エビ

エビの概要

エビ（海老・蝦・魵）は、十脚目（エビ目）に属する甲殻類の一部で、カニ下目やヤドカリ下目を除くすべての種を総称します。かつては長尾亜目に分類されていましたが、現在はこの分類はなくなり、便宜上の区分となっています。エビは十脚目の中でも、カニやヤドカリとは異なる側系統を形成し、単系統ではありません。この定義に含まれるものとして、ザリガニもエビとみなされています。

名称について

日本語の「えび」という言葉は、元々は葡萄を指していました。このため、エビはその色にちなんで名付けられたことがわかります。漢字の「海老」や「蛯」は、姿を老人に見立てた表現であり、中国語の「蝦」も同様の意味を持ちます。一部のエビはそのサイズで分類され、英語では大きなエビを「prawn」、小さなものを「shrimp」と呼びます。また、大型のエビには「lobster」という名称も使用されます。

例えば、カブトエビやシャコなどの名前に「エビ」とつく生物もありますが、これらは異なる系統に属し、厳密にはエビではありません。コシオリエビはエビと共に十脚類の一部に属するが、ヤドカリの近縁分類に位置づけされています。

エビの特徴

エビは、頭部、胸部、腹部の三つの部分から成り立っています。外骨格を持ち、頭胸甲と呼ばれる部分があり、目の間には額角と呼ばれる特徴的な角があります。また、エビは呼吸器官として鰓を持ち、通常乾燥した土地には適応していないが、一部、湿った陸上で活動する種も存在します。おおよそ19対の付属肢を有し、触角、大あご、小あご、顎脚、歩脚が配置されています。

腹部は6つの節に分かれていて、泳ぐ際や卵を持つための腹肢を持っています。尾部は特に動きが機敏で、敵に襲われた際には素早く逃げることが可能です。また、エビの幼生は水中でプランクトン生活を送り、大人になっていく過程で変態を繰り返します。

感受性と福祉

近年の研究によって、エビも痛みやストレスを感じることができるとされています。これを受けて、動物福祉法によりエビが特別に扱われるようになり、より人道的な方法での屠殺が模索されています。

主な種類と生息環境

エビは河川から深海まで幅広い水環境に生息します。代表的な種は淡水域のテナガエビ類や、浅い海の砂泥底にいるウシエビなどです。これらのエビは食用、観賞用としての利用が盛んで、多様な料理に使われています。

調理法と食中毒

エビは様々な料理に使われ、刺身や天ぷら、エビフライ、炒め物などがあります。また、加工品としてはエビせんなどのスナックも存在します。生のエビは細菌に対して脆弱で、鮮度管理が必要です。食中毒のリスクがあるため、適切な取り扱いが求められます。

食物アレルギーと養殖

エビは食物アレルギーを引き起こす可能性が高い食品とされており、表示義務があります。漁法や養殖も盛んに行われ、特にアジア地域では大規模な養殖が行われていますが、環境への影響も問題視されています。例えば、養殖地確保のためにマングローブ林が伐採されることが指摘されています。

エビの感染症

エビの養殖場では多くの感染症が問題となります。具体的には、イエローヘッド病やタウラ症候群などがあり、これらの病気は稚エビに致命的な影響を及ぼすことがあります。特に、過密養殖が病気の拡大を助長する要因となっています。

分類

エビは大きく根鰓亜目と抱卵亜目に分かれ、それぞれに多様な科や属があります。根鰓亜目は受精卵を水中に放出し、抱卵亜目は卵を腹肢で保護します。これらの生態的・形態的な違いが、エビの多様性を生んでいます。

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