ちんどんどん

1975年、金曜の夜を彩った人情喜劇『ちんどんどん』

1975年4月11日から10月10日まで、日本テレビ系列で放送されたテレビドラマ『ちんどんどん』。毎週金曜日の夜8時、多くの視聴者の心を掴んだ人気作品でした。最終回のみ、放送時間が数分短縮されましたが、全26話が放送されました。

本作は、夜間高校の図工教師でありながら、画家を夢見る青年・岩田俊也が、チンドン屋「竹乃屋」の一家に婿入りするところから物語が始まります。

チンドン屋一家は個性豊かな面々です。厳格ながらも温かい父親・淳八、気丈な母親、個性的な兄弟姉妹など、それぞれの事情を抱えながらも、家族として支え合う姿は、視聴者に深い感動を与えました。俊也は、最初は戸惑いながらも、次第にチンドン屋一家に溶け込み、彼らと共に人生の喜びや苦しみを分かち合っていくのです。

魅力的な登場人物たち

ドラマを彩る登場人物たちは、それぞれに魅力的なキャラクターでした。

主人公・岩田俊也を演じるのは、加藤剛。誠実で温厚な俊也は、チンドン屋一家と周囲の人々を繋ぐ存在として、物語の中心を担っています。

チンドン屋「竹乃屋」の親方である大平淳八を演じるのは、伴淳三郎。厳格ながらもユーモラスな演技で、視聴者から大きな人気を博しました。

そして、淳八の妻や個性豊かな子供たちを演じるのは、水沢アキ、愛川欽也、石橋正次、ビーバー（川口まさみ）、春川ますみ、西川和孝といった豪華な面々。

その他にも、園佳也子、ミヤコ蝶々、竹下景子、由利徹、佐藤蛾次郎、小夜福子、山形勲、小野武彦、近松麗江、谷啓、研ナオコ、赤木春恵、浜田寅彦、黒沢洋子、曾我廼家五郎八、山科ゆり、江夏夕子、斎藤ゆかり、野村昭子、泉晶子といったベテランから若手まで、実力派俳優が多数出演しています。ゲスト出演者として、ファイティング原田、玉川スミ、信欣三、ダーク大和、サンダー杉山、サトウ・ロクロー、高橋みどり、藤田淑子などもドラマに華を添えています。

脚本・演出

脚本は布勢博一、松原敏春、鶴島光重、高階有吉の4名が担当。それぞれの個性豊かな脚本によって、物語はさらに深みと広がりを見せました。演出は波多腰晋二、矢野義幸の2名が担当し、テンポの良い演出で視聴者を飽きさせない工夫が凝らされていました。制作は日本テレビ。主題歌はチェリッシュが担当しました。

放送とネット局事情

『ちんどんどん』は、全国ネットで放送されましたが、一部地域ではネット局の事情により、遅れネットや曜日変更がありました。

特に、広島県と宮城県では、当時、系列局のクロスネットの関係から、放送時間に遅れが生じていました。広島県では、広島ホームテレビが火曜22時からの遅れネット、宮城県では宮城テレビが土曜13時15分からの遅れネットとなっていました。しかし、10月のテレビ新広島と東日本放送の開局により、状況は変化し、最終回と26話のみ同時ネットとなりました。

人情味あふれる物語

『ちんどんどん』は、単なるチンドン屋の物語ではありません。家族の絆、人々の繋がり、そして夢に向かう若者の姿など、様々なテーマが丁寧に描かれています。

チンドン屋の賑やかな音色と、登場人物たちの温かい人間模様が織りなす、心温まるホームドラマ。1975年の金曜の夜を彩った『ちんどんどん』は、今なお多くの人の記憶に残る名作です。参考文献として朝日新聞、毎日新聞、読売新聞の縮刷版、週刊TVガイドが挙げられます。

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