アカデミーコモン

アカデミーコモンは、東京都千代田区神田駿河台に位置する明治大学駿河台キャンパスの重要な施設群を形成する複合ビルです。2003年に竣工し、かつての大学院校舎や5号館などの跡地に建設されました。教育、研究、生涯学習、文化活動、社会貢献など、多岐にわたる機能を統合しており、国内外からの多くの人々が集まる「知」の交流拠点として機能しています。

施設概要と機能

この建物には、高度な専門知識を教授する複数の専門職大学院が入居しています。具体的には、公共政策を学ぶガバナンス研究科、ビジネス分野を専門とするグローバル・ビジネス研究科、会計のプロフェッショナルを養成する会計専門職研究科、そして法曹界を目指すための法務研究科（法科大学院）が集まっています。

また、1999年に開講した明治大学の生涯学習機関「リバティーアカデミー」もアカデミーコモンを拠点としています。年間を通じて約400もの多彩な講座が開設され、年間18,000人以上の受講者がここで学びを深めています。2015年には、女性社会人のキャリアアップや学び直しを支援する「女性のためのスマートキャリアプログラム」もスタートしました。

さらに、新たなビジネスの創出や学外機関との連携を促進するためのインキュベーションセンターも設置されています。国際的に活動する主要な人権NGOであるヒューマン・ライツ・ウォッチは、アジア展開にあたり東京事務所をアカデミーコモン内に開設しました。これにより、国際人権問題に関するシンポジウム開催や共同での研究活動など、多くの連携が実現しています。

主要な文化・交流施設

施設の核となるのが「明治大学アカデミーホール」です。約1200名収容可能なこのホールは、国内外の有識者を招いたシンポジウムや学術会議の場として利用されるだけでなく、演劇やコンサートといった文化・芸術イベントにも広く使われています。例えば、国内アマチュア演劇界でも有数の規模を誇る「明治大学シェイクスピアプロジェクト」や、地域との連携イベントである「御茶ノ水JAZZ祭」などが定期的に開催されています。学外からの利用も可能で、映画試写会なども行われます。

建物の地下には「明治大学博物館」があります。この博物館は、商品、刑事、考古の専門部門に加え、大学の歴史を紹介する大学史展示室、企画展示を行う特別展示室で構成されています。大学博物館の先進的な取り組み事例として高く評価されており、国内外の様々な教育・研究機関からの視察や研修が多数訪れています。特に考古部門は国内でも屈指のコレクションを誇り、旧石器時代の岩宿遺跡や砂川遺跡からの貴重な出土品をはじめ、多数の重要文化財や重要美術品が常設展示されています。全日本博物館学会の事務局もここに置かれており、全国の大学博物館関係者が交流する機会も生まれています。

他にも、作詞家・阿久悠氏の業績を称える阿久悠記念館や、自然光が降り注ぐ開放的な交流サロン、カフェなどが設けられており、学生や教職員、地域の人々など多様な人々が集い、交流を深める空間を提供しています。

建築の特徴

アカデミーコモンの設計は久米設計が担当し、その優れたデザインはAACA賞を受賞しています。「知の探求、出会いと交流の場」というコンセプトに基づき、様々な分野や世代の人々が触れ合い、刺激を受け合う空間となるよう設計されました。交流サロンの特徴的な「トップライトプリズム」と呼ばれる大きな吹き抜け空間は、現代美術家のチャールズ・ロス氏がディレクションを手掛けたものです。照明デザインは、リバティタワー以来、明治大学駿河台キャンパスの照明計画に携わる近田玲子氏によるものです。アカデミーホールの音響設計は永田音響設計が担当し、最高のパフォーマンス環境を実現しています。ホールの緞帳には、日本画家・平山郁夫画伯の作品「東方見聞録（マルコ・ポーロ）」が採用されており、空間に彩りを添えています。

アクセス

アカデミーコモンは、複数の最寄り駅からのアクセスが便利です。

JR御茶ノ水駅 - 御茶ノ水橋出口より徒歩約3分
東京メトロ丸ノ内線 - 御茶ノ水駅より徒歩約5分
東京メトロ千代田線 - 新御茶ノ水駅より徒歩約5分
東京メトロ半蔵門線 - 神保町駅より徒歩約8分
都営地下鉄新宿線 - 小川町駅より徒歩約8分
都営地下鉄三田線・新宿線 - 神保町駅より徒歩約8分

恒例イベント

アカデミーコモンおよび関連施設では、年間を通して様々なイベントが開催されています。

明治大学シェイクスピアプロジェクト
お茶の水JAZZ祭
アカデミックフェスティバル
大岡信賞授賞式
明大建築展
学生設計優秀作品展（通称「レモン展」）

これらのイベントは、教育・研究の成果発表だけでなく、地域社会や一般市民との交流を深める貴重な機会となっています。

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