鶴丸睦彦

鶴丸睦彦(つるまる むつひこ、1901年10月10日 - 1989年7月5日)は、日本の俳優です。本名を松井睦彦といい、鹿児島県鹿児島市で医師の父のもとに生まれました。

早稲田高等学院を卒業後、1923年にアメリカへ渡航。その後、スペインへも足を運び、エル・グレコの絵画に触発されます。1927年に帰国すると、左翼系の劇団で美術を担当したのち、俳優としてのキャリアをスタートさせました。

佐々木孝丸村山知義らが率いる前衛劇場に参加し、1928年には東京左翼劇場1934年には新協劇団へと移籍。1938年木村荘十二監督の『牧場物語』で映画デビューを果たしました。

戦後は、舞台での激しい演技が原因で肺を患い、療養生活を送ります。療養中に劇団民藝に入団し、1953年には民藝と近代映画協会の共同制作映画夜明け前』に、療養所から撮影所に通いながら出演。翌1954年には佐分利信監督の『叛乱』で北一輝という重要な役を演じ、注目を集めました。その後も、新藤兼人監督の『どぶ』、今井正監督の『ここに泉あり』といった独立プロ作品や、『地獄の波止場』など日活作品にも出演しています。

舞台では、『漁港』や『審判』などの作品に出演し、1961年には『檻』での演技が評価され、芸術祭奨励賞を受賞しました。1977年には『煙草の害について』で演出も手がけました。鶴丸睦彦は、一風変わった老人役で独特の存在感を発揮し、その演技力は多くの観客を魅了しました。

1989年7月5日肺炎のため87歳で亡くなりました。

主な出演作品



映画
戀愛の責任(1936年、P.C.L.)
からゆきさん(1937年、P.C.L.)
鶯(1938年、東京発声)
空想部落(1939年、南旺映画
多甚古村(1940年、東宝映画
夜明け前1953年、近代映画協会)
叛乱(1954年新東宝
美しい人(1954年新東宝
勲章(1954年俳優座)
どぶ(1954年、近代映画協会)
芸者秀駒(1954年新東宝
ほらふき丹次(1954年新東宝
東京の空の下には(1955年、日活
ここに泉あり(1955年、中央映画
狼(1955年、近代映画協会)
こころ(1955年、日活
続警察日記(1955年、日活
力道山物語 怒濤の男(1955年、日活
石合戦(1955年、日活
地獄の波止場(1956年、日活
病妻物語 あやに愛しき(1956年、民藝)
愛ちゃんはお嫁に(1957年、日活
幸せは俺等の願い(1957年、日活
海の野郎ども(1957年、日活
その女を逃がすな(1958年、日活
姿なき顔役(1958年、日活
お母さんの幸福(1958年、桜映画社)
小さな仲間(1958年、桜映画社)
松川事件(1961年
「粘土のお面」より かあちゃん(1961年新東宝
警察日記 ブタ箱は満員(1961年日活
大人と子供のあいの子だい(1961年日活
からみ合い(1962年、にんじんくらぶ)
秋津温泉(1962年、松竹
川っ風野郎たち(1963年、日活
怪談(1965年、にんじんくらぶ)
孤島の太陽(1968年、日活
野獣を消せ(1969年、日活
小林多喜二(1974年、多喜二プロ)
北ぐにのとも子 (1974年、英映画社)

テレビドラマ
私だけが知っている(NHK)
屋根(1957年、NHK)
光堂事件(1958年、NHK)
サンヨーテレビ劇場(KR)
父ありき(1958年、KR)
笑い(1960年、KR)
お好み日曜座 / 獅子(1958年、NHK)
テレビ劇場(NHK)
最期の一葉(1958年、NHK)
広島に生きる(1959年、NHK)
36号室(1959年、NHK)
世界で一番美しい瞳(1960年、NHK)
東芝家族劇場 第5回「路上の弾痕」(1959年、NET)
めおと歳時記 第5回「つみ草」(1959年、NET)
夫婦百景(NTV)
指名手配 第7回「筑後川漂流死体事件」(1959年、NET)
ここに人あり(NHK)
日立劇場(KR)
剣豪秘伝 第4回「喪神」(1960年、NET)
木曜ワイドアワー / からみ合い(1960年、NTV)
三菱ダイヤモンド劇場 / 赤い雪(1960年、CX)
これが真実だ(CX)
東芝日曜劇場 第184回「再会」(1960年、TBS)
廻れ人生 第23回「純愛」(1960年、NTV)
NECサンデー劇場 / 街の灯よ今日は(1960年、NET)
雑草の歌 第140回「小鳥のバク」(1960年、TBS)
侍 第12回「美しき侍」(1961年、CX)
おかあさん 第2シリーズ(TBS)
女の園 第7回「紅葉狩」(1961年、NHK)
シャープ火曜劇場 第28回「安城家の舞踏会」(1962年、CX)
七人の刑事 第67話「都会の牙」(1963年、TBS)
判決 第110話「冬近く」(1964年、NET)
風雪(NHK)
松本清張シリーズ 第11話「青のある断層」(1965年、KTV)
NHK劇場 / 風の鶏(1967年、NHK)
剣 第23回「岡場所の女」(1967年、NTV)
三匹の侍 第5シリーズ 第2話「痩せ犬」(1967年、CX)
鬼平犯科帳 第1シリーズ 第35話「情炎」(1970年、NET / 東宝)
荒野の用心棒 第23話「叛逆砦に陽はまた昇り…」(1973年、NET / 三船プロダクション
高原へいらっしゃい 第17話(1976年、TBS)
日本の戦後 第8集「審判の日」(1978年、NHK)

舞台
石田三成(1935年)
坊ちゃん(1935年)
どん底(1936年、新協劇団
漁港(1959年、劇団民藝
檻(1960年、劇団民藝
火山灰地 第一部・第二部(1961年劇団民藝
るつぼ(1962年、劇団民藝
開かれた処女地(1965年、劇団民藝
夜明け前 第二部(1965年、劇団民藝
狼(1966年、劇団民藝
ヴィシーでの出来事(1967年、劇団民藝
ヴェニスの商人(1968年、劇団民藝
斬られの仙太(1968年、劇団民藝
炎の人(1969年、劇団民藝
ロムルス大帝(1970年、劇団民藝
審判(1970年、劇団民藝
もうひとつの歴史(1971年、劇団民藝
誤解(1972年、劇団民藝
人類危機の十三日間(1976年、劇団民藝
煙草の害について(1977年劇団民藝)※兼演出
幻のトラック(1977年劇団民藝
黒い湖(1978年、劇団民藝

ラジオドラマ
北の島(1959年、NHK)
漁夫(1964年、文化放送
花嫁のいる風景(1968年、TBS)
* つれづれなるままに(1976年、NHK)

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