赤木蘭子

赤木蘭子（あかぎ らんこ）は、1914年1月17日に東京で生まれた女優です。本名は筒井信千代といいます。彼女は、日本の演劇と映画の歴史において、重要な役割を果たした人物の一人です。

1929年、赤木は新築地劇団に入団し、舞台女優としてのキャリアをスタートさせました。新築地劇団は、当時、日本の新劇運動の中心的な存在であり、彼女はここで、藤森成吉作の「何が彼女をさうさせたか」で初舞台を踏みました。1934年の劇団分裂後は、新協劇団に参加し、「アジアの嵐」などの作品に出演し、その才能を開花させました。

1939年には、同じ新協劇団の俳優であった信欣三と結婚しました。彼女は、映画の世界でも活躍し、1939年の『空想部落』では主人公の妻役を、1940年の『木石』では物語のキーとなる中年女性を演じました。また、1943年の『愛機南へ飛ぶ』では、本名である信千代の名で、主人公の母親役を演じました。戦前には他にも、『綴方教室』、『初恋』、『多甚古村』などの作品に出演し、その演技力は高く評価されました。

1940年、赤木は、夫の信欣三や村山知義、久保栄、滝沢修らとともに、治安維持法違反の容疑で不当に逮捕されました。これは、当時の社会情勢を反映した出来事であり、彼女の演劇活動に大きな影響を与えました。

戦後、1945年に東京芸術劇場に参加しましたが、その後脱退し、夫と共に俳優座に入団しました。東宝争議の中では、『女優』、『第二の人生』、『面影』、『女の四季』といった映画に出演し、その存在感を示しました。1949年には、俳優座内で結成された共産党細胞に所属しましたが、1950年に細胞が解散した際に脱党しました。1955年には劇団民藝に移り、舞台女優としての活動を続けました。

赤木蘭子は、映画、舞台、テレビドラマと幅広いジャンルで活躍しました。主な映画作品としては、『綴方教室』、『初恋』、『空想部落』、『多甚古村』、『木石』、『愛機南へ飛ぶ』、『女優』、『女の四季』、『火の鳥』、『赤い殺意』、『怪談』、『赤い天使』などが挙げられます。テレビドラマでは、シャープ火曜劇場や松本清張シリーズなどに出演しました。

彼女の姪である筒井ともみも、脚本家・小説家として活躍しています。

赤木蘭子は、1973年7月23日に亡くなりましたが、彼女の作品と演技は、今も多くの人々に愛され続けています。彼女は、日本の演劇と映画の歴史において、重要な足跡を残した女優の一人として、記憶されるでしょう。

フィルモグラフィー

映画

『綴方教室』（東宝映画東京、1938年）
『初恋』（東宝映画京都＝新協劇団、1939年）
『空想部落』（南旺映画、1939年）
『多甚古村』（東宝映画京都、1940年）
『奥村五百子』（東京発声＝新日本映画研究所、1940年）
『木石』（松竹、1940年）
『愛機南へ飛ぶ』（松竹、1943年）…主人公（原保美）の母役
『敵機空襲』（松竹、1943年）…とみ江役
『煉瓦女工』（南旺映画、1946年）
『女優』（東宝、1947年）
『無頼漢長兵衞』（大映、1949年）
『女の四季』（東宝、1950年）
『唐人お吉』（京映プロ＝現代俳協、1954年）
『火の鳥』（日活、1956年）
『われは海の子』（民芸＝教配、1956年）
『警察日記 ブタ箱は満員』（日活、1961年）
『みんなわが子』（全農映＝ATG、1963年）
『赤い殺意』（日活、1964年）
『怪談』（文芸プロダクションにんじんくらぶ、1965年）
『赤い天使』（大映東京、1966年）
『あかね雲』（松竹、1967年）

テレビドラマ

シャープ火曜劇場（CX）
第7回「愛妻物語」（1961年）
松本清張シリーズ・黒の組曲（NHK）
第1話「駅路」（1962年）
第35話「破談変異」（1962年）
* 人形佐七捕物帳 第35話「謎の血文字」（1965年、NHK）

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