ウィルクスバリ (軽巡洋艦)

軽巡洋艦ウィルクスバリ (USS Wilkes-Barre, CL-103)

ウィルクスバリは、アメリカ海軍のクリーブランド級軽巡洋艦の25番艦として、その名をペンシルベニア州のウィルクスバリ市に由来します。その生涯は、第二次世界大戦の激戦から戦後の平和まで、激動の時代を航海し続けた歴史です。

起工から太平洋へ

1942年12月14日、ニュージャージー州カムデンのニューヨーク造船所で起工したウィルクスバリは、1943年12月24日に進水しました。1944年7月1日にはフィラデルフィア海軍工廠でロバート・L・ポーター・ジュニア大佐を艦長として就役し、その長い航海が始まりました。

就役後、ウィルクスバリはチェサピーク湾での慣熟訓練を経て、大西洋を南下し、トリニダード島のパリア湾で訓練を重ねました。その後、フィラデルフィアに戻ると、10月23日に太平洋へ向けて出港し、パナマ運河を通過、カリフォルニア州サンディエゴで物資と弾薬を積み込み、サン・クレメンテ島沖で射撃訓練を実施しました。11月10日にはハワイへ向けて出港し、真珠湾で12月初旬まで訓練を行いました。

グラティテュード作戦

1944年12月14日、ウィルクスバリは[真珠湾]]を出港し、カロリン諸島ウルシー環礁に停泊中の艦隊と合流しました。第3艦隊の第38任務部隊]第17巡洋艦隊に所属し、空母ホーネット、レキシントン、ハンコックを基幹とする第38.2任務群(TG38.2)に配属され、[[グラティテュード作戦に参加します。

12月30日、TG38.2は出撃し、台湾や琉球諸島南部への攻撃を開始しました。ルソン島攻略を妨害する可能性のある日本軍の飛行場を無力化し、その後、ルソン島の日本軍拠点を攻撃しました。1945年1月9日には再度台湾を攻撃し、リンガエン湾上陸部隊の側方支援を行い、日本海軍による攻撃を阻止しました。1月12日には、仏領インドシナのカムラン湾に日本艦隊が現れたとの報告を受け、ウィルクスバリを含む一部艦隊が派遣されましたが、敵艦隊は発見されず、任務群はTF38に戻りました。1月15日には中国への攻撃が再開され、1月21日に台湾、翌日には沖縄を攻撃し、作戦を終えました。

硫黄島と沖縄戦

1945年2月、ウィルクスバリは第5艦隊第58任務部隊(TF58)第58.3任務群(TG58.3)に所属し、硫黄島侵攻作戦と沖縄戦に参加しました。硫黄島侵攻作戦では、東京空襲で日本軍の目をそらし、その後、上陸作戦の直接支援を行いました。

2月21日、ウィルクスバリは空母群の護衛を離れて、艦載機による観測を基に、上陸部隊への援護射撃を行い、防御陣地と弾薬庫を破壊しました。2月23日にはTG58.3に復帰し、東京と沖縄への空襲で空母の護衛を担当しました。

3月16日、ウィルクスバリは急降下爆撃機「彗星」を撃墜しましたが、空母「フランクリン」が大きな損傷を受けたため、TG58.3は一時戦線を離脱せざるを得ませんでした。しかし、3月23日には戦線に復帰し、沖縄戦に向けて沖縄を攻撃しました。

沖縄戦では、ウィルクスバリは日本軍の特攻機と交戦し、4月11日には零戦3機と九九式艦爆1機を撃墜、さらに零戦2機の撃墜に関与しました。また、墜落した友軍機のパイロット救助にも貢献しました。

5月には、空母「バンカー・ヒル」が特攻機の攻撃を受け大破した際、ウィルクスバリは救助と消火作業を行い、多くの乗員を救出しました。

終戦とその後

1945年8月15日に日本が降伏し、ウィルクスバリは終戦を迎えました。その後、横須賀海軍基地の占領を支援し、東京湾に入港しました。戦後、ウィルクスバリは占領任務に従事し、日本各地の基地の武装解除を支援しました。

1946年1月13日に帰国の途に就き、アメリカに到着。その後、回復訓練を行い、1947年2月にはイギリスとノルウェーへの親善訪問を実施しました。帰国後はオーバーホールを経て予備役艦隊入りし、1947年10月9日に退役しました。

ウィルクスバリは1971年1月15日に除籍され、アメリカ海軍籍にあった最後の軽巡洋艦となりました。船体はその後、水中爆破試験に使用され、1972年5月12日に二つに分離、海底に沈められました。現在、その残骸はフロリダ・キーズの沖合で人工岩礁として利用されています。

ウィルクスバリは第二次世界大戦中の戦功により、4個の従軍星章を受章しました。

参考文献

Friedman, Norman (1980). “United States of America”. In Gardiner, Robert & Chesneau, Roger. Conway's All the World's Fighting Ships 1922–1946. Annapolis: Naval Institute Press. pp. 86–166. ISBN 978-0-87021-913-9
Rohwer, Jürgen (2005). Chronology of the War at Sea, 1939–1945: The Naval History of World War Two. Annapolis: Naval Institute Press. ISBN 978-1-59114-119-8

外部リンク

FLORIDA KEYS Shipwrecks USS Wilkes Barre Wreck Key West - ウェイバックマシン（2019年9月24日アーカイブ分）
navsource.org

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