V

Vの解説

はじめに

Vは、アルファベットの22番目の文字です。この記事では、Vの歴史、字形、呼称、様々な言語における発音、そしてVが使用される様々な場面について解説します。

起源と歴史

Vは、ギリシャ文字のΥ（ウプシロン）に由来します。U、W、Yと同様に、Υから派生した文字であり、キリル文字のУとも系統的に関連しています。また、Fとも同族関係にあります。ただし、キリル文字のВは発音は似ていますが、ギリシャ文字のΒに由来しており、起源は異なります。

古代ラテン文字では、Uが存在せず、Vは母音の/u/と半母音/w/の両方を表すために用いられていました。/u/と/w/の表記を明確にするため、中世のロマンス語において、Vの小文字を元にUが新たに導入され、やがてラテン語文献でも/u/と/w/の区別が明確化されました。

ゲルマン語にはラテン語にない/v/という音素が存在しました。Uが母音/u/を表す文字として定着した結果、Vは/v/を表す文字となりました。英語などでは、/w/を表す文字としてWが新たに作られ、中世高地ドイツ語ではWが/v/を表すようになりました。ドイツ語やオランダ語では、Vの発音が/f/に変化する音韻変化も見られますが、オランダ語では/v/の発音が標準となっています。日本語には/v/の音素がなかったため、近代英語などの/v/を様々な方法で表記してきました。

字形

Vの字形は、下部で屈曲したひと連なりの線で表され、大文字と小文字でほぼ同じ形をしています。筆記体では、Uやuとの区別のため、下部が丸まることがありますが、右上で下に折り返して次の文字に繋がります。フラクトゥールでは、独特の筆記体で表現されます。

呼称

Vの呼称は言語によって異なります。

ラテン語: ウー
仏: vé（ヴェ）[ve]
伊: vu（ヴ）
英: vee（ヴィー）[viː]
独: vau, fau（ファウ）[faʊ]
洪: ヴェー [veː]
尼: フェー [feː]
蘭: ヴェー、フェー [veː]、[feː]
西: uve（ウベ）、ve（ベ）、u corta（ウコルタ）、u baja（ウバハ）、u chica（ウチカ）
エスペラント: ヴォ
日本語: ブイ（[bɯi]、[bui]）、ヴィー（[viː]）、ヴイ（[vɯi]、[vui]）、ヴィ（[vi]）

音素

国際音声記号では、小文字の[v]は有声唇歯摩擦音を表します。通常は子音ですが、[vͅ]と表記される場合、単独で音節を持つこともあります。フランス語、英語、イタリア語、ハンガリー語、ポルトガル語、エスペラント、リス語などでは[v]と発音されますが、言語や単語の位置によって発音は変化します。例えば、スペイン語ではBとVの発音上の区別がなく、[b]と発音されることが多いです。ドイツ語やインドネシア語では[f]と発音される場合もあります。

Vの意味と用法

Vは大文字、小文字で様々な意味を持ちます。

主に大文字

元素記号: バナジウム (vanadium)
単位記号: ボルト (volt)
鉄道の路線記号、時刻表の列車種別記号、企業の略称、製品名など、数多くの固有名詞で使用されています。
ローマ数字の5
医療カルテの日付表記での5月
優勝、勝利 (victory)
Vサイン（ピースサイン）
V字回復
動詞 (verb)
ベクトル空間

主に小文字

ベクトル (vector)
速度 (velocity)
バージョン (version)
巻 (volume)
インターネットスラングでのハートマーク
姓の前置詞 (von, van)
副 (vice)

符号位置

VのUnicode符号位置は、大文字がU+0056、小文字がU+0076です。

まとめ

Vは、長い歴史を持ち、様々な言語や文化において多様な意味と用法を持つ重要な文字です。この記事が、Vについての理解を深める一助となれば幸いです。

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