アイディル

アイディル（牧歌）とは

アイディル、またはイディル（idyll or idyl）は、ギリシャ語の「エイデュリオン（小景）」に由来する言葉で、田舎の生活を題材とした短い詩や小唄を指します。発音は /ˈaɪdəl/ または /ˈɪdəl/ です。

アイディルの特徴

アイディルは、テオクリトスがその著書『牧歌（エイデュリオン）』で確立したスタイルであり、後の時代のウェルギリウス、カトゥルス、ジャコモ・レオパルディ、アルフレッド・テニスンといった作家たちにも影響を与えました。

アイディルは、一種の絵画にも例えられます。その舞台は通常、田舎であり、羊飼いや飼育されている動物たちが登場します。その語り口は気取らず、人、動物、自然環境の3つを構成要素とし、これらの要素が調和のとれた一貫性を持つように描かれます。単なる風景画や風俗画、動物画に終わらない点が、アイディルの特徴です。

自然は素朴かつ写実的な方法で描かれ、アイディルの主題は主に、文明化されていない環境で暮らす牧歌的な人々です。彼らの純粋な考え方や、幸せで陽気な生活を送っている様子が取り上げられます。しかし、田舎の貧困にまつわる現実的な惨めさは、意図的に無視されます。

アイディルのアプローチはユーモラスではなく、感情的であり、時には感傷的です。

代表的なアイディル作品

アルフレッド・テニスン『国王牧歌』
ウィリアム・ワーズワース『麦を刈る乙女』
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ『ヘルマンとドロテーア』

関連用語

パストラル：羊飼いを主題とした芸術作品の総称
アルカディア：理想郷としての田園地帯
われアルカディアにもあり（アルカディアの牧人）：死をテーマにした絵画や文学作品に現れる句
ヴィラネル：フランス発祥の詩の形式
エクローグ：対話形式の牧歌
* パストラール：牧歌劇

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