どぶ (映画)

映画『どぶ』解説

1954年に公開された『どぶ』は、新藤兼人監督が戦後の日本の現実を鋭く描いた作品です。近代映画協会が製作し、新藤監督自身が脚本も手がけました。舞台は終戦直後の横浜市鶴見区。河童沼のほとりに広がるバラック部落を新藤監督が自ら取材し、そこで暮らす人々の姿をリアルに描き出しています。

あらすじ

物語は、バラック部落で生活する様々な人々の日常を映し出します。知恵遅れの女性ツル、ギャンブルに溺れるピンちゃん、新興宗教に救いを求める老婆、かつては新劇の名優だったと豪語する男など、それぞれが困難な状況の中で生きています。彼らの人生は、戦後の混乱期における社会の歪みと、人間の弱さ、そしてそれでも生きようとする力強さを象徴しています。

作品の特徴

『どぶ』は、単なるドラマとしてだけでなく、当時の社会問題を浮き彫りにした作品としても評価されています。新藤監督は、貧困や差別といった社会の暗部を隠すことなく、真正面から描いています。また、登場人物たちの個性的なキャラクターや、彼らが織りなす複雑な人間関係も、物語に深みを与えています。

スタッフ

監督: 新藤兼人
製作: 吉村公三郎
協力製作: 山田典吾、絲屋寿雄、能登節雄
脚本: 新藤兼人、棚田吾郎
撮影: 伊藤武夫
音楽: 伊福部昭
美術: 丸茂孝
照明: 田畑正一
録音: 長岡憲治
編集: 今泉善珠

キャスト

ツル: 乙羽信子
ピンちゃん: 宇野重吉
徳さん: 殿山泰司
重役: 山村聡
大場: 菅井一郎
安吉: 藤原釜足
斎藤巡査: 神田隆
杉村巡査: 下元勉
博士: 加藤嘉
忠さん: 信欣三
大酔軒の主人: 左卜全
まつ江: 中北千枝子
弘美: 木匠マユリ
たみ: 飯田蝶子
延代: 清川玉枝
お時: 赤木蘭子
よね: 高野由美
きぬ子: 本間文子
紳士: 御橋公
西村: 鶴丸睦彦
三井: 深見泰三
几: 花沢徳衛
清水元
運転手: 柳谷寛
小笠原章二郎
内藤武敏
伊達信
輝明: 近藤宏
浜村純
石島房太郎
望月伸光
田中筆子
奈良岡朋子
眸瑠璃子
飲み屋の客: 大滝秀治
大場の妻: 三崎千恵子
原ひさ子
鈴木瑞穂
芦田伸介
松山省二
佐々木すみ江

外部リンク

どぶ - allcinema

もう一度検索