みえ (列車)

快速「みえ」：名古屋と伊勢・鳥羽を結ぶ観光列車

快速「みえ」は、東海旅客鉄道（JR東海）と伊勢鉄道が、名古屋駅と鳥羽駅の間を関西本線・伊勢線・紀勢本線・参宮線経由で運行する快速列車です。三重県北部の主要都市を経由し、名古屋と伊勢志摩を結ぶ役割を担っています。

概要

路線のうち、関西本線の名古屋駅 - 河原田駅間は電化されていますが、伊勢鉄道伊勢線、紀勢本線、参宮線は非電化区間です。そのため、気動車で運行されています。明治時代に鉄道が開通して以来、名古屋と伊勢地域を結ぶ都市間輸送を担ってきましたが、近畿日本鉄道（近鉄）の特急列車との競争が繰り広げられてきました。1987年の国鉄分割民営化後、JR東海は新幹線との接続の利点を生かし、快速「みえ」の運行を開始しました。

運行概況

2024年3月16日現在、名古屋駅 - 鳥羽駅間には下り9本（1 - 17号）、上り12本（4 - 26号）が運行されています。また、名古屋駅 - 伊勢市駅間には下り4本（19 - 25号）、上り1本（2号）が運行されています。土曜・休日には、名古屋駅7時台発の伊勢市行き（51号）も運行されています。

名古屋駅発は8 - 20時台、伊勢市駅発は7 - 19時台の時間帯で、概ね毎時1本の運行です。東海道新幹線「のぞみ」「ひかり」との接続も考慮されています。名古屋駅 - 多気駅間は、特急「南紀」とほぼ同じ停車駅です。参宮線内では、朝・日中の鳥羽駅始発・終着列車は伊勢市駅・二見浦駅・鳥羽駅に停車しますが、夕方・夜間の下り伊勢市行きや上り鳥羽発の列車は、参宮線内の各駅に停車する列車や、鳥羽駅 - 伊勢市駅間で各駅に停車する列車があり、普通列車の補完的な役割も果たしています。

停車駅

名古屋駅 - 桑名駅 - 四日市駅 - 鈴鹿駅 -〈中瀬古駅〉- 津駅 - 松阪駅 - 多気駅 -（外城田駅）-（田丸駅）-（宮川駅）-（山田上口駅）- 伊勢市駅 -（五十鈴ケ丘駅）- 二見浦駅 -（松下駅）- 鳥羽駅

（　）は一部列車のみ停車
〈　〉は上りの一部列車のみ停車

鈴鹿サーキットで大規模なレースが開催される際には、鈴鹿サーキット稲生駅に臨時停車する列車があります。停車駅は特急列車並みに絞られていますが、単線区間が多いため、列車交換のための運転停車が行われることがあります。

使用車両・編成

名古屋車両区に配置されているキハ75形気動車が1993年8月から使用されています。普通車のみで、当初は2両編成で運行され、1号車の一部が指定席として設定されていました。2007年からは週末の朝夕に運行される列車を中心に4両編成で運行されるようになり、2011年3月12日のダイヤ改正で定期列車は全て4両編成となりましたが、2014年12月1日以降は一部列車が2両編成に戻されています。「みえ」ではワンマン運転は実施されません。増結時には美濃太田車両区所属のキハ75形が使用されることもあります。

利用状況

「青春18きっぷ」などのJR全線乗り放題の特別企画乗車券では、伊勢鉄道の運賃が別途必要となります。JR東海が発売している「青空フリーパス」では、伊勢鉄道もフリー区間となるため、別途運賃は不要です。2005年10月1日からは、4枚つづりの回数券「快速みえ得ダネ4回数券」が発売されています。

沿革

参宮線は、伊勢神宮への参拝客輸送のため、戦前から速達列車や直通列車が多く設定されていました。しかし、戦後は近鉄が特急を頻繁に運行するようになり、国鉄は優等列車を削減しました。1966年3月には急行「いすず」が運行を開始しましたが、利用が伸びず短期間で廃止されました。その後、「みえ」の運行開始によって、近鉄特急に対抗する手段となっています。

年表

1988年7月1日：「ホームライナーみえ」の運転を開始
1990年3月10日：快速「みえ」運転開始
1991年3月16日：朝夕に3往復増発
1992年3月14日：名古屋駅 - 紀伊勝浦駅間の列車を特急「南紀」に格上げ
1993年8月1日：「みえ」にキハ75形を投入
1994年12月3日：全ての定期「みえ」をキハ75形での運行に統一
1999年12月4日：鈴鹿サーキット稲生駅への定期停車を終了
2007年4月15日：三重県中部地震が発生し、亀山駅経由で迂回運転を実施
2009年：金曜日夜に名古屋発伊勢市ゆき（91号）の運転を開始
2011年3月12日：全列車4両編成となる
2014年12月1日：一部の列車が再び2両編成となる
2015年3月14日：名古屋駅8時台発の1号を毎日運転の定期列車とする
* 2024年7月9日：冷房効果維持のため、各車両中間の扉を締切扱いとする

快速「みえ」は、名古屋と伊勢志摩を結ぶ重要な交通手段として、これからも多くの人々に利用されるでしょう。

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