アブル＝ガーズィー

アブル＝ガーズィーについて

アブル＝ガーズィー（Abulgʻozi Bahodirxon / Абулғозий Баҳодирхон、1603年 - 1663年3月）は、ウズベク地方のヒヴァ・ハン国の第15代君主として知られており、1643年から1663年まで在位していました。彼は、同国第12代のハン、アラブ・ムハンマドの息子であり、ハンとしての人生は波乱に満ちたものでした。

幼少期と若年期

アブル＝ガーズィーは、クフナ・ウルゲンチという宮廷で幼少期を過ごしました。成長するにつれて、彼はカースや旧ウルゲンチで知事の職を務めました。1621年、父が暗殺された後、彼は兄、イスファンディヤールと共に反乱を鎮圧しましたが、後に兄との関係が悪化し、国外に脱出することになります。最初はサマルカンドに逃れ、その後はタシュケントに移り住みました。

彼は1629年から約10年間、イランのサファヴィー朝のエスファハーンに滞在し、さまざまな歴史や文化を学びました。この間、彼はモンゴルの伝承にも触れ、その知識を深めました。

ハンとしての治世

1643年、彼の兄イスファンディヤールが死去した後、アブル＝ガーズィーはヒヴァ・ハンとして擁立されました。彼の治世下では、トルクメン人に対する虐殺が行われ、ウズベク出身の軍事貴族に力を入れることで国内を安定させました。また、1645年にはヒヴァの南に新たな都市、現在のウルゲンチを建設しました。

彼はロシア帝国など周囲の国々と外交関係を築く一方で、トルクメンやジュンガルといった遊牧民に対して軍事行動も起こしました。1655年からは7回にわたってブハラのジャーン朝に遠征を行い、1663年に息子アヌーシャに譲位しました。

彼の死亡は同年であり、ヒヴァのイチャン・カラ内にあるパフラワーン・マフムード廟には彼の墓石が設置されています。

文化事業と著作

アブル＝ガーズィーは、在位前の国外での経験を生かし、歴史に深い関心を持ちました。特に、イスファハーンでの10年間には豊かな教養を身につけ、アラビア語やペルシア語を解する能力を持つようになりました。1659年には、チャガタイ語で歴史書『トルクメンの系譜』を著しました。この書は、彼自身の記憶や史書を元にしたものであり、彼の祖先にあたるジョチの一族に関する内容が記されています。残念ながら、アブル＝ガーズィーは『テュルクの系譜』を完成させる前に亡くなりましたが、1665年に息子アヌーシャによって刊行されました。

彼の著作は平易な言葉で書かれており、ウズベク史に関する重要な資料として評価されています。18世紀以降はヨーロッパの学者たちにも参照され、ウズベクの歴史的知識の一翼を担いました。

家族

アブル＝ガーズィーの父はアラブ・ムハンマドであり、兄イスファンディヤール（在位：1622年/23年 - 1641年/42年）を持っていました。彼の治世や文化的貢献は、ウズベクの歴史において重要な役割を果たしており、後世にわたる影響を与えています。

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