アシアナ航空733便墜落事故

アシアナ航空733便墜落事故の概要

1993年7月26日、アシアナ航空733便（ボーイング737-500型機、機体番号HL7229）は、金浦国際空港から木浦空港へ向かう途中で、着陸進入中に墜落しました。この事故は、ボーイング737-500型機が起こした最初の全損事故であり、2002年に中国国際航空129便墜落事故が発生するまで、韓国航空史上最悪の死亡者数を記録していました。

事故の経緯

事故当日の14時37分、733便は金浦国際空港を出発しました。木浦空港は前年に拡張工事を終え、アシアナ航空は1992年から金浦-木浦線を運航していました。事故機は、かつてデンマークのマースク航空で使用されていた機体で、1992年11月からアシアナ航空が使用していました。

当初、733便は順調に飛行していましたが、木浦空港周辺は暴風雨に見舞われ、視界が悪化していました。733便は2度の着陸試行に失敗し、3回目の着陸を試みている最中の15時41分に管制塔との交信が途絶え、レーダーから機影が消えました。機体は、木浦空港南西の海南郡花源面馬山里の雲居山山中に墜落しました。衝撃で機体は大きく3つに裂けましたが、幸いなことに火災は発生しませんでした。これは、機体が翼部分から先に山林に衝突したため衝撃が弱められたことと、雨で地面が濡れていたことが要因と考えられています。

事故発生後、乗客が山を降りて近くの集落に通報したことで墜落が発覚し、近隣住民や警察、軍などが救助活動を開始しました。事故現場が山中であったため救助活動は難航し、日没後に発見された生存者はヘリコプターで病院に搬送されました。生存者の多くは後部座席の乗客でした。

当初、乗客名簿から733便には乗客100人、乗員6人の計106人が搭乗していたと考えられていましたが、乳幼児の存在が確認され、最終的に乗客106人、乗員6人の計112人が搭乗、うち68人が死亡したと発表されました。しかし、1993年9月に発表された交通部の事故調査結果では、乗客104人、乗員6人、死亡者66人とされており、資料によって数値が異なる場合があります。

事故原因

733便は3回目の着陸試行時、木浦空港から4マイル（約6.4km）地点に達するまでに、高度762フィート（約232.2m）まで降下していました。規定では、4マイル地点での高度は1600フィート（約487.7m）であり、733便は規定高度を大幅に下回っていました。当初、この降下が機体の問題によるものか、急激な天候変化によるものか、人為的要因によるものかが議論されましたが、その後の調査で機体には問題がなく、操縦士のミスが原因であることが判明しました。

また、光州接近管制所は視程が基準以下であることを認識していましたが、着陸進入を許可しました。当時の空軍の規定には違反していませんでしたが、積極的に他空港への目的地変更を指示しなかった点は問題があったと、交通部は指摘しました。

事故の影響

アシアナ航空は事故後、乗客の家族輸送を除いて同路線の運航を停止しました。操縦士の過失が判明した後、交通部はアシアナ航空に3カ月の路線免許停止処分を下し、運航が再開されたのは翌1994年1月16日でした。アシアナ航空の他の路線は運航を継続しましたが、前年同期に比べて乗客が減少しました。

木浦空港は、滑走路の短さなどの悪条件が指摘されていました。1997年に滑走路を延長するなどの改良工事が行われましたが、抜本的な解決には至らず、2007年に務安国際空港が開港すると、民間便は移転し、木浦空港は軍用飛行場となりました。

1993年の韓国では、この事故の他に、3月に京釜線亀浦駅での列車脱線事故、10月には黄海でのフェリー沈没事故など、交通機関の事故が相次ぎました。10月の事故後には、交通部長官が更迭される事態となりました。

脚注

Aviation Safety Network
“Accident Database: Accident Synopsis 07261993”. 2015年3月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年8月13日閲覧。

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