お笑いエース登場

『お笑いエース登場』は、1980年に読売テレビが制作し、日本テレビ系列で放送された演芸番組です。同年5月3日に放送が開始され、9月27日までのおよそ5ヶ月間にわたり、全12回が放送されました。

番組の収録は、当時大阪市北区東天満に所在していた読売テレビの旧社屋で行われました。本番組の大きな特徴は、地元大阪だけでなく、東京からも多くの芸人を招聘していた点にあります。東西の人気・実力派芸人が集結し、漫才、落語、コントといった様々なジャンルの演芸を披露し、視聴者に質の高い笑いを届けました。

番組の進行役を務めたのは、当時、読売テレビが担当していた朝の情報番組『ズームイン!!朝!』のキャスターであった小林大作さんです。小林さんは、持ち前の巧みな話術で、出演する芸人一人ひとりやコンビ・トリオを丁寧に紹介しました。ただし、演目を終えた芸人たちと舞台上で直接的なトークを行うといった構成はなく、あくまで紹介に徹する役割でした。番組のオープニングとエンディングには、小林さんが硬球を手に持って、「プレイボール！」や「ゲームセット！」といった野球にちなんだ威勢の良いコールを行うという、ユニークな演出も取り入れられていました。

放送時間は、原則として毎週土曜日の午後7時から午後7時30分までの30分間でした。しかし、1980年から日本テレビ系列のプロ野球ナイター中継がこの時間帯である午後7時開始に前倒しされた影響を大きく受けました。そのため、プロ野球の試合が予定されている日は、本番組の放送が見送られることになりました。また、一部の系列局、特に広島テレビでは、地元球団である広島東洋カープの試合をローカルで中継することがありました。その際には、巨人戦中継への差し替え時を除き、『お笑いエース登場』は同時ネットされず、後日改めて遅れて放送されるという対応が取られていました。

番組の放送開始も、このプロ野球中継の影響を色濃く受けています。当初、第1回は1980年4月12日のナイター中継が雨などで中止になった場合の『雨傘番組』として編成されていました。しかし、この日は予定通り試合が行われたため、放送は翌週に繰り延べられました。その後もプロ野球中継による順延が繰り返された結果、本来よりも遅れて、同年5月3日になってようやく第1回が放送されることとなりました。興味深いことに、最終回もまたナイターの雨傘番組として設定されており、この日は運良く（または必然的に）試合が雨天中止となったことから、予定通り最終回が放送される運びとなりました。

番組には、当時の演芸界を代表する豪華な顔ぶれが出演しました。ベテランから新進気鋭の若手まで、多岐にわたる芸人が登場し、それぞれの持ちネタで視聴者を楽しませました。主な出演者としては、中田ダイマル・ラケット、夢路いとし・喜味こいしといった大御所から、横山やすし・西川きよし、レツゴー三匹、今いくよ・くるよ、中田カウス・ボタン、西川のりお・上方よしお、ザ・ぼんち、オール阪神・巨人、太平サブロー・シロー、島田紳助・松本竜介、春やすこ・けいこ、海原さおり・しおり、青空球児・好児、ツービート、星セント・ルイス、おぼん・こぼん、B&B、ゆーとぴあなど、現在も語り継がれる多くの人気コンビやトリオが出演し、番組を盛り上げました。このように、『お笑いエース登場』は、当時の日本の演芸シーンを映し出す一幕であり、東西の才能が一堂に会した貴重な番組と言えるでしょう。

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