られ、周辺地域の中心的な交通拠点としての役割を担っています。

歴史と変遷：天北線の終着駅として

音威子府駅が開業したのは1912年（大正元年）。宗谷線の延伸に伴い開業し、その後1914年には天北線の分岐駅となりました。天北線の廃止（1989年）までは、さらに北へ向かう路線の起点として、地域の重要な交通結節点として機能していました。

開業以来、音威子府駅は幾多の変遷を経験してきました。名寄機関庫音威子府分庫の設置と廃止、跨線橋の架け替え、構内連動装置の更新、貨物・荷物扱いの廃止など、鉄道技術の発展とともに変化を遂げてきました。1979年には貨物列車の脱線事故が発生しましたが、幸いにも人的被害はありませんでした。

1987年の国鉄分割民営化によりJR北海道の駅となり、1990年には天北線廃止に伴い、現在の木造駅舎から交通ターミナル駅舎へと改築されました。駅舎内には宗谷バスの窓口や「天北線資料室」が設置され、地域の文化・歴史を伝える役割も担っています。しかし、2023年9月末をもって宗谷バス天北宗谷岬線が廃止されたことに伴い、バス窓口も閉鎖されました。

駅構造と設備：現代的な交通ターミナル

音威子府駅は、単式ホーム1面1線と島式ホーム1面2線、合わせて2面3線の地上駅です。1番線は普通列車のみが使用します。ホーム間の移動は跨線橋を利用します。

駅員配置駅であり、みどりの窓口も設置されています（日・祝日は休業）。自動券売機はありません。駅舎はバス待合所も兼ねており、「音威子府交通ターミナル」と呼ばれています。駅舎内には、かつては長年親しまれてきた駅そば店「常盤軒」がありましたが、2021年に閉店しました。

音威子府そばと常盤軒：地域のソウルフード

音威子府駅といえば、「常盤軒」の駅そばが有名でした。独特の黒いそばは、甘皮ごとひいたそば粉を使用し、風味豊かなつゆとの相性も抜群でした。多くの旅行者に愛され、「音威子府そば」として村の名産品にもなっていました。

「常盤軒」は1990年の駅舎改築とともに駅舎内に移転し、多くの旅行客に愛されてきましたが、店主の高齢化や新型コロナウイルス感染症の影響もあり、2021年に閉店しました。そばの製造元であった畠山製麺も2022年8月末に廃業しましたが、音威子府そばは現在も村内の他の店舗で楽しむことができます。

交通アクセスと周辺環境：観光の拠点として

音威子府駅は、音威子府村の中心部に位置しており、村役場や道の駅おといねっぷ、北海道おといねっぷ美術工芸高等学校などの公共施設や教育機関が近接しています。国道40号と国道275号も近くを通っており、車でのアクセスも良好です。また、音威子府村地域バスや、周辺市町村を結ぶ路線バス、都市間バスの乗換駅となっています。

周辺には、音威富士スキー場や高橋昭五郎彫刻の館など、観光スポットも点在しており、観光の拠点としても利用できます。

音威子府駅の未来：地域の活性化に向けて

音威子府駅は、地域の交通拠点であると同時に、歴史と文化を伝える場所でもあります。天北線廃止後も、駅舎内にある天北線資料室は地域の貴重な歴史資料を保存・展示し続けています。今後も、地域の活性化に貢献していくことが期待されています。 駅周辺の環境整備や新たな観光資源の開発など、更なる発展が期待されます。

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