アンドリュー・ヒューズ

アンドリュー・ヒューズ：異色の俳優、その足跡

アンドリュー・ヒューズ（Andrew Hughes、1908年1月16日 - 1996年9月1日）は、トルコ出身の経営者であり、俳優としても活躍した人物です。日本では、主に映画やテレビドラマで外国人役を演じ、その独特な存在感で多くの観客を魅了しました。名前の表記は、アンドリュウ・ヒューズ、アンドレ・ヒューズ、A・H・ヒューズなど、複数のバリエーションが存在します。

多彩なキャリア

ヒューズは、オスマン帝国（現トルコ）で生まれ、本業は貿易商でした。しかし、トルコ時代からエキストラとして演技経験があり、英語講師としても活動していました。ビジネスマンとして東京を拠点に輸出入業を営む傍ら、1965年に映画『大冒険』の「ヒットラーそっくりさん」公募に応募し、見事採用されたことが、俳優としての本格的なキャリアの始まりでした。

東宝クレージー映画の常連へ

『大冒険』出演後、ヒューズは東宝クレージー映画に欠かせない存在となり、様々な西洋人役を演じました。首相、社長、教授、悪の組織の首領など、作品において重要な役柄を多く担当。また、ヒトラー役以外にも、マッカーサーやロジェストヴェンスキーなど、実在の人物を演じることもありました。

自身が出演しない作品でも、外国人エキストラたちの通訳を担当するなど、日本人スタッフとの橋渡し役としても活躍しました。当時の日本において、欧米系の俳優として活動していた人物の多くがトルコ系であったという証言もあります。これは、トルコ革命後、徴兵を逃れるために中国経由で日本に渡ってきたトルコ人が多かったためだとされています。

主な出演作品

ヒューズは数多くの映画に出演しており、以下はその一部です。

大東亜戦争と国際裁判 (1959) - マッカーサー役
暗黒街の顔役 (1959)
潜水艦イ-57降伏せず (1959) - ペルジュ（某国外交官）役
宇宙大戦争 (1959)
香港の白い薔薇 (1965) - ジャック・モーガン役
大冒険 (1965) - ヒットラー役
クレージー黄金作戦 (1967) - キッド・ゴールド役
クレージーの怪盗ジバコ (1967) - アルカ・ホネ役
日本一の裏切り男 (1968) - マッカーサー役
クレージーの大爆発 (1969) - Z役
海底大戦争 (1966) - ハワード教授役
黄金バット (1966) - パール博士役
キングコングの逆襲 (1967) - 国連新聞記者役
乱れ雲 (1967) - カナダ人の男役
100発100中 黄金の眼 (1968) - ボス（ストンフェラー）役
怪獣総進撃 (1968) - スチーブンソン博士役
ニュージーランドの若大将 (1969) - ジョン・オハラ役
緯度0大作戦 (1969) - モーリス・ポーリー卿役
日本海大海戦 (1969) - ロジェストヴェンスキー司令官役
トラ・トラ・トラ! (1970) - 駐日大使館員役
日本沈没 (1973) - オーストラリア首相役
エスパイ (1974) - P・B役
不毛地帯 (1976) - ラッキードの社長役

また、テレビドラマにも出演しており、その演技は多岐にわたりました。

参考文献

『東宝特撮映画全史』監修 田中友幸、東宝出版事業室、1983年12月10日。ISBN 4-924609-00-5。
『ENCYCLOPEDIA OF GODZILLA ゴジラ大百科 [メカゴジラ編]』監修 田中友幸、責任編集 川北紘一、Gakken〈Gakken MOOK〉、1993年12月10日。
『東宝特撮映画大全集』執筆：元山掌 松野本和弘 浅井和康 鈴木宣孝 加藤まさし、ヴィレッジブックス、2012年9月28日。ISBN 978-4-86491-013-2。
『ゴジラの超常識』[協力]東宝、双葉社、2016年7月24日（原著2014年7月6日）。ISBN 978-4-575-31156-3。

外部リンク

アンドリュー・ヒューズ - 日本映画データベース
アンドリュウ・ヒューズ - allcinema
アンドリュー・ヒューズ - KINENOTE
* Andrew Hughes - IMDb（英語）

アンドリュー・ヒューズは、そのユニークな経歴と個性的な演技で、日本の映画史にその名を刻んだ異色の俳優と言えるでしょう。

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