アイアンリージ

アイアンリージ(Iron Liege)は、アメリカ合衆国で生まれ育ったサラブレッドの競走馬であり、後に種牡馬としても成功を収めた名馬です。1957年のケンタッキーダービー制覇が彼の最も輝かしい功績と言えるでしょう。

競走馬としてのキャリアでは、ケンタッキーダービーの他、ジャージーステークスを制覇、プリークネスステークスで2着に入るなど活躍しました。通算成績は33戦11勝、獲得賞金は404,169ドルにのぼります。カルメットファームで生産され、同ファームの所有馬として競走生活を送りました。主戦騎手はビル・ハータック、調教師はホレス A.ジョーンズが務めました。

アイアンリージが活躍した時代は、ギャラントマン、ラウンドテーブル、ボールドルーラーといったアメリカ競馬史上に名を刻む名馬がひしめき合っていた時代でした。その中で、アイアンリージはケンタッキーダービーにおいて、これらの強豪たちを打ち破り栄冠を手にしました。特に2着のギャラントマンとはハナ差の僅差での勝利でしたが、ギャラントマンの騎手であるウィリアム・シューメーカーがゴール板を間違えるというアクシデントもあったことから、アイアンリージの実力の高さが伺えます。3着のラウンドテーブル、4着のボールドルーラーとはそれなりの差をつけており、この世代を代表するトップクラスの実力者であったと言えるでしょう。

競走馬引退後、アイアンリージはフランスのオーナーブリーダー、マルセル・ブサックによって購入され、1959年から1967年までフランスで種牡馬として活躍しました。フランスでの7年間で、彼の産駒は120勝を挙げ、総獲得賞金は2,756,316フランに達しました。ラコンコルド賞勝ち馬イロール、ラグランジュ賞勝ち馬コーデュロイ、パース賞勝ち馬アドガーなど、多くの優秀な競走馬を輩出しました。

1967年12月、アイアンリージは日本軽種馬協会によって購入され、日本へと渡ります。栃木県西那須野町の那須種馬場に繋養された後、北海道静内町の静内種馬場へと移されました。そして1972年、静内にて心筋梗塞のため亡くなりました。

日本での活躍も目覚ましく、特に有馬記念優勝馬ストロングエイトの父として広く知られています。その他にも、イチウエルス（中央登録名：チトセブライム）、ナスノメロデイ、タイホウヒーロー、ニツシヨウリージなど、多くの活躍馬を輩出しました。これらの馬は、金盃、報知オールスターカップ、フラワーカップ、鳴尾記念、目黒記念、札幌記念など、数々の重賞競走で好成績を収めました。

さらに、母父として見てもその影響力は大きく、Alvedas、Perello、Esclavo、Imyar、ステートジャガー、タケノハナミ、ホースメンホープ、ニッショウキング、ホスピタリテイなど、多くの競走馬が活躍しました。これらの馬は、ダフニス賞、クリテリヨムドメゾンラフィット、ヴィットリオディカプア賞、キウスーラ賞、カウフホフ大賞、サンケイ大阪杯、京浜盃、黒潮盃、ローズステークス、日本経済新春杯、中京記念、セントライト記念、オータムスプリント、クモハタ記念など、様々な競走で勝利を収めています。

アイアンリージの母アイアンメイデンは、デルマーハンデキャップなど12勝を挙げた名牝です。アイアンメイデンはアイアンリージの他に、アメリカ殿堂馬スワップスの母となるアイアンリワードも産みました。さらにその母、ベティデルはラトニアオークスを制覇しています。そして3代母にあたるアンクルズラッシーは、1929年のケンタッキーダービー優勝馬クライドヴァンデュッセンの母でもありました。このように、アイアンリージの血統背景には、数々の名馬が連なっています。

アイアンリージは、競走馬としての輝かしい実績と、種牡馬として日本競馬の発展に大きく貢献したその功績から、アメリカのみならず日本においても、競馬史に名を残す偉大な存在と言えるでしょう。

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