アンドレア・ドーリア級巡洋艦

アンドレア・ドーリア級巡洋艦

アンドレア・ドーリア級巡洋艦は、イタリア海軍に所属するミサイル巡洋艦およびヘリコプター巡洋艦の艦級であり、二隻の艦船から成ります。この艦級は、1957年から1958年の計画に基づき、地中海における艦隊の防空や輸送船団の防御任務を担うことを目的として設計されました。しかし、最終的には二隻の建造で終了し、計画されていた第三艦「エンリコ・ダンドロ」は後の計画に移され、進化型の艦「ヴィットリオ・ヴェネト」へと変わりました。

来歴と近代化

「アンドレア・ドーリア」は1976年から1978年にかけて大規模な近代化改装が行われ、艦の性能向上が図られました。一方、兄艦の「カイオ・ドゥイリオ」も1979年から1980年にかけて改修されましたが、こちらは主に練習艦としての機能強化が重視され、戦闘システムの更新は限定的でした。これにより、両艦はそれぞれ異なる役割に特化した改修を受け、海軍の戦力に貢献しました。

設計の特徴

アンドレア・ドーリア級の基本設計は、1956年から57年に始まったインパヴィド級駆逐艦に基づいています。艦は、航空機器を搭載できるよう、艦型が拡大され、特にヘリコプター甲板は艦尾側に大きく張り出す形で設置されました。また、艦にはジャイロフィン・サルモイラーギ式のフィンスタビライザーが装備され、揺れの軽減が図られています。

艦内は、ボイラー室と機械室が分離して配置されるシフト配置が採用され、ボイラーはフォスター・ホイーラー式が踏襲されています。これにより、艦の出力は60,000馬力に達しています。さらに、発電機としてタービン式とディーゼル式が搭載され、艦の機動性が確保されています。

装備とシステム

アンドレア・ドーリア級の特徴的な装備の一つが、SADOC-1戦術情報処理装置です。これはアメリカ海軍の戦術情報システムを元にしたもので、電子計算機と火器管制システムが組み込まれています。また、各種のレーダーも搭載されており、対空防御や対水上目標捜索に有効です。

防空には、テリア艦隊防空ミサイル・システムが装備されており、ミサイルの再装填方式はアメリカ海軍のものと同様の設計が採用されています。また、近接防空用には76mm単装砲が配備され、砲射撃指揮装置も整備されています。これにより、艦は多層的な防空能力を持っています。

航空能力

対潜戦闘のため、アグスタ-シコルスキーASH-3 シーキング哨戒ヘリコプターを運用する能力が求められましたが、最終的にはより小型のAB-204（後にAB-212）を搭載することになりました。また、艦にはヘリコプター甲板と格納庫が一体となった設計が施され、効率的な運用が可能です。

同型艦

アンドレア・ドーリア級は、イタリア海軍の近代化に寄与し、現在の海軍戦力の強化に貢献しています。同型艦としては「カイオ・ドゥイリオ」があり、共に日本や他国の装備とも比較されながらその完成度が評価されています。

今後もアンドレア・ドーリア級の運用は、海上での防衛任務や適応能力の向上によって、重要な役割を果たすことが期待されています。

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